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日本プロ野球界で着用者急増中のフェイスガード付きヘルメット。あの名称や歴史について


シンプルなヘルメットを着用している野球選手が大多数を占める中、日本プロ野球界でも着用者が増えているのがフェイスガード付きヘルメットですね。何となくメジャー仕様な雰囲気があるあの独特なプロテクターですが、あの名称は一体何なのでしょうか?そしてその元祖とは?

というわけで、あの野球用具の裏にある歴史について調べてみました。

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名称は?

メジャーリーグを代表するバッターと言えば大谷翔平のチームメイトであるロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウトやワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパー、デトロイト・タイガースのミゲル・カブレラ、ニューヨーク・ヤンキースのジャンカルロ・スタントンなどの名前が挙げられますが、これらの強打者たちに共通するのがヘルメットに付いたプロテクター。

あの気になる用具の名前ですが、正式名称は、

C-Flap(Cフラップ)

と呼ばれています。

コチラが販売元であるMarkwort Sporting Goods(マルクウォルト社)によるCフラップの紹介ビデオ。

上記の動画の通り、実は元々こういった仕様のヘルメットが存在しているわけでは無く、後付けのオプションのような感じで通常のヘルメットの耳当てを延長するイメージで取り付ける用具なんですね。

現在ではMLBにヘルメットなどの用具を提供するRawlings(ローリングス社)がCフラップを必要とする選手の為に、ルールで定められている安全基準を満たすように一手に加工を担っているそう。チームカラーに統一してペイントするという作業も行っていますね。

Cフラップの装着には穴空けの作業が必要で穴を開けた時点で元々のヘルメットの安全基準が損なわれるので、勝手に選手の方でCフラップを付けたりという事は出来ないんですね。

こんな事情からRawlings(ローリングス社)が仲介を担うという手順が必要になるんですね。

ちなみに2018年の夏にはRawlings(ローリングス社)からも「EXT Flap(EXTフラップ)」という商品名でプロテクターが販売されているようですね。初めからEXT Flapが装着された状態のヘルメットも販売されていますね。

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Cフラップの元祖(?)スタントン

先ほど挙げたMLBの4選手のうちで最も早くからこのCフラップを着けていたのがジャンカルロ・スタントン。

2014年シーズンに当時フロリダ・マーリンズに所属していた際、9月11日のミルウォーキー・ブルワーズ戦で、マイク・ファイヤーズの投球が顔面(頬)を直撃し負傷退場。

後の診断で顔面の複雑骨折が分かり、シーズンの残り試合を全て欠場するというアクシデントに見舞われます。

こちらが当時の映像。デッドボールを当てたマイク・ファイアーズも思わず頭を抱える出来事でした。

※かなり強烈な映像なので視聴の際にはくれぐれもご注意ください。

その後にケガから復帰をする際にフロリダ・マーリンズは公式アナウンスとしてジャンカルロ・スタントンがフェイスマスク付きのヘルメットを着用する事を2015年春に発表。そして3月を迎えるころにいよいよ初お披露目となります。

これがその時の写真。

あれ?Cフラップとは違いますよね?

実はこれはCフラップとは似て非なるもの。

こちらのヘルメットはアメリカンフットボールなどのヘルメット製作などを手掛けるSchutt Sports(シャット社)が提供したもの。

カーボンファイバー製のガード部分の先端にさりげなくアルファベットの“G”が見えるでしょうか?

これはジャンカルロ・スタントン(Giancarlo Cruz-Michael Stanton)のイニシャルから取られたというスタントン用スペシャル仕様なんですね。

実はアメリカンフットボールでは選手個人にスぺシャル仕様の用具を提供するのがルールで禁止されているので、野球選手であるスタントンが同社のスペシャル用具を使用した選手というのは何だか皮肉。ある意味元祖は元祖でもSchutt Sports(シャット社)のスペシャル用具を使ったプロ野球選手の元祖ですね。何だかややこしいですが。

また、このヘルメットを使用する前はアメリカンフットボールに使用するような顎部分を全てカバーするようなフェイスガードが着いたヘルメットもテストしたようですが、

「顔全体を覆うタイプのヘルメットは好きじゃなかった。」「考えていたより(視界に入って)気になる。」

だそう。

その後に2016年シーズンからCフラップに鞍替えしたたスタントンはその後も継続して使用して今に至ります。

特に右投手を相手にする場合にCフラップを取り付けて、左投手に対してはCフラップの無い通常のヘルメットを着用するように使い分けているようですね。

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Cフラップの歴史・名前の由来

スタントンをかなり取り上げましたが、このフェイスガード(Cフラップ)の元祖はスタントンというわけではありません。

実はそれ以前にも2013年シーズンの途中からジェイソン・ヘイワード(Jason Heyward)がCフラップと思しきものを装着。当時はアトランタ・ブレーブス所属でしたね。

2013年シーズンのジェイソン・ヘイワードのハイライト動画がコチラ。

この他にもデビッド・ジャスティス、テレンス・ロング、ケビン・サイツァー、マーロン・バード、チャーリー・ヘイズ、チェイス・ヘッドリーなどなど。

続々と記録が出てきますが、このCフラップが初めに開発されたのはどのくらい前の話だと思いますか?

実は1970年代なんです。

1972年から1999年にかけてアトランタ・ブレーブスでチームドクターとして勤めていたロバート・クロー(Robert Crow)医師がその開発者。1970年に着想して1987年には特許も取得済みとなっています。何と日本においても同時期に特許取得済みなんだそうです!まあ何と先見の明!と言いたい所ですがアメリカ・日本どちらも特許の権利は消滅。

ロバート・クロー医師はその後の2004年に前述のMarkwort Sporting Goods(マルクウォルト社)にCフラップの販売権を譲渡して今に至ります。

このCフラップという名称の由来についてですが、英語でヘルメットの耳当て部を”earflap”と呼ぶのと同様に「flap=蓋の意」がついているのはいいとしてもその“C”の意味が気になりませんか?

これは頬を意味する“cheek”の「C」と、

開発者の“クロー(Crow)医師のイニシャル”の「C」から取られたものだそうです。

ロバート・クロー医師は整形外科医という事もあってオルソプラストという関節の固定などに使う装具をキッチンのフライパンで熱して遊んでいた時にこの用具を思いついて、その後大学に開発を協力してもらったり、実際にプロ選手たちにテストしてもらったりという段階を経て特許取得まで至ったようですね。

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Cフラップの真の元祖?

ロバート・クロー医師は記憶が定かではないと言いつつもCフラップの最初期の使用者として当時オークランド・アスレチックスに所属していたテリー・スタインバック(Terry Steinbach)捕手の名前を挙げています。

1988年5月に目の奥の眼窩骨骨折の怪我を負い、そのリハビリ過程で試合に出場するために使用したとの事。導入当初はチームカラーのグリーンの物が用意できずに仕方なく黒いCフラップを使用。その後にグリーンに塗り直して使用を継続したそう。

コチラが1988年のオールスターゲームでテリー・スタインバック捕手がホームランを放った時の映像。バッチリとCフラップが装着されているのが分かりますね。

この他にも当時Cフラップを着けていた選手は数名いたようですが、とりあえず映像としてしっかり残っていて、晴れの舞台であるオールスター戦でしっかり足跡を残したテリー・スタインバック捕手を一応元祖としてご紹介しておきます。さらにこの年にオークランド・アスレチックスはワールドシリーズにも進出しています。

この当時のヘルメットの安全基準についてはちょっと不明ですけどね。流石に勝手に着けたものではないと思いますが。

その後1989年まででCフラップの使用を止めたとの事で彼のトレードマークにはならなかったようですね。

Cフラップ以前のフェイスガードの歴史

Cフラップ以前ではアメリカンフットボールで使用されるような(スタントンがテストしたタイプの)ヘルメットが怪我をした選手の為に支給される事がありました。

ピッツバーグ・パイレーツに所属したデーブ・パーカーが使用した姿が代表的。日本プロ野球界で着用者急増中のフェイスガード付きヘルメット。アメフト型ヘルメットを着けるデーブ・パーカー

1978年6月30日に行われた試合の本塁突入の際にホームベース上でキャッチャーと交錯した際に顎と頬骨を骨折する怪我を負ったデーブ・パーカーがアメフト型ヘルメットを使用したんですが、実は怪我からわずか2週間後というタイミングで使用したのがコチラのマスク。左半分は黄色、右半分は黒く塗られたそう。日本プロ野球界で着用者急増中のフェイスガード付きヘルメット。ホッケーマスクの加工品を着けるデーブ・パーカー

いや・・・ヤバいビジュアルですよね。ホラー映画「13日の金曜日」のジェイソンもびっくり。ちなみに「13日の金曜日」は1980年に公開なのでデーブ・パーカーの方が先。

しかもジェイソンがホッケーマスクを着けるのは1982年公開の3作目「13日の金曜日 PART3」からなのでかなり先の話。まあ流石にデーブ・パーカーがジェイソンのモデルでは無いでしょうけど。(※ジェイソンがホッケーマスクを着けるきっかけは撮影クルーのバッグにたまたま入っていたホッケーマスクを試しに着けてみたらいい具合になったから採用したんだそうです。)

話が脱線しましたが、まあ以下のようなカラー写真で見るとまだマシ。ホッケーマスクを半分に切って加工した手作り感溢れるマスクで、1打席だけ立ったという記録が残っているそうです。結果は敬遠。日本プロ野球界で着用者急増中のフェイスガード付きヘルメット。ホッケーマスクの加工品を着けるデーブ・パーカー02

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一塁ベースに着くホッケーマスク男の恐怖の画像も残っています。早く逃げて~。この他にアクリル樹脂で作ったマスクも用意されたようですが使用はされず。また画像も残っていないそう。日本プロ野球界で着用者急増中のフェイスガード付きヘルメット。ホッケーマスクの加工品を着けるデーブ・パーカー03

流石にこのままでは視界が余りにも狭いという事で同じピッツバーグに本拠地を置くアメリカンフットボールのチームであるピッツバーグ・スティーラーズに掛け合って調達したのが2本のプロテクションバーが装着されたアメフト用ヘルメットからアイディアを借りたもの。顎紐もありますよね。日本プロ野球界で着用者急増中のフェイスガード付きヘルメット。2本バータイプのヘルメットを着けるデーブ・パーカー03

ただ、これでも視界が狭い(バーが高すぎて視界に入ってしまう)という事で辿り付いたのが既に紹介したヘルメット。こちらもアメフト用ヘルメットからの転用。ただし、バッティング時には使用せずに走塁時にのみ使用したそうです。

その他は1980年に2本バーを半分に切った状態で使用したエリス・バレンタインや、同じく1980年に黒くペイントしたバーのついたヘルメットを使用したゲイリー・ロイニッケなど。画像左がバレンタイン、右がロイニッケ。1980年 エリス・バレンタイン ゲイリー・ロイニッケ 2本バータイプのカスタムヘルメット

他には1994年のチャーリー・ヘイズ、1998年のオーティス・ニクソンなどもフェイスガード付きヘルメットを着用。

これより前だと1959年にビリー・マーチンの為にアメフト型ヘルメットが用意されたというニューヨーク・タイムスの記事が残っているそうですが、結局そのシーズンはプレーしなかったそうで陽の目を見る事は無かったそう。

さらに1905年にはこんなものまで。特許取得済みとはなっていますが実際に使用されたのかどうかは不明。

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Cフラップの流行

以前はデッドボールを受けた選手が怪我からの復帰時期に繰り返し怪我を負わないようにという「リハビリ的」な意味合いで使用されるケースが目立ちましたが、現在では怪我の防止効果から着用する選手が急増しています。特に2018年シーズンには流行の兆しが感じ取れるほど。

各球団を代表するようなバッターたちがこぞって着用するようになると多くの人が目にする機会も増え、さらにバッターからするとデッドボールの恐怖に怯えるよりも安心感を持てるというのが最大のメリット。

2017年シーズンにはミルウォーキー・ブルワーズ所属のキーオン・ブロクストンがCフラップにデッドボールを当てて大怪我を免れるというシーンも実際に起こっていますので、彼からしたらまさに九死に一生を得た出来事。

コチラがその動画。

Cフラップに当たってもなお、鼻血が出るほどの衝撃でこの後に負傷交代となるのですが、そのまま顔面に直撃していたらスタントンと同じく大怪我、あるいは生命にかかわるほどの大事に至っていたかもしれませんね。

このCフラップですが、長らく一手に販売を担ってきたMarkwort Sporting Goods(マルクウォルト社)の見解としては、それまで同社の上げる利益のうちの約1%ほどという小さなマーケットにしか過ぎなかったものが、ここ3年(2015年~2018)では15%までに上昇していてその広まりを確実に感じているとの事。

さらにミルウォーキー・ブルワーズではマイナーリーグにおいて全ての選手にこのCフラップの着用を義務付けるようにチーム内に通達したそうで、“球団として”Cフラップを導入した初のチームとなるそう。※正確には2017年時点でシングルA以下のマイナーリーグに所属する選手はマイナーリーグのキャリア中はずっとCフラップの着用を義務付け。

ちなみに韓国の野球界では早い段階から流行していたそうで韓国国内では「グラディエーター・ガード」なんて呼び名もあるとか。また、台湾野球界でも同様に流行の波が早くから来ていたそう。

このMLBにおけるCフラップの流行ですが、同社ではその流行の兆しがくだんのジャンカルロ・スタントンのショッキングな出来事にあったのではないか?としています。

Cフラップの元祖では無いものの、流行を作ったのがスタントンだったというのは怪我の功名と言うか何と言うか。

Rawlings(ローリングス社)ではCフラップの使用率について、それまで1球団に1人いるかいないかぐらいの使用率だったものが1球団に4人ぐらいのペースで使用率がグッと伸びているとしていますね。

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日本のプロ野球界では?

2018年シーズンの日本シリーズでは福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐や中村晃、広島東洋カープの鈴木誠也や丸佳浩などが着けているのを見て気になった方もいると思いますが、MLB同様にやはり強打者が着けているイメージが強いですね。

特にCフラップの先駆者と言われているのが東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティン。

2017年シーズンからCフラップ付きのヘルメットを使用する姿が目立つようになりましたよね。

というわけで日本のプロ野球界でもこれから徐々に広まりを見せるんでしょうか?

 - スポーツ

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