カーリング女子の銅メダル獲得の裏側。なぜ練習では「そだねー」を言わないのか?
日本のカーリング競技においてオリンピック史上初の表彰台に立ったカーリング日本女子代表。LS北見/ロコ・ソラーレのメンバーたち。メンバー全員が北海道北見市常呂出身ということで彼女たちが試合中に使っている「そだねー」が注目を浴びる一因になりましたね。
しかしながら、練習中の彼女たちの姿をよく見てみると「そだねー」の言葉はあまり聞こえてきません。さらにチームのトレードマークともいえる「笑顔」も少なめです。それは一体なぜなのでしょうか?
というわけで、3月11日放送の「Get Sports」よりその理由についてお伝えします。
スポンサーリンク徹底した話し合い
この日の練習風景ではリンクの状態についての話し合いが行われるシーンが放送されていました。
競技中であれば出場メンバーの4人だけですが、練習では5人全員がリンクに入って、さかんに話し合いが行われています。
持ち時間も気にすることなく、納得いくまで全員が意見を出し合って作戦を決めるため、10分以上話し合うこともよくあることだそうです。
練習後に行われるミーティングが2時間を超えることもあるようで、意見をぶつけ合っているのが感じられます。
肯定や同意を意味する「そだねー」は少ないのも頷けますよね。
ステイポジティブ
この徹底的な話し合いについてチームのスキップを務める藤澤五月選手はこんなことを、
「今まで曖昧になっていた部分をしっかり細かく話し合って、試合で悩まないように、練習ではいくら時間をかけてもいいのでパーフェクトを目指してやっていこうと」
試合中に徹底しているチーム内のルールについて本橋麻里キャプテンが明かしたのは、
「試合中はマイナス、ネガティブなワードを出さない。コーチからも『ステイポジティブ』でいるようにって言われているので」という内容でした。
これは3月5日放送の「中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います!」で語られた内容ですね。
スポンサーリンク試合本番で否定的な意見が出ないように、練習時間やミーティング中に徹底的に意見を出し尽くしているからこそ、試合中はスピーディーな意思決定がなされているということでしょう。
だからこそポジティブなワード「そだねー」と笑顔が溢れた試合中継になったというわけですね。
吉田知那美の加入
2014年ソチオリンピックに北海道銀行のチームメンバーとして出場した吉田知那美選手。
しかし、オリンピック終了直後に自由契約通達を受けます。つまり戦力外、クビということですね。
大会終了直後に行われたチームインタビューでは、「自分の能力以上の環境に身を置けたというのは、私の人生の財産ですし。」とコメントしたところで涙が溢れ、その後が続かなくなってしまう場面もありました。
このインタビュー時には既に通達済みだったようです。
失意の中、引退も頭をよぎりますが、それでもカーリングを続けたい気持ちは変わらないまま故郷の常呂に戻ってひっそりと練習する日々が続きます。
そんな時に声をかけたのが本橋麻里キャプテン。一度は誘いを断ったそうですが2014年6月にLS北見に加入を果たします。
ソチオリンピックで得た経験をチームに生かしてほしいという本橋の頼みに応えるように吉田知那美はチーム内で積極的に発言するよう努めます。
当時のLS北見はオリンピック出場経験者が本橋のみで、練習メニューや戦術などは全て本橋の決定に頼ってばかりの状態だったそうですが、
吉田知那美がサブリーダーとして他のメンバー意見をぶつけるようになったことでチーム内の意見交換が活発化。その結果、チームコミュニケーションの向上につながったのです。
吉田知那美の加入によって練習時から活発な話し合いが盛んに行われるようになり、試合中はそれを確認していくだけというレベルにまでチームワークを高められたというわけですね。