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デートで使える池袋サンシャイン水族館のおすすめ鑑賞法を水族館プロデューサー・中村元が自ら解説


日本初となる屋上にある水族館、池袋サンシャイン水族館は都内のデートスポットとしてもメジャーな場所ですが、名物の空飛ぶペンギン水槽やペリカンを見て楽しんだり、水槽内を泳ぐ大小さまざまな水棲生物を鑑賞するだけではなく、実は様々な趣向が凝らされたいわば一種の“劇場・映画館”なんです。そんな池袋サンシャイン水族館の隠された楽しみ方についてプロデュースを手掛けた中村元氏が自ら解説。

これを知ったうえで水族館を訪ねればデートのトークネタになって必ず盛り上がるはず。

そんな正しい鑑賞法についてフジテレビ系で11月19日・26日に前編後編に分けて放送された「白昼夢」の内容に基づいてご紹介します。

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エントランス

まず池袋サンシャイン水族館のエントランス部で目に入ってくる水のカーテンのような噴水施設。

ここでは水の美しいイメージを訪れるお客さんにまず見てもらうという目的で作られていて、

中村元氏曰く「オアシス」のイメージ。

水が大量に流れる噴水で“湧き出て来る水=オアシス”を想起させるためなんですね。

というのも池袋サンシャイン水族館の基本コンセプトは「天空のオアシス」

普通、水族館というと海とセットになっていて建物内で鑑賞するのが一般的。

海水浴場に併設された水族館であったり、海の近くに建てられた水族館だったり。

これはお客さんを水族館に呼び込むための基本戦略だったのですが、池袋サンシャイン水族館ではそのセオリーを完全無視。

海は近くに無い、屋上のスペース、さらにビルに囲まれた立地と中村元氏曰く「最悪。やっちゃいけない所に出来ている。」という環境。

元々サンシャイン水族館はサンシャイン国際水族館の旧称で1978年10月に開館。世界初の高層ビルの屋上に建てられた水族館でした。

それを生かすために様々な趣向が凝らされて2011年8月4日にリニューアルオープンしたのですが、そんな知られざる工夫についてもっと深く見ていく事にしましょう。

空飛ぶペンギン・ペリカン

屋上に建つというのは弱点でもあり、武器でもあるという考えの元、中村元氏が考え出したのが「海は無いけど空はある」というアイディア。

ただし屋上という場所柄、大敵となるのが雨。でも屋上に屋根を付ける事は法律で禁止されています。許されているのはテント屋根のみ。

でも、このテント屋根の野暮ったいデザインを嫌った中村元氏はテント屋根無しの案で行くことに決定。

中村元「取っちゃえよと。でもテント無かったら暑い。雨の時困る。いやいや、いい方法がありまっせっていう風に・・・」

「それがコレです。」そう言いながら中村さんが案内してくれたのがサンシャイン水族館の顔とも言える「空飛ぶペンギンエリア」

ペンギンやペリカンを下から眺めるという世にも不思議な体験が出来るこのエリア。頭上に何もいなくても水で満たされた屋根(水槽)とその上に見える空が何とも涼し気。

晴れの日であれば水面のゆらめきに合わせて日光がキラキラと光る様が鑑賞ポイント。すぐにペンギン水槽エリアに移動するのもいいですが、ペリカンを頭上に見る“水槽屋根”も見どころですね。

夏場の屋上は強烈な太陽光がかなりキツいのですが、水を張る事で太陽光を反射させて紫外線もかなりカットされるとの事。

ペンギン水槽エリアに移動すると今度は頭上いっぱいに広がる水槽屋根。もはや部屋と言ってもいいスペースになっていますね。

ここでは、空を“借景”とすることによって空間を広く見せるという工夫が施されています。奥に見える他のマンションやビルすらも借景にして都市型水族館を意識させる作りになっているんですね。

※借景とは山々や森林などの外の景色を園内の背景の一部として取り込むことで、一体化させて景観を生む手法。

今では空飛ぶペンギンとして有名になったこのペンギン水槽のスペースですが、実は「空を飛ばしたいという考えはあまり無かった。」と中村元氏は語ります。

それよりも水槽の狭さをカモフラージュするために頭上まで水槽を伸ばしてしまえという発想が元になっているとの事。重量の観点から屋上には大量の水が必要な水槽は置けないという事情から考えられた苦肉の策だったわけですね。

実は頭上にあるペンギン水槽の厚みはわずか20cmしかないんですよ?

でも実際に水槽の中に立ってみるとそんな狭さは感じませんよね?

屋上というデメリットをメリットに変えてしまう発想法でこんな“進化形水族館”が出来上がるという可能性を中村元氏が見せてくれているんですね。

中村元「僕はカッコいいなぁとか、この(海の生き物たちの)カッコよさを水族館で見せるにはどうすればいいかな?とかね。」

そんなアイディアは室内エリアにも。

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室内エリアのコンセプト

続いては室内エリアに移動しますが、入口から何かの雰囲気を感じられるものはありませんか?

中村元「何かに似てると思いません?他の施設。」

その答えは、

映画館

あえてかなり照明を省いて暗く作っている事で映画館のような雰囲気を醸し出しているとの事。

中村元「僕の“映画館理論”なんです。ウチの水槽って水槽ちっちゃいんですよ。スクリーンみたいになってるでしょ?そういう所で周りを真っ暗にすると、例えば映画館と(家庭の)テレビと比べると映画館の方が画面がガンと大きく感じるじゃないですか?ショボイ映画館入っちゃった・・・と思っても始まって真っ暗になると突然ウワッと大きくなりますよね?他に見えないから。脳で処理するもの(対象となるもの)がそれしかないからです。」

小さな水槽でも周りを真っ暗にする事で水槽の存在感を際立たせることが出来るので自然と大きく感じさせるという狙いなんですね。実は水位もかなり低い水槽なんですがそれを感じさせませんよね?

子どもの感覚

そして水槽の低い位置にいるチンアナゴ。

そのユニークなフォルムやネーミングなども相まって人気の生き物ですが、“子どもの視線の高さ”が意識されているディスプレイとの事。

でもその発想の元にあるのは非常にユニークな中村元氏の考えで、

中村元「子どもは下しか見えないのが大事だと僕は思ってるんです。段々、大人になるごとに視線が変わってくるのがいいじゃないですか。子どものためにやるのは絶対ダメだと。」

大人が子どもの感覚に合わせるのではなく、子どもが徐々に大人の感覚を学んでいくという変化や成長が大事との事。

これはかつてドリフターズで子どもたちから熱狂的な支持を受けていた志村けんさんが同じような事をおっしゃっていましたね。

なんでも、子どものレベルに合わせてギャグを考えると途端に子供にウケなくなるそうで、あくまで大人を笑わせる用に作ったものでないと子どもは笑わないんだとか。

大人の鑑賞に堪えうるものでないと全世代を楽しませることは出来ないのは当然の事ですよね。

水の動き

また、「水槽内で水が動いているのを見せる事が大事」と中村元氏は語ります。

水槽内にある揺れるサンゴたちはその効果を高める狙いで入れられているとの事。

中村元「揺れないサンゴは作り物にしか見えなくって。揺れるサンゴがすごくいいんですよね。」

水流が無いとサンゴが育たないという事情もありますが、揺れるサンゴを多く取り入れるようにというリクエストをしたのは水の流れを意識させる狙いからだそう。当然、水流がある事で魚たちも自然と活動的に。

中村元「普通の人は魚一つ一つを見ずに全体的に見てるでしょ?だから“水中感”を見に来ているんですよね。僕は“水塊(すいかい)”って呼んでるんですけど。海の塊を持ってくる。川の塊を持ってくるっていう風にすると皆さんは水中を楽しんでくれるんですよね。」

続いて移動したのはイワシの展示。中にはひと際目立つコブダイが紛れ込んでいるんですが、これは整然と泳ぐイワシを“乱してやりたい”という狙いがあったそう。

でも、

中村元「最初のうちはちゃんと乱してたんですけど、慣れちゃってねぇ。もうダメだなぁ~。魚もね割とサボる。笑」

ちょっとコブダイの忖度に狙いが外れちゃったとの事。

そういう失敗もあるんですね。

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オペラ座の怪人?

続いて目に留まるのは頭上まで張り出したアールのついた水槽。

これはサンゴ礁の中の洞窟をイメージした展示。

ここには様々な視覚効果を使った趣向が凝らされているんですが、

中村元「水槽って水を入れるとベタンとするんです。普通。1mの奥行きがあると70cmぐらいにしかならなくなるんですよ。すごく近くなっちゃうんです。それが嫌でず~っと考えて、ある時にですね、『オペラ座の怪人』を観に行ったら、舞台の奥行きってすごいじゃないですか?それすごく使ってるんです。」

舞台装置や照明を研究したという中村元氏は舞台セットの大道具の手前側と奥側の空いているスペースに照明で光を入れる事で理体感を強調するという手法を水槽内にも取り入れたとの事。

水槽内を見ると確かにサンゴ礁の間に水中ライトで光が入っていますね。自然界ではこれはまずあり得ない景色ですが、そうする事で狭く感じがちな奥行きを広く感じさせる事に成功。

また、舞台で使われるホリゾントライトも水槽内で流用。ホリゾントライトとは舞台の背景用の幕を照らす照明器具の事でこんなイメージ。池袋サンシャイン水族館のホリゾントライト

さらに遠近法も使用して奥に消失点を設ける事で奥行き感を表現しているとの事。

中村元「こういう風になってると、お客さんどうするかっていうと、水中が面白いと思った上に“何かを発見したくなってくる”んですね。そうした時の満足度っていうのはすごいんですよね。」

タカアシガニの“岩”舞台

続いてはタカアシガニの存在感が際立つ水槽。

ではなぜその存在感が際立つかと言うとそれはタカアシガニだけが浮き出て感じられたから。

本来は深海生物なので真っ暗な水槽にしないと深海らしさが演出出来ない所ですが、そうすると真っ暗なので誰も見てくれなくなってしまう。それを解決するために“下から光を当てる”という手法を取り入れているとの事。

また、本来深海にはあまり見られないハズの岩を構造物として置いているのも、まるで舞台に上がるかのようにタカアシガニが高い位置に登っていく姿を見せたいからという狙い。

確かにゴツゴツとした岩肌をのしのしと長い足を使って登っていくダイナミックなタカアシガニの姿は印象的。

中村元「この大きさ見たらビックリするじゃないですか。でもみんなね、このタカアシガニをね見つけられないんですよ。暗いから。見つけられる前に『何もおらんな。ほな行こか。』って行っちゃうから、それを『いやいや何かおるぞ!?』って思わせる為に光を当ててるんですね。」

巨大水槽の本当の形?

続いてはサンシャイン水族館の中でも最も大型の水槽。

ビルの中なので水槽の高さなども限度があるんですが、深くて広い水槽のように見せる工夫。

皆さんはパッと見た感じで水槽がどんな形か想像が出来ますか?

ほとんどの人が空き缶を切ったような円柱形だと思うのではないでしょうか?

でも本当に円柱形の水槽だったらビルに入りきらないサイズになってしまうので実はこれは錯覚。

一番奥行きがある部分で20m、30mもあるように感じられるのですが実は一番奥の部分で約10mという狭さ。

ではなぜ奥行きが倍以上もあるように見えるのかと言うと、実はお客さんが立っている部分の水槽の高さが3mなのに対して奥側は高さを2mに変えて徐々に先細っていくテーパーをつけてあるんですね。これも遠近法を取り入れた手法。

ちなみに端っこに置いてあるゴツゴツした岩肌はビルの柱を隠すためのもの。水槽は柱を囲むようにして設計されているので目隠しにしているんですね。

 

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立ち入り禁止の水槽の裏側

ここからは一般の人が立ち入り禁止のエリア。

先ほどの大きな水槽の裏側がどうなっているのかという点についてバックヤードに移動して詳しく見ていきます。

裏側に回ってみるとやはり、水槽が思っていたよりも圧倒的に小さいという感想を持つようですね。

さらに舞台の上の照明がある天井部のような雰囲気のバックヤード。

ライトの数が大量に備え付けられていますが、これは太陽光を再現するためとの事。

サンシャイン水族館の名に恥じないように、太陽光は外せない要素と中村元氏の言葉。

意外と新鮮に感じるのが木造の足場。

耐久性の面から見ると錆びないので木で作るのが一番理に適っているためだそう。

【前編はここまで】

※後編も含めた全編は番組放送後に更新予定です。

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