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F・トーレスが頭部強打で意識を失うショッキングな映像を見る。正しい応急処置とは?


フィジカルコンタクトが常に付きまとう激しいスポーツでは、時として選手が危険な状態になるほどの怪我を負う事があります。特に頭部へ強い衝撃を受ける事は外傷性の怪我よりも生命を脅かすリスクが高く、場合によっては後遺症を抱えてしまったりと深刻なものになる可能性が高いので注意が必要と言われています。

最近もサッカーの試合中に不意打ちのように後ろから強いタックルを受けたアトレティコ・マドリード所属の元スペイン代表フェルナンド・トーレス(Fernando Torres)選手が意識を失って緊急搬送されるアクシデントが起きました。

敵味方関係なく、怪我を負ったフェルナンド・トーレス選手の周りに一斉に選手達が集まってくる光景は非常に恐ろしいですね。

ということで、そんなショッキングなアクシデント動画やサッカーなどのスポーツ中の怪我によって意識を失った場合の正しい応急処置についても合わせてご紹介します。

そして一番気になるのが「脳震とうなどで失神した選手の口に手を突っ込むのは本当に正しいの?」という点。

※今回ご紹介する動画は全て刺激の強い映像が含まれますので視聴の際はご注意ください。

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フェルナンド・トーレスのショッキングなシーン

アクシデントがあった瞬間に側にいる選手達が一斉に駆け寄って応急処置をしたり、

メディカルスタッフを必死に呼ぶ姿を見るとただ事ではないというのが一瞬で分かりますよね。

※以下の動画は再生がブロックされますので「YouTubeで見る」からご視聴ください。

またはコチラのYouTube動画。

アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネ(Diego Simeone)監督が烈火のごとく審判に詰め寄っているのは、

「ベンチの位置からでも音が聞こえた。」

と試合後にコメントしたように、離れた位置からでもその衝撃の大きさを感じたからでしょう。

失神した選手への対処法は正しいのか?

サッカーの試合中に選手が脳震とうなどで失神するシーンでは必ずと言って、

側にいる選手が失神した選手の口に手を突っ込んでいる光景をよく見るのですが、

これは舌が喉につまらないようにしている為の応急処置と言われています。

世界中のサッカー選手達が間髪入れず、当然のように行っている応急処置・対処法なので、

恐らくこの方法はサッカー選手達の中で常識となっているのでしょう。

今回のこの事故の直後に応急処置を行ったガビ、シメ・ヴルサリの両選手に対して医師から称賛の声があったという報道がされていますが、

本当にこの処置は正しいものだったのでしょうか?

他のスポーツでは?ラグビーやオーストラリアンフットボールの場合

例として他のスポーツのアクシデント動画についても見てみましょう。

サッカーとは比べ物にならない体格を誇る選手たちが激しいフィジカルコンタクトを行うラグビーやオーストラリア国内で高い人気を誇るオーストラリアンフットボールでは、大きな怪我はつきものですが、

以下はラグビーのケース。

ちなみにラグビーは他のスポーツに比べて圧倒的に試合中に脳震とうになる割合が高いスポーツというデータがあったり。

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コチラはラグビー同様に防具などのプロテクションが無いまま激しいフィジカルコンタクトが日常茶飯事であるオーストラリアンフットボールのケース。

いかがでしょうか?

サッカーと比較しても、よりフィジカルコンタクトの激しいラグビーやオーストラリアンフットボールではメディカルスタッフの駆けつける速度も段違いに違うのですが、

近くで脳震とうなどで倒れた選手がいたとしても周りの選手が即座に「舌がつまらないように」応急処置する場面は一切ありませんし、メディカルスタッフがそのような行動を取っている場面も見当たりません。

脳震とうで失神した選手が出ても「こいつ倒れてるぞ」とメディカルスタッフにジェスチャーで伝えながらも普通にプレーが続くのはラグビーならではですよね。

NFLでは?

お次はアメリカンフットボールの最高峰NFLでのアクシデント動画。

NFLでも脳震とうの後遺症などで引退を余儀なくされたり、引退後に頭部への繰り返しの衝撃によって起きる慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy=CTE)が問題になったり。ボクシングで言う所のいわゆるパンチドランカーですよね。

※以下の動画は再生がブロックされるため「YouTubeで見る」からご視聴ください。

冒頭の映像で二人の選手に挟まれるタックルを受けて体が硬直しているシーンもすさまじいですが、

ヘルメットが吹っ飛んでいくハードヒットも恐ろしい光景です。特に3:05付近のコンタクトシーンは完全に交通事故。

ヘルメット同士がぶつかるhelmet to helmetの状態だと聞こえてくる衝撃音もひと際。

まあほとんどのシーンが思わず声が出てしまうほどのハードコンタクトになっていて、脳震とうによる失神シーンも多いのですが、やはり舌がつまらないように手を突っ込む処置は見られませんよね。

そもそもフェイスガード付きヘルメットをしているので手が突っ込めないという事情ももちろんありますが、意識が飛んだ選手が出たとしても、むしろハードなタックルを褒め称えるシーンばかり。

流石に周囲が「これはちょっとヤバいかも・・・?」というようなシーンでは周囲の選手も急いでメディカルスタッフを呼ぶ姿が見えますが、

それでも率先して応急処置を積極的に行おうとするような選手はほぼいませんよね。

むしろメディカルスタッフから「どけ。触るな。」と言われているように見受けられるシーンもあるぐらいですし。

ボクシングでは?

「頭部への衝撃」という意味ではボクシングも外せません。コチラはノックアウト集のYouTube動画から。

こちらもラグビーやNFLと同様の対応ですね。

しいて言うならレフェリーが行う応急処置は倒れた選手のマウスピースを外す事だけです。

これは当然マウスピースが喉につまらない為や少しでも楽に呼吸ができるようにだと思いますが、舌を引っ張り出す事はまずしません。リングサイドにリングドクターが待機しているハズなので処置は医師に全て任せるのが基本と言わんばかりに。

それにしてもボクシングでは選手が失神すると「良いKOシーン、褒め称えられるシーン」として大歓声が沸くのに対して、サッカーで選手が失神すると皆、沈痛な表情を浮かべるのは考えてみると何だか妙ですよね。

先ほどのラグビーやNFLもそうですが、それぞれのスポーツが持つ特徴に合わせての違いといいましょうか、改めて考えると何だか不思議ではあります。

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頭部への衝撃

フェルナンド・トーレス選手がアクシデントに遭ったのと似たような状況がラグビーでありましたので、こちらの動画もご紹介します。

前述の動画にも登場していますが、頭部を地面に打ち付けた事で脳震とうを起こして意識を失ってしまうシーンです。

注目していただきたいのはアクシデントが起こった直後にメディカルスタッフがとる行動。

数秒で駆けつけたメディカルスタッフは当然、舌を引っ張り出すような行動はとっていませんが、

その代わりに地面にうち付けられた衝撃で脳震とうを起こし意識を失って倒れた選手の頭部を動かさないように固定しつつ応急処置しているのが見てとれます。

これは地面に落下した際の首、頚椎へのダメージを疑い、そちらのケアも考えてのアクションですね。

コチラの動画でも同様ですが、

やはり頭部を保持するようにして応急処置しているのが分かりますね。

正しい応急処置・対処法は?

専門資格を持っているアスレチックトレーナーさんの意見では、

確かに意識を失っていると舌が喉につまる事が多い(※これを舌根沈下と言います)ですが、

だからと言って舌を引っ張り出す行為は必ずしも正しいものではなく、

あくまで気道確保を行う事で問題ないそうです。

動画で紹介している通り、頚椎の損傷が疑われるスポーツの場面で下顎挙上法が多く見られるのは自然なことなんですね。

つまり、地面に頭を打ち付けて首を怪我した可能性のあったフェルナンド・トーレス選手に対する応急処置としては

下顎挙上法がベストだったと思われます。

報道ではフェルナンド・トーレス選手は「意識が無いだけで呼吸をしていた」となっている記事もありますので、

今回のケースでは気道確保すら必要なかったかもしれませんね。

というのも、激しい運動中の出来事である事を考えると、胸が大きく上下している事から呼吸は正常である事がすぐに分かるからです。

むしろ頚椎損傷のリスクを考えて首を動かさないように頭を固定する処置のほうが重要だったかもしれません。

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ちなみに口に手を突っ込む行為はあくまで嘔吐などで生じた口内の吐しゃ物や異物を取り除く時だけだそうで、しかも指を軽く突っ込む程度との事です。

こちらの動画は有名ですが、ゴールキーパーと交錯して意識を失ったオレグ・グセフ選手に対して対戦チームのヤバ・カンカバ選手が行った処置です。

映像をご覧いただければ分かりますが、口に手を突っ込むリスクがよく分かります。

このシーンでは意識が朦朧としている選手の口に手を突っ込んだばかりに指を噛まれてしまっていますよね。※後の報道で、フェルナンド・トーレス選手の口に指を突っ込んだガビ選手も指を噛まれていたそうです。

また、倒れた選手に群がるように周りを多くの選手が囲っていますが、メディカルスタッフが既に到着しているので、有資格者の専門家にバトンタッチするほうが賢明です。※カメラなどから倒れた選手を隠すという意図については否定はしません

特にこのような場面では頭部に受けた衝撃によって脳震とう症状を起こしているケースであり、頭部や首周り以外の脊椎などにも深刻な怪我を負っている可能性も考えられますので、専門のスタッフが到着するまでに周りの選手がすべき事は呼吸をしていないのであれば下顎挙上法による気道確保で問題ないということです。

フィールド上の救急のプロフェッショナル達がどのような処置をとるのかの手順について解説した講習動画では複数のスタッフによって選手の負った怪我について手早くチェックしていく様子が分かります。

頸椎だけではなく脊椎へのダメージも考慮して慎重に選手を仰向き姿勢に変えたりと丁寧な処置。吐しゃ物をかき出す際も体を横向きにして、指先で口を軽くかき出すだけですよね。

フェルナンド・トーレス選手やオレグ・グセフ選手に対する応急処置では首を固定するという手順を行っていないため、乱暴に姿勢を変えたことによってさらに深刻な怪我を負いかねない間違った方法だったのがよく分かりますね。

サッカーではこういった選手による応急処置シーンが美談になっている節がありますが、本当に正しい応急処置についてもう一度考え直すべきでしょう。

プロの現場であれば必ずメディカルスタッフが常駐しているハズですので、ラグビーなどのように応急処置は専門家にお任せするのが良いというのは言うまでもありません。

かなり乱暴な言い方をすれば、メディカルスタッフが到着するまでの数秒間呼吸が止まろうが人間はそれだけでは死なないので。

という事で以上、試合中に意識を失った選手に対する正しい応急処置について、サッカーと他のスポーツで比較した時の「常識」「非常識」についてでした。是非ご参考に。

 - サッカー, スポーツ

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