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マリア・シャラポワのツアー復帰には批判だらけ?支持している人は?


ドイツのシュツットガルトで開催中のポルシェ・グランプリに主催者推薦枠(ワイルドカード)で出場しているマリア・シャラポワですが、準決勝進出を果たして注目が集まれば集まるほど批判の声も多く聞かれていますね。

批判の声に対してマリア・シャラポワ自身は全く意に介さないという態度を貫いていますが、ただ純粋に「WTAツアーが盛り上がってくれればそれでいいんだけど」と思っているファンの方は気を揉んでいるのではないでしょうか。

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批判の嵐

実際に、マリア・シャラポワのツアー復帰のタイミングについては様々な選手達がネガティブな感想をコメントしていますね。

C・ウォズニアッキ、A・ケルバー、E・ブシャール、S・ハレプ、A・コルネそして準決勝の対戦相手であるK・ムラデノビッチ。その他にも男子選手のA・マレー、N・キリオスなども。

まあ枚挙に暇がないですが、そりゃドーピングが絡んだ問題についてコメントを求められて「特に何も感じませんが?」なんて言う度胸のある選手はいないと思うので、批判のコメントありきでインタビュワーも聞いていると思いますね。

しかも、この話題がWTAツアーで最もホットトピックになっているので尚更です。

不倫がらみで芸能界が騒がしかった頃に、ことあるごとに何かしらの記者会見があれば「不倫についてどう思われますか?」みたいな質問がお約束のように聞かれていたのに似ていますね。

だったら皆答える内容は同じでしょう。自分は不正なんて働かないと頑なに信じている人ほど過剰反応を起こす事でしょうね。

M・シャラポワは「ペテン師」なのか?

E・ブシャールが語ったとされるこの内容ですね。

E・ブシャールは”cheater”という言葉でM・シャラポワの事を表現していますが、確かにcheaterにはペテン師という日本訳語が存在します。

ただ、英語を母国語として使う人にとってはcheaterという言葉は割りとありふれた言葉で、日常生活でも結構耳にする機会の多い単語だと思います。ズルをしちゃった人に対しても普通に使われる単語です。ちなみにカンニングや浮気した場合にも使います。

では「ペテン師」という単語はどうでしょうか?私はペテン師という言葉を日常で発した記憶はほぼありませんし、文字にして記述するのも今回書いているこの記事が初めてかもしれないレベルです。

皆さんはどうでしょうか。ペテン師という言葉には嘘だらけの犯罪者、詐欺師のようなイメージを持ちませんか?

カメラが回っているインタビューの映像でそこまで強い意味の言葉を使うとは考えにくいですし、インタビュー時の彼女の表情や言葉のニュアンスも余計にそう感じさせます。

せめて「不正をした人」程度の訳語が妥当なのではないでしょうか。ペテン師なんて言葉をカメラ前で堂々と使いそうなのはトランプ大統領やドゥテルテ大統領でしょうか?そうであれば可能性はなくはないとは思いますが。

最近、舌禍で話題を振りまく事が多い日本の政治家もあるかもしれません。そう考えるとカメラ前でも言うかもと思ってしまいましたが・・・。

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テニス界のドーピング疑惑の歴史

スポーツとドーピングの関係は長い歴史を持っているですが、それはテニスも同じ事で、有名どころをピックアップしただけでも、

1995年 マッツ・ビランデル(Mats Wilander)

2001年 フアン・イグナシオ・チェラ(Juan Ignacio Chela)

2001年 ギリェルモ・コリア(Guillermo Coria)

2005年 ギリェルモ・カナス(カニャス)(Guillermo Ignacio Canas)

2007年 マルチナ・ヒンギス(Martina Hingis)

2009年 アンドレ・アガシ(Andre Agassi)※自叙伝のなかで97年にメタンフェタミンを服用していたと告白、出場停止処分や罰金などは科されていません。

2009年 リシャール・ガスケ(Richard Gasquet)

2012年 バルボラ・ストリコバ(Barbora Strycova)※今回の件についても自身の経験から辛辣な意見を述べていますね。

2013年 マリン・チリッチ(Marin Cilic)

2013年 ビクトル・トロイツキ(Viktor Troicki)

また、ジョン・マッケンローもステロイド剤を自覚しないまま使用していたとコメントした事もありますね。

参考:http://tennishasasteroidproblem.blogspot.jp/p/doping-cases.html

体力的にタフなサーフェスと言われるクレーコートに強いプレイヤーが目立つように感じるのは気のせいです(笑)

E・ブシャールの意見をそのままルールとして採用するとなるとこれだけのプレイヤー達がテニスの歴史から消え去る事になりますね。

一度でも不正を働いたら追放というのは「更生」をモットーとする近代的な司法制度でも採用されていないポリシーですので過激ですね。

支持者はいるのか?

今回のM・シャラポワの復帰について支持すると主張するには、既に述べた通り、それだけ根性がないと言えないコメントですので、そもそもそんな人がいるか?という問題があるのですが、支持とは少し違う意見も含めてしっかりといらっしゃいます。

まずはチェコ出身のカロリナ・プリスコバ。現世界ランキング3位でこのポルシェ・テニスグランプリにも出場している選手ですね。※準々決勝で既に敗退。カロリナ・プリスコバ

「(復帰については)間違いなくこの大会にとって大きな事で、もちろんこの大会に限らずこの後も含めて、大会側にとっては大きなプラスでしょうね。セリーナ・ウィリアムズがツアーを離れる今、テニス界にとっては彼女のようなスターが必要なの。だから特に反対する意見は無いわ。」

大会主催側からすると「よく言ってくれた」というような意見を述べていますね。

M・シャラポワにも負けない美貌の世界ランク3位にスター不在のテニス界と言わせるというのは実は結構キツイ事ですよね。それだけテニス界に閉塞感を感じているんでしょうか。支持するというのとはニュアンスが違いますが、気にしていないって事でしょうね。

そして、キム・クライシュテルス。キム・クライシュテルス

2012年に既に引退していますが、グランドスラム大会をシングルス4回、ダブルス2回制しているベルギーの超有名選手ですね。もちろん世界ランキング1位もシングルス、ダブルス共に経験しています。

「(出場停止処分で)既に十分な罰を受けているのでもういいと思う。確かにドーピングのニュースをはじめに聞いた時は残念だったし、ショックだった。彼女にとってはコートの外に長い間置かれる事は非常に辛い事だと思うし、復帰すると聞いて良いテニスが出来る事を願っているわ。」

なるほど。これは支持する意見ですね。2015年に1度だけベルギーのトーナメントディレクターを務めた事があるキム・クライシュテルスですから、大会主催側の都合も重々承知だという意見もありますが、たった1回のディレクター経験ですから、あまりそこは突っ込むところでも無いような気がします。

割と勘違いされがちですが、M・シャラポワは15ヶ月の出場停止期間を「しっかり勤め上げて」トーナメントに戻ってくるので、別にルールを破って無理やり今回のポルシェ・テニスグランプリに出場しているわけではないという事は改めて考えておく必要があります。もしそうならその時こそペテン師と呼ぶべき時です。

だから批判的な意見を述べている選手はM・シャラポワの出場停止期間が明ける前に既に開幕している大会に推薦枠で出るのは「モラル的に」おかしなことだと思う。という意見なんですよね。「ルール的に」おかしな事は起きていないんです。

ただ、M・シャラポワの初戦の日を出場停止期間明けの日に合わせるために、1回戦の日程をわざわざ2日に分けて行ったりというかなり豪腕な工作があった事はここではあえて触れない事にします(笑)だとしても日程を分けるのは大会側の都合で許される事ですので、これもルール的には問題ないんですよね・・・。

「ドーピングと言うルール破りをしたM・シャラポワがまたルール破りをして強行出場」みたいに捉えられると困るのでこの点は勘違いしないように注意が必要です。

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エレーナ・ベスニナ。ダブルスでグランドスラム2勝を上げているロシアのダブルス選手ですね。シングルスでも最高ランキング16位を記録しています。エレーナ・ベスニナ

「WTAには嫉妬のようなものがあるんだと思う。確かにマリアはルールを破った。でも彼女はそれを受け入れて罰を受けた。それにとんでもない薬物を使ったわけじゃない。彼女は偉大な王者で、確かに今回の事は彼女の評判に影響を与えるとは思うけど、精神的もタフな彼女ならそんなものは気にせず、吹き飛ばしてくれると思う。」

同じロシア人というのもありますが、彼女を支持するという内容ですね。

“jealousy”という単語をここでは嫉妬と訳しています。まあねたみ、ひがみと訳してもいいと思います。日本語でもカタカナ語として通じますよね「ジェラシー」。

主催者推薦枠(ワイルドカード)の意義

そもそも今回M・シャラポワが大会に出場できるようになったワイルドカードですが、これの存在意義について言えば分かりやすく表現するとすれば「大会を盛り上げるため」です。

テニスの大会において大抵の場合、地元出身でランキングが低い(=獲得ポイントが参加資格に達しない)選手にワイルドカードが渡されますが、それは崇高な目的で行われているのかと言えばその実情は全く違うと思います。

もし将来が有望な若手にチャンスを与えるという立派なお題目があるのなら国籍も何も関係なくワイルドカードが渡されるべきだと思います。

でも実際は地元選手に渡されるのが普通。つまり地元出身者が大会に多く出てくれればそれだけ自国選手を応援したい観客からのチケットセールスが期待出来るからに他なりません。これが1つ目のワイルドカードの使われ方。

そして2つ目のワイルドカードの使われ方は「スター選手への招待状」です。昔からこれは普通の事です。何も今回が特別なわけじゃないんです。「地元出身選手」と「知名度の高いスター選手」にワイルドカードを使うというのが本来正しい使い方なんです。

例えばアメリカのメジャーリーグMLBでは地区2位になったチームにワイルドカードが適用され、プレーオフを戦いますが、これは「ある地区で2位になったチームがもし他の地区にいたとしたら勝率から考えると優勝したんじゃないか?」という論争があったからと言われています。

つまり、本来ならプレーオフに出場する実力があったにも関わらず、激戦の地区で戦った為に消えていってしまうチームを救済しようという考え方がベースにあります。※ちなみにこれを無理に拡大解釈して、チーム数の少ない日本のプロ野球において採用しようとしたのがクライマックスシリーズですね。

あとは、あまり意識しない事かもしれませんが、世界陸上やオリンピックの陸上競技で100m走などのトラック競技で各組2位までが自動的に勝ち抜けで、その他は成績上位者から順番にタイムで救われるなんていうのもワイルドカードの一種です。

レベルの高い組で走ってしまったばっかりに本来なら上位に食い込んでもおかしくない選手が予選敗退となるのを救済しようという主旨ですね。

こういうメジャーリーグや陸上競技の例のような論理を元に採用されているワイルドカードであれば確かに納得も出来るのですが、テニスではそんな論理はそもそも存在していません。

ビジネス的に使われるのが正しいと言うことであれば今回のケースでM・シャラポワにワイルドカードを渡すのはとても正しい使い方なんですよね。ツアー復帰を果たすスター選手。まさにぴったり。

ワイルドカードが生んだドラマ

ツアー復帰をワイルドカードで行った一例として前述のキム・クライシュテルスにもう一度ご登場願いましょう。

もちろんキム・クライシュテルス以外にも例は沢山あるのですが、彼女の記録はエグイです。

彼女は2005年ごろから自分のテニスキャリアを終えるプランを考えていたようですが、2007年5月に世界ランク4位のまま現役引退を発表します。理由は左手首の大きな怪我や膝の怪我など、体がボロボロの状態だった事を挙げています。24歳の誕生日を目前に控えた発表でした。キム・クライシュテルス 左手首の怪我

そしてその後は結婚、出産、父親の死などを経験しながら、引退から2年が経った頃にウィンブルドンの屋根の取り付けを記念した式典で開かれたエキシビション試合に参加します。

そして、エキシビションを控えて開かれた記者会見で現役復帰を発表します。エキシビションのために準備するうちにテニスへの情熱が蘇ってきた事が現役復帰の理由と言われていますね。※ただし彼女自身は復帰ではなく「第2のテニス人生」と考えているそうで、結婚、出産、父親の死など多くの事を経験しすぎたため、もはや「復帰」という言葉では表現できないと言っています。

そして復帰に伴ってシンシナティ・マスターズとロジャーズ・カップ(トロント)、その後のUSオープンへのワイルドカードを受け取っている事を発表します。

満を持して迎えたシンシナティ。ワイルドカードで出場したキム・クライシュテルスは当時世界ランク13位のM・バルトリ、20位のP・シュナイダー(シュニーダー)、6位でその年の全仏王者S・クズネツォワを次々と撃破。準々決勝で世界ランク1位のD・サフィーナに敗れたのが復帰戦の成績でした。

2戦目となるワイルドカードを使って出場したロジャーズ・カップでは1回戦、予選勝者のE・バルタチャから勝利、2回戦を当時世界ランク9位のV・アザレンカから勝利、そして4位のJ・ヤンコビッチを相手に3回戦を戦い敗北。大会を去ります。

J・ヤンコビッチ戦ではセットカウント1-1で迎えたファイナルセット5-3のサービングフォーザマッチを手にしながらの惜敗でした。

そしてツアー復帰3大会目である全米オープン。この大会にもワイルドカードで出場したキム・クライシュテルスは4回戦でV・ウィリアムズ、準決勝で前年度覇者のS・ウィリアムズを破り決勝進出。この時のS・ウィリアムズ戦ではとんでもない事件が起こってしまいましたが・・・(別記事参照)。

ついに迎えた決勝戦では対C・ウォズニアッキ戦を7-5、6-3のスコアでストレート勝利。

つまりキム・クライシュテルスは引退から2年3ヶ月ぶりに復帰した3大会目の試合である全米オープンでワイルドカードから優勝してしまったのです。

当時を振り返って彼女はこんなコメントも残しています。

「エントリーリストにある名前を見た時に、聞いたことのない名前だらけでおまけにどう発音したらいいのか分からないものも多かったわ。」

2年以上もツアーを離れているとこうなるのも当然ですよね。

そしてこの愛娘のジャダ(Jada)ちゃんとの2ショットはあまりに有名ですよね。 キム・クライシュテルスと愛娘のジェイダちゃん 2009年全米オープン

ママさんプレイヤーによるグランドスラム大会優勝は1980年のウィンブルドンを制したイボンヌ・グーラゴング以来でした。

この優勝で世界ランキングは20位に。さらには翌年2010年の全米オープンも制して2連覇達成。2011年の全豪オープンも優勝しています。彼女の「第2のテニス人生」はワイルドカードによってスタートしたのです。

また、他の例では既にピークを過ぎてキャリアの晩節(慢性的な肩の故障も抱えていた)であったG・イワニセビッチ(当時世界ランク125位)が2001年のウィンブルドン男子シングルスでワイルドカードから出場して優勝を成し遂げた例もあります。シングルスにおいてワイルドカードからのグランドスラム優勝はテニス史上この2例だけ。

ワイルドカードが適用されたからこそ起きたドラマですね。

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