アスレティックトレーナー森本貴義の正しい呼吸トレーニング5種のやり方
20年10月18日放送のテレビ東京系「FOOT BRAIN」ではアスレティックトレーナーで「呼吸のプロフェッショナル」である森本貴義氏が出演し呼吸トレーニングのやり方を実践指導。全アスリートが取り組むべきというその効果は?
スポンサーリンク呼吸力チェック
まずはご自身の現在の呼吸力パフォーマンスを簡単にチェック。
手元にストップウォッチや時計を用意。
やり方は、
- 鼻呼吸で、普段通りに数回呼吸を繰り返す
- 息を吐いた所で鼻をつまみ、次に自然と息が吸いたくなるまでの時間を計測
注意点は無理にガマンはしない事。
ガマンしてしまうと普段のパフォーマンスが測定できないので自然に身を任せて吸いたくなったら素直に従う事。
また、緊張していたりすると普段のパフォーマンスが出ないのでリラックス状態で行いましょう。
さて何秒だったでしょうか?
森本貴義氏曰く、40秒以上が理想的な数値。
一般的には20秒~30秒ほどになるケースが多いそう。
その他日常生活の中でのチェックリストもあり、
- 呼吸が苦しいと自覚する事がよくある、すぐに呼吸が乱れる
- 口が開いている事が多い
- 手足が冷たい、またはしびれる
- 疲れが溜まりやすい
- 集中力が無い
こういった事柄に1つでも当てはまる人は正しい呼吸が行えていない可能性が高いそう。
また男女の傾向については、
一般的に女性の方が呼吸が上手く出来ない人が多い傾向にあるそうで、特に女性に多いのが、
呼吸が浅く、回数が多い胸式呼吸
というケース。
これは妊娠に備えた体の自然な変化だそうで、妊娠時にはお腹が大きくなるせいで腹式呼吸が妨げられるので、それに備えて一定の時期から腹式呼吸から胸式呼吸に変化するんですね。
また、胸式呼吸は興奮したり、緊張状態に陥りやすい呼吸法だったり。
正しい呼吸 vs 間違った呼吸
間違った呼吸というのは例として呼吸の度に首や肩が動いてしまうような呼吸で、こうなると呼吸の度に首や肩に疲労が溜まって肩こりにつながったりしますよね。人が1日にする呼吸の回数は2万回以上と言われているのでそりゃ疲れが出るのも当然。
1分間の呼吸数が20回になるとかなり多い方。
そして正しい呼吸の為の第一歩は、
「まずは息を吸う事よりも“吐く”事に集中する事」
呼吸というのはつまるところガス交換なので「吐けないので吸えない」その逆もしかりというのが真実。
それに、息をしっかり吐き切れていないと昔の酸素が肺に残ったままで次の呼吸に向かう事に。
息を吐く練習をするのが第一歩と森本貴義氏。
目指すべきなのは1分間に15回以下のゆったりとした腹式呼吸。
こうなると体への負担を小さいままで、取り込む酸素量が多いという理想的な呼吸に。
さらにこれを高めていくと腹式呼吸と胸式呼吸の2つの呼吸を状況によって使い分けられるようになるとか。
お腹の前だけではなく、360°に渡って空気が入るようになれば完璧。
スポンサーリンク森本貴義氏が指導したアスリートにはゴルファーの宮里優作選手がおり、指導当初は腰痛に悩まされていた所、呼吸を改善した所、腰痛が治りコンディションが整うようになった事で競技パフォーマンスが上がり、その後賞金王獲得の原動力になったとか。
宮里優作選手は呼吸トレーニングに取り組む以前は1分間に18回の呼吸数だったのが、指導後は1分間に13回と大きく数値が改善したそう。
そして、森本貴義氏が出会った中でも抜群の呼吸力を持っていたのがあのイチロー選手。
森本貴義氏が呼吸に注目して呼吸法メソッドに取り組むようになったのは2010年頃だそうですが、その時点でイチロー選手の場合は指導するまでもなく呼吸数が1分間13回と理想的な数値にあったとか。
スポンサーリンク呼吸トレーニングのやり方
ではここで本題の呼吸トレーニングのやり方について。
全部で5種類なので一つ一つ解説。
風船の呼吸
風船を使う事で体内の古い空気を吐き切る感覚を掴むのがこのトレーニングの狙い。
用意するのは風船1つ。
- 風船を口にくわえて5秒で息を吸う、5秒で吐く、5秒息を止める
- 3セット繰り返す
慣れないうちは回数が進む毎にどんどん息が吸えなくなっていくハズ。
腹式呼吸で吸ったり吐いたりのコツを掴めたら次のトレーニングへ。
シンクロの呼吸
胸式呼吸と腹式呼吸の2つを同時に行う事で2か所同時に呼吸する感覚を掴むのが狙い。
- 右手を胸、左手をお腹に当てて5秒で息を吸う、5秒で吐く、5秒息を止める
- 3回繰り返す
横隔膜の呼吸
横隔膜は呼吸活動の7割を担う筋肉で、上下する事で肺が膨らんだり縮んだり。
その横隔膜の働きを促すのがこのトレーニングの狙い。
横隔膜がよく動くようになれば当然ながら吸気、排気共にパフォーマンスアップにつながりますよね。
- 肋骨を両手で掴みながら5秒で息を吸う、5秒で吐く、5秒息を止める
- 3回繰り返す
息を吸うと肋骨が広がり、息を吐くと肋骨が中に入って(内旋して)閉じる感覚を掴めればOK。
吐く時は肋骨がヘソに向かって下がっていくのを意識すると感覚を掴みやすい。
背中の呼吸
背中の呼吸トレーニングをする事で、背中の柔軟性をアップさせるのが狙い。
- 四つん這いで肩甲骨を高く保ったまま5秒で息を吸う、5秒で吐く、5秒息を止める
- 3回繰り返す
慣れないうちは吐く息がもう無くなるほどに疲弊するハズ。
先ほどの肋骨を内旋させるという動きが正しく行えると「背中に空気が入っていく」ようになるそうで、そうなると背中の柔軟性が高い方がよりパフォーマンスアップにつながりますよね。
- 仰向けになって体をひねったまま5秒で息を吸う、5秒で吐く、5秒息を止める
- 3回繰り返す
コチラも同時に行うと効果大。
このトレーニングをする事で足を向けたのとは反対の横腹から背中にかけてのスペースに空気が入るように。
お腹周り全てに息を取り込む360°呼吸のための4つのトレーニングはこれで以上。
番組ではリポーターの佐藤美希さんが呼吸トレーニング前後の体のパフォーマンス(柔軟性&垂直飛び)を測定して比較していましたが、
前屈、上体反らし、跳躍力の全ての項目でパフォーマンスアップという効果。
4つのトレーニングをトータル15分ほど行っただけでこれだけの差がついたとの事。
スポンサーリンクしりとりサイドプランク
さらに通常の筋トレメニューに呼吸の意識をちょっと加えてやるだけで、普段の筋トレの効果がよりアップするという事で、こちらの「しりとりサイドプランク」のやり方もご紹介。
サイドプランクは脇腹や腰回りの筋肉を鍛える基本的な体幹トレーニングの一つですが、筋肉に力を入れる際に声を発する事で体のパフォーマンスアップになるとか。
その最たる例がウエイトリフティング競技。ウエイトリフターたちは呼吸を操る事でパワーを生み出しているんですね。
しりとりサイドプランクのやり方は非常にシンプルで、
- サイドプランクをしながら声に出してしりとりをする
というただこれだけの事。
トレーニングパートナーがいれば一緒に行えますよね。
一人で行う場合はしりとりの代わりに歌を歌うのも効果的。
番組では体をただ伸ばして耐えるだけのサイドプランクではなく、手足を曲げ伸ばしするパターンで実践。
動画だとこんな感じですね。
しりとりをしながらトレーニングをする事で自然と呼吸する感覚が掴めるので、余計な力みが取れるという効果があるそう。
1分ほど行えば十分。
ただ黙ってじっと耐えるサイドプランクと比較して、腰や肩周りの余計な緊張が取れたという実感があるとの事。
回復の呼吸
ついでに息が上がってしまった時に素早く呼吸を落ち着ける回復の呼吸法も。
森本貴義氏によれば、
との事。
それを実践しやすいように、片方の鼻の穴を押さえて呼吸する方が、ゼェゼェと頑張って大きく息をするのよりも速く心拍数が落ち着いていくそう。
というわけで以上、テレビ東京系「FOOT×BRAIN」からアスレティックトレーナー森本貴義氏が実践指導する呼吸トレーニングのやり方についてでした。