シンデレラ城のモデルは“ノイシュヴァンシュタイン城では無い”というのはウソ?その真実とは?
ディズニーランドのランドマークとしても有名なシンデレラ城ですが、そのモデルとなった実在のお城はドイツのノイシュヴァンシュタイン城と言われていますね。ですが一部のブログでは“ノイシュヴァンシュタイン城では無い”なんて事がまことしやかに説明されていたりして一体どっちがホント?という事でその辺を調査してみました。
今回は日本語ウィキペディアばかり参考にしているとこういう恥ずかしいミスをしてしまうよという教訓じみたお話。
スポンサーリンク目次
シンデレラ城のモデルは12個?
何はともあれ、シンデレラ城のモデルになっていると言われているお城・教会からご紹介しましょう。
ヨーロッパ各地に実在している複数の建造物をモチーフにしてシンデレラ城はデザインされたと言われていますが、それらはドイツ、フランス、スペイン、ポーランド、チェコ共和国、スコットランドと多岐に渡っています。
1. ノイシュヴァンシュタイン城
Neuschwanstein Castle
いきなり元も子もないお話ですが、シンデレラ城のデザインに多大な影響を与えた建造物の筆頭がコチラのノイシュヴァンシュタイン城です。
画像はマジック・キングダムにあるシンデレラ城ですが、このアングルだとよく似ているのがハッキリわかりますね。
1年間で130万人以上の観光客でにぎわうドイツの観光名所としても有名なノイシュヴァンシュタイン城はトリップアドバイザーが2012年に発表した「死ぬまでに行きたい世界の名城25選」では日本の姫路城を抑えて堂々の第1位。世界的にもっとも有名な城といっても過言ではありません。
また、ディズニー映画『眠れる森の美女』に出て来るオーロラ姫のお城のモデルとも言われています。
スポンサーリンク2. ユッセ城
Chateau d’Usse
フランスにあるユッセ城はシャルル・ペロー作の童話『眠れる森の美女』のイメージの元となったお城と言われています。ディズニー作品ではなく、原作の方ですね。
1931年にフランスの文化遺産保護制度によって歴史的記念物に指定されています。「死ぬまでに行きたい世界の名城25選」では21位。
3. フォンテーヌブロー城
Chateau de Fontainebleau
フランスで最も大きい宮殿なのがフォンテーヌブロー城(宮殿)で、現在は博物館として利用されており、1981年に世界遺産に登録されています。
4. シュノンソー城
Chateau de Chenonceau
ロワール川流域に約300も点在している一大古城群のうちでもっとも有名なお城の一つでヴェルサイユ宮殿に次いで訪れる人の多い人気スポット。
川に架かるその姿は非常に壮観で「死ぬまでに行きたい世界の名城25選」で16位にランクイン。1840年にフランスの歴史的記念物に指定されています。
2000年には「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」という登録名でロワール川古城群一帯が世界遺産として登録されています。
スポンサーリンク5. ピエールフォン城
Chateau de Pierrefonds
フランスのピエールフォン城は中世ヨーロッパ時代の要塞城郭の特徴を色濃く反映した作りで、まさに“戦う城”そのもの。
1862年にフランスの歴史的記念物に指定されていますが、映画・ドラマのロケ場所としても多く使用されていて『おかしなおかしな訪問者』『暗黒の戦士 ハイランダー 』やミラ・ジョボヴィッチ主演の『ジャンヌ・ダルク』レオナルド・ディカプリオ主演の『仮面の男』などでその姿を確認できます。
6. シャンボール城
Chateau de Chambord
フランスのロワール川古城群のうちで最も大きい城で、フランスルネサンス建築を象徴する存在なのがシャンボール城です。イタリア人建築家ドメニコ・ダ・コルトナの設計と言われていますが、一説によるとレオナルド・ダ・ヴィンチもデザインに関わっているとも。
1981年から2000年まではシャンボール城単独で世界遺産に登録されていましたが、2000年には先述の「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」に組み込まれて現在に至っています。「死ぬまでに行きたい世界の名城25選」では7位にランクイン。
ちなみにディズニー映画『美女と野獣』に出て来るお城のモデルなんて噂も。
7. ショーモン城
Chateau de Chaumont
フランス語で「(草木の生えない)ハゲた丘」という意味を持つショーモン城。1840年にフランスの歴史的記念物に指定されていますが、その頃はまだ個人の所有物。後の1938年に政府に寄付された事から公共建築として一般に開放されています。
スポンサーリンク8. ヴェルサイユ宮殿
Palace of Versailles
ヴェルサイユ宮殿は年に約770万人の観光客が訪れる言わずと知れた世界的な観光スポットで、フランス国内ではルーブル美術館 (観光客数は1000万人超)に次ぐ旅の目的地。年度によってバラつきがありますが、エッフェル塔が年に700万人ほどの集客力なので同等かそれ以上の存在。
ちなみにディズニーランド・パリの年間来場者数は2012年に約1600万人を記録した事があってヨーロッパにある建物全てを含めてもトップ。近年はやや減少傾向にあるとはいえ(それでも1400万人超)、そう考えるとディズニーランドの集客力って凄まじいですよね。
9. セゴビアのアルカサル
Alcazar of Segovia
「セゴビア旧市街と水道橋」の一部として1985年に世界遺産の仲間入りしており、スペイン国内でもっとも有名な城の一つ。船の船首のような独特な形状が特徴的で、元々は要塞として建てられたのちに宮殿、監獄、王立砲兵学校、軍士官学校に利用されたのちに現在では博物館になっています。「死ぬまでに行きたい世界の名城25選」では19位にランクイン。
セゴビアのアルカサルはディズニー映画『白雪姫』のお城のモデルと言われています。
10. モシュナ城
Moszna Castle
ポーランドとチェコ共和国にかけての上シロンスク地方という歴史的に重要なエリアに位置するもっとも有名なお城で、しばしば「世界一美しい城」と形容されているのがモシュナ城です。
建造が始まったのが17世紀になってからなのでそこまで長い歴史を持っているわけではなく、元々が貴族の居住として作られていますので武骨なデザインというよりかは優雅な雰囲気。そういう意味で美しい城というわけですね。
スポンサーリンク11. ティーン教会
Church of Our Lady before Tyn
チェコ共和国にあるティーン教会の正式名称は「ティーンの前の聖母マリア教会」でティーンとは税関のこと。コチラの建物は名前の通り、お城ではなく教会ですね。ルネサンス様式の装飾、バロック様式の内装で外観はゴシック様式というごちゃ混ぜ状態ながらも、その見た目はウィルト・ディズニーが『眠れる森の美女』のオーロラ城のモチーフにしたと噂されているとか。
12. クレイギヴァー城
Craigievar Castle
スコットランドにあるクレイギヴァー城は1950年公開のディズニー映画『シンデレラ』の劇中に描かれているシンデレラ城のモデルと言われているお城。お城の公式サイトにも「ウォルト・ディズニーのシンデレラ城にインスピレーションを与えた城と言われ・・・」と記載されているほど。
スポンサーリンクシンデレラ城のデザイナー
さて、以上のリストのように数多くの城や教会がシンデレラ城のモデルとなったといわれていますが、それらを統合してデザインしたデザイナーはハーバート・ライマンという人物。
ウォルト・ディズニーに乞われる形でウォルト・ディズニー・スタジオに参加したハーバート・ライマンは『ファンタジア』や『ダンボ』といった作品でアートディレクターとして活躍、その後1953年にディズニーランド全体像の初期スケッチを完成させた事でも有名です。
ハーバート・ライマンが描いたディズニーランドのマップの一部とされているのがコチラの画像。
ハーバート・ライマンはディズニーテーマパークのアトラクションの細部についても数多くデザインしており、代表的なものが眠れる森の美女の城(オーロラ城)、シンデレラ城、ジャングルクルーズ、カリブの海賊など。
眠れる森の美女の城をデザインした際には出来上がって来た模型を気に入らなかったハーバート・ライマンが建物を入れ替えてみたら(お城の後ろ側とされていたものを正面に持ってきたら)?と提案して実際に試し、ウォルト・ディズニーがそれを気に入ったおかげで最終的なデザインが仕上がったなんてこぼれ話も。
コチラがハーバート・ライマン本人がその出来事について語るYouTube動画。
ちなみにお城の屋根が青く塗られている理由は「空の色と調和してお城が高く見えるから」とウォルト・ディズニーが模型に塗られていた色をそのまま採用したとか。この事からディズニーランドにあるお城の屋根は全て青くなったとも言われていたりしますね。
また、東京ディズニーランドでオープン当初から2002年まで公開されていたミート・ザ・ワールドの元デザイン(マジック・キングダムにあるアトラクション「カルーセル・オブ・プログレス」)を担当したのもハーバート・ライマン。
そんな彼がシンデレラ城をデザインするにあたって参考にしたのが既に紹介した12の実在する建造物。
さらにディズニー映画『シンデレラ』の劇中に登場するシンデレラ城も当然のようにモチーフとして採用し、さらには自らもデザインしたもう一つの城である眠れる森の美女の城もベースにしたとされています。実はシンデレラ城と眠れる森の美女の城は生みの親が一緒で兄弟ともいうべき関係性だったりするんですね。
ということでドイツのノイシュヴァンシュタイン城がディズニーを象徴する2つのお城のモデルになったというのはかなり有力な説なのでシンデレラ城のモデルは“ノイシュヴァンシュタイン城では無い”というのはかなり無茶な言い分だという事が分かるかと思います。
スポンサーリンクなぜそんなウソが?
ではなぜシンデレラ城のモデルは“ノイシュヴァンシュタイン城では無い”とする一部のブログがあるんでしょうか?
それは恐らくシンデレラ城を説明する日本語のウィキペディアのページにそんな風に勘違いさせるような記述があるからでは?というのが個人的な推測。
そこには眠れる森の美女の城とシンデレラ城を対比させるような項目があり、眠れる森の美女の城のモデルはドイツのノイシュヴァンシュタイン城であるとする一方で、シンデレラ城のモデルとなったのは複数のヨーロッパの建築、特にフランスの城(宮殿)をモデルにしているという記述が見て取れます。
例として挙げられているフランスのお城には、
- ユッセ城
- フォンテーヌブロー宮殿
- ヴェルサイユ宮殿
- シュノンソー城
- シャンボール城
- ショーモン城
の6つがリストアップされていますね。
確かにこれらのお城は海外の複数のサイトでもモデルとして挙げられているので恐らく正しいと言えそうなのですが、これをもってして、シンデレラ城のモデルはノイシュヴァンシュタイン城では無いと言ってしまっていいのでしょうか?
シンデレラ城のモデルとしてノイシュヴァンシュタイン城が記述されていないというだけで“モデルでは無い”とは一言も書かれていないので・・・。
さらに詳しく見てみると海外のサイトではこれらフランスのお城をシンデレラ城のモデル候補として挙げた後に「(シンデレラ城の)主にそして最も明らかなモデルがノイシュヴァンシュタイン城である」と明言されていたりするんですよね。
実際に海外では「シンデレラ城のモデル=ノイシュヴァンシュタイン城」というのが通説になっていて、それを否定する情報が書かれているものは皆無といっていい状況。
ということで日本では一部の人たちがシンデレラ城のモデルは“ノイシュヴァンシュタイン城では無い”と言ってるだけに過ぎないのでどちらが正しいかは火を見るよりも明らかかと・・・。
ウィキペディアばかりを参照元にしているとこういう事になっちゃうんですね。