ミヤネ屋で紹介の腸特集。体の不調は腸内細菌やIBS・SIBOが原因?その対策FODMAPとは?
20年1月23日放送の日本テレビ系「ミヤネ屋」では2020年第1弾「教えて!ミヤネ屋ドクター」企画で腸を大特集。腸の基本的な仕組みや、体の不調や病気(冷え性、肩こり、うつ、認知症など)が腸の疾患(IBS、SIBO)に関係しているというお話を医師のおおたわ史絵先生が解説。
という事でどんな内容だったのかまとめてご紹介します。見逃してしまった方は是非チェックしてみてください。
スポンサーリンク腸が関連する体の不調・病気
腸の不調といえば便秘や下痢がまっさきに思いつきますが、
その他にも腸が原因かも?と指摘されている体の不調全般を挙げてみると、
- 冷え性
- 肌荒れ
- むくみ
- 肩こり
- イライラ
- うつ
- 腰痛
- 動脈硬化
- 乳がん
- 子宮頸がん
と「えっ!?そんな事まで!?」と意外に思われる病気も含めて多岐に渡るとの事。
腸は第2の脳
まずは腸の基本的なお話からですが、腸は大きく小腸と大腸に分けられ、
- 小腸 – 胃から(十二指腸を通って)送られた内容物を消化して“栄養素”を吸収
- 大腸 – 小腸から送られた“水分”を吸収。残りカスを「腸内細菌」と共に最終処理して便として肛門へ運ぶ
つまり、腸の主な仕事は消化と栄養吸収。そして残りカスを便として排出する事。
そしてタイトルになっている通りに「腸は第2の脳」と言われる事があるという点については、
毒リンゴを使って説明するおおたわ史絵先生。
例えばリンゴを見た時に脳では見た目から食べ物と認識して食欲を生み、その欲に負けて食べてしまうとします。
すると毒リンゴによって命の危機に瀕するわけですが、その際に腸では脳とは全く別に毒リンゴを独自判断して、毒を排出しようとする働きがあり、これをもってして第2の脳と言うわけですね。
さらにもう一つのポイントとして、
腸は脳とは別に独自判断している一方で、密接に連携している関係でもあり、
交感神経・副交感神経を通して“双方向に情報交換”をしているとも言われています。
例えば緊張したりストレスを感じた時にお腹が痛くなったりという事は誰しもが心当たりがあると思いますが、それは脳のストレスが腸に伝わっているからとの事。
逆に腸の調子が良い時は脳もストレスに強い状態にあって、健康的に過ごせるという事もあるとか。
さらに幸せホルモンといわれるセロトニンの90%は腸で作られているというのも大事な点。
脳内で作られる脳内セロトニンは全体の2%に過ぎないとか。※残りの8%は血小板で作られる
厳密に言うと腸で作られるセロトニンが脳にも大きな影響を及ぼしているというわけではありませんが、腸が快調であれば脳の働きも快調というのは事実なので、腸をケアする事は非常に大事ですよね。
腸内細菌
その腸のケアには腸内細菌がポイントというのはみんなが良く知る所ですよね?
そんな腸の活動を左右する腸内細菌について基本的な情報をおさらいしておくと、
腸内細菌には3つの種類があると言われていますが、
- 善玉菌 – ビフィズス菌など
- 悪玉菌 – ウェルシュ菌など
- 日和見菌 – バクテロイデスなど
の3つで、これらの理想的なバランスは、
「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」とされています。
悪玉菌はゼロの方が良いような気がしますが、決してそんな事は無く、腸には多様性も大事で、悪玉菌が存在している事で、非常に悪性の菌が外から侵入した場合には悪玉菌も一緒に攻撃してくれたりするそう。
このような理想的なバランスが崩れて悪玉菌の比率が増えたりすると、日和見菌が悪玉側に回ったりと心身に不調が表れるんですね。
ではこの腸内細菌はどのように形成されるのか?についてですが、
まず私たちがお母さんのお腹の中にいる間は腸内はほぼ無菌状態だと言われています。
それが無事生まれてお母さんのお腹から外の世界に出た途端、接触した人から腸内細菌が赤ちゃんの腸内に感染。
当然、接触する機会の多い両親から腸内細菌をいただく事になりますが、そのうちでもお母さんの腸内細菌と分布が似通って来ることが多いとか。これがほぼ確定するのが生後4か月ぐらいまで。
スポンサーリンク腸と認知症
さて、ここまで腸の基本的な情報についてご紹介しましたが、ここで気になる腸と体の不調・病気のお話へ。
つい最近になって国立長寿医療研究センターで発表された研究データによると、
「腸の状態によって『軽度認知障害』のリスクが5倍に跳ね上がり、その原因は腸内細菌のバランス悪化」
と結論付けられたそう。
というのも加齢によって悪玉菌の割合が増えて行く傾向にあり、特に60歳を境にバランスが悪化するという事もポイント。
腸内細菌のバランスが悪くなると認知症リスクも上がるというのはなかなかショッキングですよね。
腸を良好にするには?
では腸の調子を良好にするために私たちが出来る対策(いわゆる腸活)についてですが、
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- 規則正しい生活
という「もう聞き飽きたよ。そんな事分かってるよ。」と文句が聞こえそうな大原則が第一。
食事
食事面でいうと、
4大整腸食品をまず押さえるべきで、
- 発酵食品 – ヨーグルト、味噌、納豆など → 善玉菌を活性化
- 水溶性食物繊維 – 海藻、ブロッコリー、カボチャなど → 腸内細菌のバランスを整える
- オリゴ糖 – リンゴ、はちみつなど → 善玉菌を増やす
- EPA・DHA – 青魚、亜麻仁油、エゴマ油、オリーブオイル、MCTオイルなど → 善玉菌が増えやすい環境を作る
それぞれ腸内細菌群にどのような好影響があるかが分かれているので、どれか一つだけではなく、全て押さえることが大事ですよね。ヨーグルトさえ食べていればOKというわけでもないんですね。
運動
続いて、なかなか分かっていてても実践できないのが運動。
そもそも運動が腸に良いと言われているのは、運動によって血流がアップして腸内の循環が良くなるから。
その為には毎日20分ほどのウォーキングが目安。
運動についてその他にアドバイスを聞いてみると、歩けない場合でも簡単な上体ひねりでも効果があるとか。
YouTube動画。以下は床に座った状態で行っている動画ですが、椅子に座った状態でも応用できるポーズもありますよね。
息を止めずにこのような上体ひねり運動をする事でお腹の周りに刺激を与えられますね。さらに脚の筋肉も刺激出来るのもメリット。
動画のようにストレッチ的なアプローチでもOKで、あまり勢いをつけないで行うのもポイント。勢いをつけると腰を痛めたりというリスクもありますので注意。
また腸の働きの為に血流アップというポイントに注目すると、入浴で温めたり(高温は避けて39℃辺り)、湯たんぽで温めたりというのも“一応有効”。
ただ外から温める方法は一時的なもので、あまり劇的な効果は期待しない方が良いとか。外から働きかける腸活(マッサージや白湯)を飲んだりするのも同様でとなるとやはり筋肉を動かす運動・筋トレがベスト。
腸活で改善しないのはIBSやSIBO?
これらのポイントについてしっかり押さえているのになかなか腸の調子が上がらないという場合は、
別の病気が隠れているかも?というのも知っておくべきで、
以下のセルフチェックで簡易的に判断できるそうですが、
- 下痢や便秘が何週間も続く?
- 腹痛やお腹の張りが多い?
- 急な下痢でトイレに駆け込む?
- 下痢と便秘を交互に繰り替えす?
- 排便後に残便感がある?
- 便秘がちで便はコロコロ状?
- 休日は症状が和らぐ?
- 排便後は腹痛が和らぐ?
3つ以上当てはまると・・・
IBS(アイビーエス、過敏性腸症候群)の可能性があるとの事。※IBSはIrritable Bowel Syndromeの略。
IBSはストレスなどで腸がすぐに不調になりがちな疾患。
ストレスホルモンが過剰に分泌される事で腸のせん動運動に変調をきたし、下痢・便秘・お腹の膨れなどの問題が発生するのがIBSで10人に1人にその傾向があると指摘されているそう。
その他に考えられる腸の病気では、
SIBO(シーボ、小腸内細菌増殖症)もあり、これは通常は大腸の1万分の1しかいない小腸の細菌が大増殖してメタンガスなどが大量に発生し、腸の粘膜が壊されて有害物質が流出、その結果として下痢・便秘・うつ・肌荒れなどの不調をきたすとの事。※SIBOはSmall Intestinal Bacterial Overgrowthの略。
SIBOは最近になって盛んに指摘され始めた疾患であり、ちなみに先ほど挙げたIBS患者の半数以上がSIBOの疾患を持っているのではないか?とも言われているそう。
そして最も注意しないといけないのが、
IBSやSIBOの人は“整腸食品が原因”で不調になる事もある
という点。
FODMAPとは?
そこで注目されているのが低「FODMAP(フォドマップ)」食品。
FODMAPとは、
F・O→発酵性のオリゴ糖、D→二糖類(乳糖)、M→単糖類(果糖)、P→ポリオール(糖アルコール)の文字をつなぎ合わせた語で、消化し辛く腸をとりわけ刺激しがちな糖類を一まとめにした標語。
英語で説明すると“fermentable oligo-, di-, mono-saccharides and polyols”を繋ぎ合わせてFODMAP。
コレが「低」という事はFODMAPがあまり含まれない食事を日ごろから心がけましょうという意味ですね。IBSやSIBOの人たちはとりわけFODMAPに反応しがちなので、普通の人たちで大丈夫な食品も要注意。
これらのFODOMAP(糖類)は多くの人の腸で十分に消化されず、腸内細菌を活発化させがちで、その働きが強くなりすぎる為に逆に腸に不調をきたすので避けるべきというのがその基本的な考え方。
また、これらの糖類は水分を多く引き込む性質も指摘されていて、そうなると下痢の症状として表れるんですね。
先ほど挙げた4大整腸食品の中にはFODMAPが多く含まれる食品も含まれているので逆に体調を崩すという事もあるので注意が必要。
ということで低FODMAP食品を一覧で見てみると、
- 肉・魚類 – 卵、木綿豆腐、加熱調理した肉や魚類など
- 穀類 – お米、そばなど
- 野菜 – トマト、ナス、レタス、ニンジン、ピーマン、タケノコ、チンゲン菜、ブロッコリー、キュウリなど
- 果物 – イチゴ、ブドウ、メロン、オレンジ、キウイ、パイナップルなど
- 乳製品 – アーモンドミルク、チーズ類(クリームチーズ、リコッタリーズはNG)など
- 糖類 – ダークチョコレート、メープルシロップなど
FODMAPについて補足しておくと、糖類の総称なので語尾に「トース」「トール」「タン」などがつく点に注目してみると、
- フラクトース(フルクトース) → ハチミツ、ベリー類、メロンなどに含まれる。※ぶどう糖果糖液糖も含む
- ラクトース → 牛乳、ヨーグルトなどに含まれる
- フルクタン → アスパラガス、玉ねぎ、小麦、ライ麦、大麦などに含まれる
- ガラクタン → 豆類、里芋、オクラなどに含まれる
- ポリオール → キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトールなど。
これらは全てFODMAPなのでIBSやSIBOが疑われる人は大量に摂るのは避けましょう。※メロンやベリー類は低FODMAPに分類されているケースもあって種類によって差があるようなのでグレーゾーン。
ちなみに糖質オフや糖質制限の食習慣ではFODMAPも知らない間に摂取制限する事になるので、ダイエットと共に体質改善が出来たなんて感想がたまに聞かれるのは、その辺に要因があったり。
腸への刺激になりやすい“糖類”を総称してFODMAPなので糖質をカットすると自然と低FODMAPの食生活になるのは考えてみれば自然な流れですよね。
お酒は飲んでOK?
お酒類に関して番組ではほぼ触れられていませんでしたので補足しておくと、基本的にお酒は総じて腸を刺激するので禁酒するのがオススメ。
それでもどうしても飲みたいという方向けに飲んでもあまり腸を刺激しない低FODMAPアルコール飲料を紹介しておくと、
- ビール (350ml缶1本まで)
- ワイン (グラス1杯まで)
- 焼酎
- ウィスキー
- ウォッカ
- ジン
など。
蒸留酒は糖類をほぼ含んでいないのでその点ではOK。ビールやワインはかなり節制する条件付きですが全くNGというわけではありません。
飲み方の注意点としては、すきっ腹にお酒は腸にとても悪影響を及ぼすので、お酒を飲むなら食事も一緒に。さらにお酒だけではなくお水も飲むように心がけましょう。また、一気飲み、がぶ飲みも避けてゆっくりペースも重要。いずれにせよ1日1杯程度と控えめを厳守する事。
そしてお酒の中でもNGリストに挙がっているのが、
- ラム酒
- シードル(リンゴ酒)
- デザートワイン
- シェリー酒
- チューハイ、サワー (割りものに要注意)
など。
細かい話になりますがウーロン茶はFODMAPなのでウーロンハイは避けましょう。ハイボールは割りものにぶどう糖果糖液糖が含まれる炭酸飲料が使われている場合は高FODMAPなのでNGですね。ちなみに炭酸自体が腸に刺激を与えるのでIBS患者にはNGだったり。
くどいようですが、禁酒するのが最善なのは肝に銘じておきましょう。
あと面白いのが、ガムを噛んだり、ストローを使って飲み物を飲んだりするのもIBS患者は避けるべきだとか。特にお腹の張り(膨満感)の症状が目立つ人は要注意だと言われていますね。
ということで以上、20年1月23日放送のミヤネ屋の「教えて!ミヤネ屋ドクター」で紹介された腸特集についてでした。ご参考までに。