関ジャム 知られざる男性声楽家の世界とは?収入源、喉のケア法、J-POPとの違い
2020年10月25日放送のテレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」では普段あまり触れる機会の少ない“声楽家”を特集。収入源、パート決め、喉のケア法、J-POPとの違い、声楽家あるあるなど。
スポンサーリンク声楽家の基本知識
まず基本的な知識として声楽家の主な声の種類(声種)についてですが、
- ソプラノ
- アルト
- テノール
- バス
という4つ。
これ以外にもソプラノとアルトの中間に位置するメゾソプラノや、テノールとバスの間に来るバリトンなど細かく分ける事も。
クラシック声楽家の場合は1人で2オクターブ半の音域をカバーするのが一般的。
ホールではマイクを使わずに地声でホール中に響かせるのが普通なので、カラオケに行ったとしてもマイクは使わないとか。
マイクで本気で歌ってしまうと「機械を壊してしまう」レベルの声量だそう。
ではここからは、
- そもそもパートはどう決まる?
- 声楽家の収入は?
- J-POPとの歌い方の違いは?
- 誰も共感してくれない!?声楽家の喉のケア
- 声楽家あるある
というテーマに沿って声楽家の裏側に迫っていきます。
パート決めはそれぞれ
まずは、そもそもパートはどう決まる?という疑問への答えですが、
持って生まれた声帯の長さや太さによって決まるというのが第一。
生まれ持った資質によって決まる所なので声帯を医師が観察するとこの辺は「あっという間に分かってしまう」のだとか。
ところが、声帯を引っ張る力をトレーニングによって上げる事で高い音を出せるようにする事は可能だそうで、例えばゲスト講師の秋元さんは元々持っている声帯はバリトンの声帯ながらも、訓練によってより高いテノールを出せるようになっているとか。
秋元さん曰く、テノールだとオペラのヒーロー役が出来るので訓練したそう。
その代わり、無理をしているのには変わりないので体力の消耗はかなり大きいとの事。
こんな感じでオペラでは声によって配役の傾向があって、
- ソプラノ – 一番の花形でヒロインなど最も多く主役を演じる
- アルト – 脇役の中で重要な人物
- テノール – ヒロインの恋人役・ヒーローなど主役級
- バス – 父親・賢者・魔王など
ただし、みんながみんなテノールをやりたがるかと言うと、決してそうではなく、ゲストの大沼徹さんのように元々はテノールの声帯を持っていてもバリトンを選ぶというケースもあるそう。
理由は「ヒーローになりたいと思わなかったから。」だそうですがw
そして、女性の音域を歌う岡本知高さんの場合は、元々の喉が「神様とご両親からのギフト」だとか。
世界的に男性ソプラノの声を生まれながらに持っているケースは非常にレアだそうで、岡本さん的には普通に歌うと勝手にソプラノになってしまうという感覚との事。
裏声で出しているわけではないので、指導についても女性ソプラノの指導法がしっくりくるようですね。
声楽家の収入源
例えば大沼徹さんの2019年の年間スケジュールを振り返ってみると、
コンサートやオペラの予定がぎっしり。
ただし、これは声楽家としては相当な売れっ子レベル。
同業の秋川さんをして1年間にオペラ8本をこなすのは「あり得ない!」という仕事ぶりだそう。
岡本知高さんの場合は1年間にオペラ1本、秋川雅史さんも1本。
その1本に合わせて1年前から入念に準備をして臨むのが普通。
ちなみに普通の演劇とは違って、演技といっても既に楽譜などで指示されている内容をなぞればOKという面が強いので、お芝居の稽古をしなくても、レパートリーに一度入れてしまえば稽古なしでもある程度こなせてしまうという世界。
注意書きにある「カバー」というのは代役の事で、劇場の出番ではお芝居の途中で声の調子がおかしくなってしまったキャストの代わりに出演するなど、カバーの役を引き受けると公演中は常に劇場にスタンバイしておく必要があるそう。
また、海外からのキャストの場合は「当日キャンセル」も頻繁に起こるので、カバーは絶対に待機しておかないといけないという事もあるとか。
まとめると声楽家の主な収入源はオペラとコンサートが2本柱。
それ以外の副収入源としては、
- 合唱団指導
- 歌舞伎役者や俳優の発声レッスン(ボイトレ)
- ジャズミュージシャンとのコラボ
- 音楽雑誌への寄稿・インタビュー
- スポーツ大会の国歌独唱
- ミュージカル出演
- 大学の非常勤講師
- 起業のパーティーでの歌唱
など。
スポンサーリンクJ-POPとの違い
まず第一の違いについては先ほども触れていますが、
- J-POP – マイクあり
- クラシック – マイクなし
という点もありますが、大ホールなどで声を響かせるために必要になって来るのが、
遠くまで響く歌声
であり、一番理想的な声と言われるのが、
「最後列のお客さんが『(迫力が)スゴかった!』と感想を漏らす一方で、最前列のお客さんが『そんなに思ったより大きな声じゃなかったな。』
と感じるのがベストの声だそう。
とにかく力を込めるだけ込めて歌うだけでは、
「近鳴り(そば鳴り)の声になって遠くまで届かない声になってしまう」というのが声楽家の世界の常識。
その為、声楽家たちが使う歌唱法というのが、
ベルカント唱法
ベルカントとは美しい歌唱という意味のイタリア語で、イタリアの伝統的歌唱法であり、全ての声域に渡る声の美しさや滑らかさに重点を置いた歌い方の事。
イメージとしては劇場自体が「歌手のお腹の中の一部」と捉える事が大事なんだとか。
また、クラシックの基本的なテクニックとしては
喉仏を下げる歌い方
というものがあるそうで、こうする事で声が響くスペースを広くする事が出来るのでより響く声になるとの事。
これに対して喉仏の位置がそんなに変わらない歌い方なのがJ-POPという違いですね。
特にトレーニングしていない一般の人が歌うと喉仏は上がってしまうのが普通とも。
アニソンとの相性という話題では、
アニソンとクラシックの歌声は意外と相性が良いというのが秋川雅史さんの考えで、特にテーマが大きい壮大な歌の場合はばっちりハマるとか。
喉のケア
ここからは声楽家たちの商売道具である喉のケア方法について。
岡本知高のケア方法
まず岡本知高さんは、
「本番前は何も食べない」
との事。
朝ごはんを食べた後は夜の本番までは何も食べないのが岡本知高さんのケア方法だそう。
というのも何か食べてしまうと肺をフルに使えない感覚になってしまうので、お腹が空っぽの方が都合がいいという考え方みたいですね。
となると本番終わりにはいっぱい食べそうな感じもしますが、実は本番後はお腹の筋肉が疲れているのであまり食欲が沸かないようで、実際は本番から時間が経った夜中(3時~4時)にいっぱい食べてしまうとの事。
夜中に何を食べる?という質問には「餃子。笑」「夜中のラーメンと餃子が世界で一番美味しい。」とかw
その一方で、膀胱は少しおしっこが溜まっていた状態の方が調子がイイという変わった感覚の持ち主でもあったり。
歌う際にはへその少し下辺りの丹田を意識するのが大事だそうで、そこに少し重量がかかっている方が意識しやすいというのが岡本知高さんの考え方。
ただ、これは岡本知高さん独特の感覚のようで、他の声楽家たちの共感はゼロ。
秋川雅史のケア方法
秋川雅史のケア方法で重要になるのが、
「コンサート後のジョギング」
との事。
つまりこれはクールダウンという意味。
喉周辺に負担が集中しているものを、少し走ったりする事で全身に散らしていくイメージだそうで、2.5kmほどの距離を走るのがルーティンのようですね。
そしてもう一つが、
「コンサート後に辛いもの(激辛)を食べる」
という常識外れのケア方法も。
先ほどのジョギングでは炎症を散らすようなイメージで走っているハズなのに、ここではわざわざ炎症を起こすような事をするという大きな矛盾w
秋川雅史さん曰く、辛い物を食べると新陳代謝が活性化されるので回復が早いと実感しているとか。
にわかには信じがたい事ですが、コンサート後のリカバリー方法について試行錯誤した結果にたどり着いた一つの答えが、この激辛を食べるというものだったとか。
一方で大沼徹さんは特に何もしないとの事。
声楽家あるある
ここからは声楽家あるあるについて。
- 声が通り過ぎて「すみません」で店員全員が振り向く
- バスは無口で暗い人が多い
- テノールはモテない。ナルシストが多い
- 声が響く場所ではどうしても一発響かせたくなる (例:地下駐車場、トンネル)
- 歌うと動物が集まって来る
- 発声練習をすると犬が遠吠えで参加してくる
ということで、関ジャムから男性声楽家特集でした。
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