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羽生結弦の決め技の名前は何というのか?その裏にある意外な共通点とは?


2018年平昌オリンピック男子フィギュアスケートで金メダルを獲得したことで、2014年ソチオリンピックに続いて2連覇を達成した日本の羽生結弦選手。男子としては66年ぶりの快挙となりましたが、彼がフリーの演目「SEIMEI」で取り入れていたあの特徴的な技の名前は一体なんという名前なのでしょうか?

宇野昌磨選手の「クリムキンイーグル」(cantilever =カンチレバー、キャンティレバーとも)や荒川静香選手の「(レイバック)イナバウアー」のように演技の解説で触れられる機会があまりないのでちょっと気になりますよね。

詳しく調べてみるとその裏には意外なつながりやwikipediaの間違った情報があったりして興味深いものでしたので合わせてご紹介します。

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羽生結弦のあの技

平昌オリンピック 羽生結弦 フリー ハイドロブレーディング

リンクに体が触れそうなくらいに低い姿勢を保ちつつ、右足を大きく横に投げ出して滑るこの動き。

観客の歓声もこの技が出ると一際大きくなりますよね。

この技の名前ですが、これは「ハイドロブレーディング(Hydroblading)」と呼ばれるテクニックで略してハイドロ。

英語圏でも恐らくハイドロで分かってもらえるかなと思います。また、ハイドロブレード(Hydroblade)と呼ぶケースもあるようですね。

特に技として規定されているものではないので基礎点は無し。

つなぎの一種として取り入れることでジャッジから評価がもらえたりする技ですね。

羽生結弦自ら解説?

配信されているロッテガーナのCMメイキング映像「マドラー当たる」篇では羽生結弦選手自らがスケーティング中の羽生結弦ミニフィギュアが付いた“羽生選手マドラー”について自ら解説。

動画内ではスパイラル(アラベスク)を決めている姿とハイドロブレーディングを決める姿について解説。

「この子(マドラー)がハイドロブレーディングなんですけど。まぁみんなハイドロって呼ぶけど。」

さらに、

「技術的な解説をし始めた。笑」と前置きしつつ、

「スパイラル、ハイドロブレーディングのどちらも得点になるものではなく、演技中の要素として「やる人はやるよ」っていうわけで。このポーズ(スパイラル)もあんまり男子選手ではやらないですし、このポーズ(ハイドロブレーディング)もやる人もホントにまだ少ない技なので。どっちも僕らしさが出てるかなと思います。」

という本人解説。

ちなみにコチラがロッテガーナCM「マドラー当たる」篇の本編映像。

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また、2014年ソチオリンピック時でも披露したショートプログラムの「パリの散歩道」で披露していたあの有名な決めポーズ。

「あれ何ポーズって言うのかいまだに分かんないんですけど、僕たちは“ランジっていう技の変形”って言われてます。」と羽生選手は自らコメント。

コチラがその「パリの散歩道」の演技映像。動画内3:13付近 ※表示がブロックされますので“YouTubeで見る”からご視聴ください。

羽生選手の言っているランジ(lunge)とは基本的にこういった技の事を指していますね。

特に技の名前が付いていないという事なのでとりあえず“ハニュウ・ランジ”または“ユヅル・ランジ”とでもしておきましょう。

ハイドロブレーディングの元祖?

さてそんなハイドロブレーディングのパイオニアとして有名なのが1990年代に活躍したカナダのシェイ=リーン・ボーンとヴィクター・クラーツのアイスダンスペア。

以下の動画は1998年世界フィギュアスケート選手権のフリーの演技から。

97-98年シーズンで披露していたリバーダンスのプログラム。

二人が折り重なるようにして行うハイドロブレーディングでは観客も大いに沸いていますね。

こちらの動画は1996年世界フィギュアスケート選手権のフリーの演技から。シェイ=リーン・ボーンに全体重を預けるようにしているヴィクター・クラーツ。音楽と相まって何だかセクシーな雰囲気が漂います。

実況の声を聞くとハッキリと“Hydroblading”というワードを使っているのが分かります。

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1995年世界フィギュアスケート選手権エキシビションから。プログラムを通じて様々なハイドロブレーディングのパターンが披露されていますがシェイ=リーン・ボーンが単独で行うハイドロブレーディングはとにかく低いポジションをとるのが特徴。

数多くのハイドロブレーディングを振付に取り入れる事で有名なこのペアですが、1991年からパートナーを組んでいるこのペア以前よりハイドロブレーディングのテクニックは使われていたという記録が残っていますので発明したのは決してこのペアではありません。

あくまで世間に広めたという捉え方ですね。

wikipediaは誤り?

ではこの技を発明・考案したのは一体誰なのか?

wikipediaの情報によるとウシュイ・ケスラー(Uschi Keszler)というシェイ=リーン・ボーンとヴィクター・クラーツペアのコーチを務めた方が考案したということになっています。ウシュイ・ケスラーと羽生の縁

ただしこれは間違った情報で、正しくは「命名者」です。決して考案者ではありません。

これは海外の情報でも「名付け親」と記述されているので間違いないでしょう。

また、「ハイドロプレーニング現象(走行)からハイドロブレーディングと名付けた」という話は真偽のハッキリしない疑わしい情報です。

この根拠となっているのはカナダにあるヨーク大学の物理学・天文学の学術誌の切り抜きのような媒体。そこに「ハイドロプレーニングの一種としてのハイドロブレーディング」という記述があるだけです。どこにも「由来である」とか「ハイドロプレーニングからヒントを得て」なんて説明はありません。

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綴りは“hydroplaning”と“hydroblading”で非常に似通っていますので、そう思いたいのも分からないでもないですが、決定的な証拠がないため何とも言えませんね。

ちなみにくだんのウシュイ・ケスラーさんはトレーニングの一環としてハイドロブレーディングを選手達に頻繁に行わせており、その狙いとして体を傾けてスケーティングする際の恐怖心を取り除くためと語っています。

意外なつながり

これまで何度も登場しているシェイ=リーン・ボーンの名前ですが、羽生結弦選手とのつながりで言えば、2015-2016年シーズンとオリンピックシーズンである2017-2018年シーズンで使用した「SEIMEI」のプログラムの振付を担当したのがシェイ=リーン・ボーンなんですね。シェイ=リーン・ボーンと羽生選手

羽生選手がハイドロブレーディングの振付をプログラムに取り入れたのはファンからのリクエストがあったためと言われていますので、シェイ=リーン・ボーンの意向でハイドロブレーディングが振付けられたわけではないようですが、ちょっとした縁を感じる話です。ファンがシェイ=リーン・ボーンが振付担当だからリクエストを・・・何てのもありそうな話ではありますがどうなんでしょうか。

そしてもう一つのつながりで言えばハイドロブレーディングの命名者のウシュイ・ケスラーさんは選手時代のブライアン・オーサーのコーチも務めていたんですね。

こちらがブライアン・オーサーの選手時代の動画。1988年地元開催であったカナダ、カルガリーオリンピックで銀メダルを獲得した時のものですね。

ブライアン・オーサーと言えば羽生結弦選手やハビエル・フェルナンデス選手のコーチとして有名な方ですよね。平昌オリンピック ブライアン・オーサーコーチと羽生選手

振付師とコーチが共にカナダの方なのでそりゃ何らかのつながりがあるだろうと言ってしまえばそれまでですが、

ちょっとした縁を感じずにはいられません。

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2018-2019シーズンも健在

フィギュアスケートのGPシリーズ第3戦フィンランド・ヘルシンキ大会でも羽生結弦選手のハイドロブレーディングは健在。

コチラがその視聴動画。2:40付近。羽生選手のショートプログラム「Otonal (秋によせて)」のステップシークエンス中にごく短いハイドロブレーディングが登場し、その直後にクルッとジャンプする振り付けも特徴的。

フリーの「Origin」はコチラ。3:44付近。プログラムの最後のジャンプの直後のコレオシークエンス。レイバックイナバウアーを披露した直後にやって来るハイドロブレーディングで観客の興奮度もマックスですね。

 - フィギュアスケート

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