2018年ロシアW杯ではロシア・フーリガンに要注意。観戦予定の方は対策を
日本では一時期「フーリガン」という言葉が世間に広まり、特に2002年に日韓W杯が開催された折には海外から大量のフーリガンが入国してくるのではという懸念が報道されたりといったこともありましたが、今ではあまり聞かれなくなった言葉となっています。
しかし、日本においても未だに一部のマナーの悪いサポーターがフーリガンと関連付けられるような問題行動を起こすケースは頻発しており、決してフーリガンは過去の事として片付けられるような事ではありません。
スポンサーリンクEURO2016での出来事
それは、もちろん海外においても同様で、未だに規模の大きなサッカーイベントにおいては特にフーリガンによる暴力事件が起きており、2016年にフランスで開催されたサッカー欧州選手権(UEFA EURO 2016)においてもイングランド対ロシア戦の試合中にロシア・フーリガンによる暴動が問題となり、さらには会場の外でも場外乱闘が繰り広げられるという大事件が勃発しています。
※刺激の強い映像が含まれますので視聴には注意が必要です。
むき出しの暴力がありありと映し出されており、巻き込まれればただでは済まないという雰囲気がひしひしと伝わってきます。
フーリガンと言えばその元祖はイングランドにあり、最も危険な存在はイングランドのフーリガンと思われがちですが、実はロシアのフーリガンこそ世界で最も危険な集団として悪名を轟かせており、もはや暴徒化したサポーターと言うよりも訓練された組織暴力のような様相を呈しています。
先のUEFA EURO 2016開催中に発生した大規模暴動についても、ロシア・フーリガンは意図的に騒ぎを起こして、イングランドファンと喧嘩するつもりで現場に乗り込んでいた事も分かっています。開催国となったフランスでは当局によっておよそ150人のロシア・フーリガンが暴動を先導したと発表しており、計画的に引き起こされた暴動であった事は間違いないようです。
特にロシア・フーリガンにとっては「イングランドが常にフーリガンを主導しているように語っているのは鼻持ちならない。我々ロシアこそが最も苛烈なフーリガンである」という自負と共にライバル視しており、起こるべくして起こった暴動だったようです。
ロシア・フーリガンの実態とターゲット
ロシアプレミアリーグのチームの一つであるFCロコモティフ・モスクワでは500人から600人規模のサポーターが暴動に加わる要員として準備されているようで、2018年にロシアで開催される予定のW杯では虎視眈々とそのチャンスを探っているようです。
その他にもFCスパルタク・モスクワ、CSKAモスクワ、FCゼニトなどにもそれぞれ数百人規模の過激派集団が所属しているそうで、そうなると、普段はライバルチームのサポーター同士であってもロシアを代表するという目的の元に一致団結して他国のサポーター達を暴力や差別的なチャントによって威圧するような光景が見られるかもしれません。
彼らはその多くが20~30歳で、ボクシングやその他の格闘技の経験を持った人間が集まっており、喧嘩をふっかける際には他国のフラッグやバナーをターゲットにするそうで、さらには黒人やアジア人を差別的な意味を含めて意図的に狙うとも言われています。
SNSでは奪った他国のフラッグを戦利品として誇示する様子もアップされており、このようなアイテムを持っていると格好のターゲットになることが分かります。一目で他国のサポーターであると分かるような格好は会場外では避けた方が安全ですね。
Наши с английским “урожаем” pic.twitter.com/RhK33AEMw3
— Ofnews (@okolofnews) 2016年6月11日
画像ではイングランドサポーターから奪ったフラッグが侮蔑の意味を込めて「上下さかさま」にされて映されています。
ただ、ある種の美学も持ち合わせているようで「イングランドの奴らはすぐにイスや瓶を持ち出してくるが、俺達のスタイルは拳だけ。」と俗に言う“素手喧嘩(ステゴロ)”を信条としているみたいです。
「武器を使うのは、無用な怪我を引き起こすし、俺達は何も誰かを殺したいと思ってるわけじゃないし、怪我させたいとも思ってない。ある種のスポーツみたいなものだと考えていて、ただ力を誇示したいだけなんだ。」とも語っていますのでかなり複雑な動機を持っていることが分かります。
実際に、ロシア・フーリガンは事前にマウスピースや格闘技用グローブを準備していて大会に臨んでいたという事が分かっていますので、彼らの並々ならぬ本気具合が窺えます。
それでも、実際に暴動が起きてしまえばそんな信条は吹っ飛んでしまうようで、プロレスラーよろしく椅子を使ってイングランドサポーターを殴りつけるシーンや瓶を投げつけるシーンも先の映像に捉えられています。
周りに武器になりやすい物があるオープンカフェやバーはアルコールとの関連性も高く、乱闘現場になり易い場所である事が分かります。UEFA EURO 2016で起きた暴動でもこれらの場所で被害が多く報告されています。
スポンサーリンク大会主催者側や警察の対応
このような乱闘事件に対して大会側も手をこまねいているわけではなく、当事国となったサッカー協会に対して大会からの追放処分や罰金、次回開催の出場権剥奪などの制裁が待っています。
ただ、フーリガンにとってはこれらの制裁は全く意に介さない事のようで、「どんな手段を使おうと俺達は止められない」と語っています。もはや自国の代表チームがどうなろうと関係なく、ただ暴動を起こしに行く事のみが目的といっても過言ではありません。
また、UEFA EURO 2016においてはフランスの警察は「何か見世物を見るような感じで始めはただ様子を窺っているだけで、いよいよ暴動が終盤にさしかかってからやっと動き出した。」と語っており、警察の強権的な介入はあまり見られず、どちらかと言えば受け身のような印象を受けたそうです。これでは益々フーリガンがのさばるようになってしまうような気がします。
警察の積極的な介入が望めない場合には、実際に暴動が始まってしまう前に危険を察知できるかどうかがポイントになりそうですが、ロシア・フーリガンは一般大衆に溶け込むように意識して、一目でそれと分かるような格好は絶対にしないそうで、ロシア国旗や代表ユニフォームは身に着けないのが基本のようです。
むしろロシア国旗を持っていたり、代表ユニフォームを着ているのは本当のサッカーファンである証だそうでそういう人たちは逆に安全だとの事です。これはイングランドのフーリガンにも共通しているようで、一番危険な集団は普通のシャツにパンツ、革靴なんかを身に着けているそうです。
GoProが捉えた一部始終
以下の動画はロシア・フーリガンがいかにして集団行動をとって、暴動に加わっていくかをGoProの映像で捉えたもので、これを見れば分かるとおり、普通のどこにでもいるような格好をした集団が時として路地裏を静かに移動し、時として戦線を形成するように激しい暴力沙汰を起こす様がありありと浮かび上がってきます。
まるでゲームの中の世界のように感じますが全て現実に起こった出来事です。臨戦態勢を取る撮影者の影や手に持った瓶や椅子が映りこむシーン、路上に転がる人々とそれに群がって拳を打ち付ける集団などかなりショッキングな映像の連続です。
冒頭の映像にある通り“普段着の集団”がぞろぞろと闊歩している光景を目にした際には速やかにその場を離れるのが暴動に巻き込まれないためには重要です。
※刺激の強い映像が含まれますので視聴には注意が必要です。
動画自体フィクションでは?と思ってしまうかもしれませんが、乱闘現場で撮影された下の画像に写る特徴的なストライプのショートパンツに蛍光グリーンのマークが入った黒スニーカーの人物はGoProの撮影者に間違いないと思います。良く見ると腰の辺りにGoProと思われるようなものも確認できますしね。
実際に掴みかかっている青いハットに白いシャツでオレンジラインの黒スニーカーの人物はGoProの映像にもばっちり写りこんでます。ちなみにポケットにイングランド国旗を挿した人物が倒れこむシーンも存在しています。
フーリガンにとっては、もはやサッカーとかそんな事はどうでもよくて、多数対多数の暴力沙汰を起こすこと自体がフーリガンの動機になっているようで、人間の持つ原始的な暴力衝動がそこにはあるような気がしてきます。2018年にロシアで開催されるW杯を現地で観戦する予定の方はくれぐれもお気をつけ下さい。