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自然分娩も帝王切開もどちらも立派な出産です。分娩方法ではなく産後ケアを大切に。


先日、小学校の男性教諭が理科の授業で「自然分娩で子供を産んだ方が、帝王切開で産んだ時よりも親は愛着を抱きやすいという説がある」と発言し、保護者からの批判を受けて謝罪したという報道がありました。

この発言をした男性教諭は自然分娩の大変さを説明しようとした中で、母親から自然分娩の大変さを繰り返し聞いていたからと釈明していたそうです。

これについて著名な産婦人科医である宋美玄(そん・みひょん)先生が「分娩様式と愛着、産後うつ、総合的な健康との関連」というタイトルで記事を執筆してらっしゃいます。

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分娩方法と愛情

以下のリンク先は英文での記載になっていますので、宋 美玄先生ご自身が執筆されている日本語の記事も合わせてご覧ください。

http://www.scirp.org/Journal/PaperInformation.aspx?PaperID=73911

元の記事を読む。:「自然分娩の方が愛情強い」その発言に根拠はありますか?
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170222-OYTET50009/?catname=column_son-mihyon

論文の主旨についても日本語で説明しておられます。

「選択的帝王切開群」は「自然経膣分娩群」に比べて、統計的に意味のある差をもってMIBSの点数が高く、愛着に不利である結果となりました。「選択的帝王切開群」はEPDSの点数も高く、産後うつのリスクも高い結果でした。また、母乳育児率も低いという結果でした。

選択的帝王切開群とはあらかじめ予定を決めて帝王切開を行うことと説明されていますね。

また、MIBSはMother-to-Infant Bonding Scaleの略で、その日本語訳版は「赤ちゃんへの気持ち質問票」という名称になっています。

正確にはMIBS-Jと略称される(JはJapanの意)ようですが、赤ちゃんとの関係性を数値で測るアンケートのようなものですね。

参考URL: http://perinatal.kitakyu-ped.jp/PV_tool/tool/Feeling%20question%20to%20a%20baby_score.pdf

EPDSはEdinburgh Postnatal Depression Scaleの略で「エジンバラ産後うつ病質問票」と呼ばれるもので、うつ病の簡単なチェックリストみたいなものです。

ただし、このスケールによってうつ病の診断が確定されるものではないという点は注意が必要です。

参考URL: http://www.kizunamail.com/epds

男性教諭に足りなかったのは?

それにしてもなかなか興味深いデータが出ているようですね。

コウノドリ 第10巻 自分のお腹を痛めて産んだ子供

コウノドリ 第10巻より

というのも冒頭で紹介した男性教諭の説はあながち間違ったものではないのではないかという事が示唆されているからです。これに関係したエピソードがドラマ化もされたコミック「コウノドリ」の第10巻で触れられています。

ただし、帝王切開と愛着・産後うつの関係性はあくまで相関関係であり、因果関係ではないという点はしっかりと押さえておく必要があります。

「~という説がある」という教育は何も間違ってはいません。

ポイントとしてはこの説を踏まえて「産後うつのケアなどの出産後の育児支援の必要性」を子供達に説明するような内容であれば、抗議が来る事も無かったのかなと思います。

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要するに、物は言いようという事で、男性教諭の配慮が足りなかったと言えばそれまでになってしまいますが、むしろ分娩方法について敏感になっている人がいるという事のほうが問題であるように思いますね。

これはコウノドリ第3巻において主人公の鴻鳥(こうのとり)先生が帝王切開による出産を頑なに拒む妊婦に対して諭すシーンです。ドラマ化された際にもこのエピソードが放送されていましたね。

コウノドリ 第3巻 帝王切開と自然分娩

コウノドリ 第3巻より

産後ケアの重要性

「お腹を痛めて産まないと母親の自覚が出ない。」 なんていう心無い言葉が聞かれるのも、分娩方法に過度なこだわりがあるというのが要因となっている気がします。

どんな分娩方法であろうと、まずは無事に出産するという事が優先されるはずで、出産後の産後ケアをもっと議論すべきだと思います。

というのも、東京23区で2005年から2014年までの10年間に63人もの妊産婦が自殺で亡くなっていたことが分かっているのです。

妊娠・出産期の死因として自殺が最も多いというデータはあまりにショッキングです。また、その原因として「産後うつ」が挙げられていると言う点を忘れてはいけません。

下記のシーンはコウノドリ第8巻でマタニティブルー・産後うつを取り上げたエピソードからです。

コウノドリ 第8巻 産後うつ

コウノドリ 第8巻より

自殺ではありませんでしたが、産後うつによって自らの子に手をかけそうになる母親の追い詰められた状況がひしひしと伝わってきます。

この辺は産後うつと虐待の関係性というまた違った問題になってきますね。

コウノドリ 第8巻 産後うつと虐待

コウノドリ 第8巻より

下記は毎日新聞の記事へのリンクです。

元の記事を読む。:「10年で63人…東京23区 産後うつ影響か」
http://mainichi.jp/articles/20160424/k00/00m/040/088000c

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