最速女王・福島千里の復活に向けたトレーニング、食生活について。「情熱大陸」より
日本女子最速スプリンターの座に長年君臨してきた絶対女王、福島千里。100mと200mの日本記録保持者で日本選手権は100mを7連覇、200mを6連覇とその強さをいかんなく発揮してきた彼女がぶつかった大きな壁。自分の走りを改めて見つめ直して福島千里は完全復活を果たすことは出来るのでしょうか?
というわけで、6月24日に放送されたTBS系「情熱大陸」の番組内容を元に、その詳細についてお伝えします。
復活にむけたトレーニング、食生活とは一体どのようなものなのでしょうか?
スポンサーリンク天然系?最速女王・福島千里
その圧倒的なスピードで日本女子短距離界を引っ張る福島千里ですが、実は素顔は天然系。
冒頭で流れたインタビューでは、
「想像もしない、走った事のないタイムで走ろうと思ってはいるので・・・いるじゃないですか?もちろん自己ベスト更新なので。なのでやっぱり自分の感覚の中にないモノをしないとそこには辿りつけないと思うので。」
そう言って視線を遠くへやった途端に「んは!」と身を震わせる福島。
どうやら、てんとう虫が体に止まって驚いたようですね。
福島「びっくりしたぁ・・・。笑」「あーびっくりした、ごめんなさい。てんとう虫さん。」
虫は苦手なようですね。
2017年6月日本選手権から
2017年6月に行われた第101回日本陸上競技選手権大会。
史上初の8連覇を懸けて日本選手権の舞台に臨んだ福島千里でしたが、結果は2位。
以下の動画はレース映像。女子100m決勝の様子です。※表示がブロックされるため「YouTubeで見る」からご視聴ください。
このシーズンの福島は原因不明の脚の痙攣に見舞われて十分なトレーニングが積めませんでした。
年齢からくる限界説もささやかれ、福島の時代は終わってしまったのか?
ここでウェイトトレーニングに打ちこむ福島の映像。
ハング・パワー・クリーンで屈伸を深めに取るタイプのトレーニングですね。動画ではやや膝を曲げる程度ですが、福島千里の場合はもう少し深め。
福島の目標は日本選手権優勝、自己ベスト更新、アジア大会(ジャカルタ)金メダル。
「自信があるかないかは関係なく、やることをやる。」
スポンサーリンクチームメイト
福島は2018年に大きな決断をして、生まれ育った北海道を離れて練習拠点を神奈川に。
カメラは慶應義塾大学日吉陸上競技場で練習する姿をとらえています。
新たに企業チーム(ファーストトラック株式会社)に所属することに決めて復活の道を模索します。
会社の活動としては月に一回の活動報告をオフィスで行っているようです。ただ、レース会場での表示を見ると所属はセイコーとなっています。
福島の絶対的な武器はその圧倒的なスタートダッシュ。スタートで一気に飛び出してそのまま独走するのが福島本来の走り。
やはり復活のカギを握るのはスタート。
この武器を進化させるため、最高のチームメイトの存在。それが男子100m歴代2位となる10秒フラットの記録を持つ山縣亮太。セイコー所属ですね。先輩後輩で言うと年齢的に福島のほうが先輩に当たります。
世界トップレベルのスタートダッシュを持つ山縣から見た福島の印象とは、
スタート30mで勝負を決めていたというイメージだそう。
山縣のスタートの瞬間の映像を自身のスマホで撮影する福島。
スタートの構え方、重心の位置、飛び出した後の姿勢などを細かくチェック。
コーチ兼トレーナーの仲田健氏に「やりたくなりますね。」と漏らす福島。体が違うためにそっくりまねをすることは出来ないため、自分に合うポイントを模索します。
今度は自分の走りをビデオで確認。
実は今まではあまりこういったことをしていなかったそうです。福島は感覚派ですが、一方の山縣は理論派。そこにヒントがあると福島は信じているようですね。
横に置いたドリンクにはモザイクがかかっていますがカラーリングから「VAAM(ヴァーム)」でしょうか。
ウェイトトレーニング
トラック練習以外に新たに取り組み始めたのが本格的なウェイトトレーニング。
ワンハンドで行うダンベルローイング。15kgのダンベルをかなり早いタイミングで上げていますね。
さらにベンチプレスも行います。上半身の筋肉をつけることで地面からの反力に負けないように抑え込むパワーを生みます。さらに腕の振りに影響するため推進力アップにもつながります。
ベンチプレスではかなりブリッジを使って挙げていますね。レップの最後の方なので追い込むためにブリッジを使っているようです。最後はスポット役のサポートをもらって何とか挙げきっています。
「最後の一回が出来ない。だ~あっ。これが私の弱さですよ。ラスト1回。最後が出来ない。」
筋トレの影響で腕が太くなり、体重もマックスで4kg増。
「この前服が裂けたらしいですよ。鍛えすぎて。服の肩の所がビリって。」という山縣のコメント。
福島「それは本当のことです。笑」
ウェイト用のベルトを巻いてパワーラックでスタンバイ中の福島。
続いてはトラックでストレッチポールを使ってコンディショニング中の映像。カーフ部をポールに乗せて反対の足の踵で押さえるようにしていますね。
自身の画像をリツイートしようと思った所、自分の体の大きさに自分で驚いたというエピソードを話す福島。
「むしろ小っちゃくなったかなって思ってて。もう一回日本選手権までにって思ってたら、すっごいおっきくて。『気持ち悪い』って思って。笑」
まあ鍛え上げられたアスリートの身体は“異常になっていくのが普通”なので、ある意味正解かもしれません。
スポンサーリンク食生活
かなり年季の入ったレミパンで料理を作る福島。
お肉を切らずにそのまま投入。
「あっ。切るの忘れちゃった。まいっか。」
マンションに一人住まい。
料理は栄養士の指導の下、自炊するのが日課だそうです。
この日は牛丼、サラダ、あさりの味噌汁。飲み物はオレンジジュースでしょうか。デザートにR-1ヨーグルトですね。
食後のインタビューでは「まだ達成感を味わったことが無い。」と言う福島。
後ろにはダイソンの掃除機が映っていますね。
常に走りながら課題を見つけていくクセがついているのか、もっとやれるという気持ちが先に出てくるために達成感はあまり味わったことが無いとのこと。
「味わうためにはちゃんとやらないと。」
日本選手権2か月前
日本選手権を2か月後に控えた4月29日の織田幹雄記念国際陸上競技大会。
これが2018年国内第一戦。
2010年には日本記録を打ち立てているゲンのいい大会。
結果は見事1位。レース後には笑顔も。
福島千里の両親
1988年北海道の農家に生まれた福島千里。
小さいころに熱中したのは北海道らしくスケート。
陸上に出会ったのは小学校4年生の時で足の速さを見込まれたて陸上クラブに誘われたのがそのきっかけでした。
北海道の実家には両親が飾った娘の選手姿の写真がいっぱい。
父・輝幸さんは「辞めれば?という思いは浮かんでこない」とおっしゃっていますが、母・玲子さんは「でも私ふと思うよ。」という答え。本人に言ったことはないそうですが「まだ頑張るのかなぁ。」と感じることがあるそう。
模索の日々
日本選手権3週間前。6月3日の布勢スプリント2018。
日本選手権で敗れた相手である市川華奈も出走。
結果は3着。タイムは11.46。またも市川華奈に敗れるという結果に。
レース後は、
「もうどうしよう・・・。」と頭を抱える福島。
「レース自体が良くなっていることは全くなくて。スタートも良いと思わなくて。」怒りにも感じられるやや強い口調で仲田健氏に話す福島。
仲田「一番めっちゃいい時のスタートをもう一回俺が見ないと。」
「過去に囚われる必要はないと思うんですよ。過去の記憶何て不確かだし、過去に戻そうと思っても、戻すのは良くないと思うし。」「そんな言葉を大切にとっておくような事しなくていいと思う。」
「どうしよう・・・。どうしよう。」
「どうしよう・・・。」最後はため息と共に消え入りそうな声でそうつぶやいた福島。先が見えない苦しさからか「どうしよう。」という言葉ばかりが目立ちますね。
ただし、あくまで過去とは決別したいようで、昔の話を切り出した仲田コーチの言葉には過敏に反応していましたね。
スポンサーリンクそしてレースから2日後。
悔しい結果に終わった福島とは対照的にチームメイトの山縣は見事優勝。
陸上トラックではサッカーボールを使ったリカバリー法。
サッカーでいう所のいわゆる「鳥かご」ですね。
2人の選手でパス回しをして、中央に立つディフェンス役の選手がインターセプトを狙うというもの。3人で行っており、この映像では福島が中央に立ってディフェンス役。あとは山縣を含めた男子2名。
笑顔もいっぱいで「いや~!」と悲鳴を上げながら必死にボールを追いかける福島。気分転換もかねたリカバリー法ですね。
「やだやだ。罰ゲーム。」と福島が漏らしていたところからすると、ボールを奪えないと何らかの罰ゲームが待っていたようですね。
さらにボールを使ったリフティングも行う福島。膝ばかりを使って3回成功したところで4回目はアゴに当ててあえなく失敗。「痛っ。」と言って笑いながら倒れ込んでいますね。
この日の練習後のインタビューでは、
「負けて良かったとは思わないですけど、これを何かに変えるしかないし。直す所しっかり直して、3週間、長いようで短いと思うんですけど、どうにでもなれる3週間だと思うので、悪くも良くも。怖いですよ3週間って。」
日本選手権まで10日と迫ったこの日。
スタートの新しいフォームを試してみるようですね。
スターティングブロックに置いた右足のつま先を地面につけずに高い位置に置いてみるフォームから。スタート直後の一歩目を素早く前に出せるようにという狙いのようです。
撮影した動画を見せながら「(からだが)一瞬浮きましたよね?スタートの時。」と指摘する山縣。
山縣「スタート変えてからですかね、ちょっと高い気がするんですよね。重心が。」
福島「う~ん。」「足戻そうかな。」
山縣「戻したらどうなるかってのも試してみるのもアリかもしれないですね。」
福島「ちょっともう一回やってみます。ありがとうございます。」
スタートで足が高い位置にあるので、そのまま飛び出すと前ではなく上に浮き上がってしまうのがロスにつながるということですね。
山縣「こっちのほうがナチュラルになりましたよね。」
福島「うん。何かさっきの浮いたのよりは。」
山縣「足の位置を上げてる時は、どうしてもその分重心が高くは最初見えてたんで。」「タイム的には多少変わりました?」
福島「ちょっとだけ速くなりました。」
山縣「ああ。良かったですね。」
福島「こっちのほうが。」
仲田コーチを交えながらさらなる改良を加えていきます。
山縣「次は何か意識されるんですか?」
福島「次は何かもうちょっと腰を上げすぎないで、もっと背中がすっごく丸まらないように、ぐらいの所にお尻止めてみて出てみようかなって。」
走ったみた後の検討では、
山縣「浮き上がりは相変わらずないですけどね。」
福島「ホントですか?もうちょっと。もう少しな気がする。もう少し。」
自分の感覚や外から見ての感想などを踏まえながらちょっとずつスタートフォームを改良していくプロセスは非常に微妙なものですね。
それでも、コレという絶対の正解がないところが難しい所です。
スポンサーリンク日本選手権
そして迎えた6月23日第102回日本陸上競技選手権大会。
結果は女王復活ならず。
市川華奈を上回ったものの、世古和に敗れて2着という成績でした。
以下の動画はレース映像。女子100m決勝の様子です。
レース後のインタビューでは、
福島「お疲れ様です。」
スタッフ「どうでした?」
福島「負けちゃいました。」
アジア大会の選考について聞かれると、
福島「そうですね。アジア大会に選んでもらった際にはちゃんと当初の目標にしているアジア大会優勝、日本選手権は優勝出来なかったですけど、ちゃんと目標ブレずにそこに向けて、あと2か月あるので。頑張る。」
最後は笑顔で前を向く福島千里でした。