NHKあさイチ マスク不調改善SP 口呼吸・かくれ酸欠を解消する肺活トレーニングのやり方
21年4月21日放送のNHK「あさイチ マスクシンドローム 頭痛・だるさ・息苦しさよサラバ!マスク不調改善スペシャル」ではマスク生活で生じる口呼吸の悪影響や「かくれ酸欠」が引き起こす肩こり・腰痛や集中力の低下といった諸症状の改善として肺活トレーニングのやり方を紹介。
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口呼吸と鼻呼吸
視聴者アンケートで寄せられた「マスク生活によって感じる体の不調」として例として挙がっていたのが、
- 肩こり・腰痛
- だるさ・疲れ
- 集中力の低下
- イライラ
- 頭痛・めまい
などなど。
そしてこれらの症状(※頭痛は後述)の原因が実はマスクによる「口呼吸」なのではないか?というのが今回の特集内容。
マスクをしているとどうしても呼吸し辛いので、開口部が広い口を使って息をしがちですが、なぜ口呼吸がこんなに悪者にされるんでしょうか?
北里大学メディカルセンター耳鼻咽喉科の大木幹文医師監修で専用の機器を使い、鼻呼吸と口呼吸で1分間に吸い込む息の量を比較実験してみる事に。すると、
- 鼻呼吸 – 7.59リットル
- 口呼吸 – 3.00リットル
個人差もあるのでこれだけでハッキリとは言えませんが、今回の被験者の場合はたった1分間で倍以上の差が付く事に。
大木先生「口呼吸だと鼻での呼吸に比べて半分ぐらいしか換気が出来ないと。口で息を吸うと浅い呼吸になっている可能性があります。」
続いて呼吸に重要な横隔膜の動きについて超音波エコーで観察しながら鼻呼吸と口呼吸で比較してみると、
- 鼻呼吸 – 17.2mm移動
- 口呼吸 – 10.6mm移動
両方ともマスクを付けた状態で計測していますがここでも大きな差になっていますよね。
約40人の成人を対象に海外で行われた研究(2015年)でも鼻呼吸で横隔膜が平均20.2mm動いていたのに対して、口呼吸では平均16.4mmに留まるといった結果が出ているとか。
スポンサーリンクかくれ酸欠
そして口呼吸をするクセが付くと、呼吸筋自体が衰えてしまうというリスクもあるそうで、
呼吸回数を測定できるセンサーを身体に付けて5分間観察してみると、
- 鼻呼吸(マスクあり) – 29回
- 口呼吸(マスクあり) – 55回
口呼吸だと息が十分に吸えていないから回数で何とか稼ごうとしているんでしょうか。
実験に協力してもらった東京女子医科大学呼吸器内科学教授の多賀谷悦子先生によると、
こうなると肺に悪影響が出て来るそうで、
一生懸命呼吸する事で呼吸筋(胸鎖乳突筋、肋間筋)が固まってしまうとの事。
スタジオ解説のハーバード大学客員教授で医学博士の根来秀行医師によると、
横隔膜がしっかり動いていないと自律神経の交感神経が優位になりがちで、そうすると全身の末梢になる毛細血管が収縮して血流が低下し、酸素が体の隅々まで届きにくくなるなんて症状もあるんだとか。
こうなって起きるのが「かくれ酸欠」。
これが肩で起きれば肩こりの原因となり、腰で起きれば腰痛の原因になったり、脳への影響でいうと集中力の低下や疲労感の蓄積と体の不調が続発する事にもなりかねないと。
つまり冒頭で挙げた様々な体の不調はこのかくれ酸欠によるものではないか?という事ですね。
この他に声が枯れるという症状も自律神経の不調によって起こる可能性があるとか。
スポンサーリンク肺活
ここまで「口呼吸が諸悪の根源」といわれると、これを改めるには単純に口を閉じていればいいのでは?と考えがちですが、
そこにはちょっと落とし穴。
実は以前より口呼吸がクセになってしまっている人というのは、呼吸のための筋肉が衰えてしまっているので、鼻呼吸を意識するだけではダメというのが厄介な所。
横隔膜をフル活用して息を吸ったり吐いたりするトレーニングで鼻呼吸用の筋肉を養って行かないと、実効性に乏しいというわけですね。
そこで登場するのが「肺活」というワード。
ではここからはどんな肺活があるのかご紹介。
オペラ式肺活メソッド
ニューヨークを拠点に活躍するオペラ歌手の田村麻子さんが教えてくれるのはオペラ式の肺活。
昭和大学名誉教授で呼吸生理学者の本間生夫先生によると、
普通の呼吸では限られた筋肉しか使えず、筋肉は使わないと退化して行くものなので、そこで歌を歌ったり発声をする事で呼吸筋が動きやすくなるのだとか。
つまり歌うプロであるオペラ歌手は呼吸のプロでもあるというわけですね。
【肺活量アップトレーニング】
そんなオペラ式肺活メソッドの基本的なやり方は、
- まずは姿勢を正して空気の通り道を確保
- 息を吸って止めて8秒維持、息を吐かないまま5回繰り返す
正しい姿勢というのが、体のちょうど真ん中に一本芯が通る感覚で、その上に頭蓋骨を乗せるイメージ。
息を吸った所から、どんどん息を吸って行くこのキツいトレーニング。呼吸筋の広がる限界をどんどん増やして行こうというイメージで肺活量をアップさせるのがこのトレーニングの肝。
吸い込む1回目は肺に息を溜めそれをキープしつつ、2回目は肩を上げて肩周りに息が入っていくイメージ(実際には入りませんがあくまでイメージ)、3回目は顔の下半分に息が入っていくイメージ、4回目は顔の上半分、5回目は頭の上。
初めてやってみると全く吸えずに2回目すら出来ないかもしれませんが、トレーニングというのは出来ない所から出発し、続けて練習していくうちに徐々に出来るようになっていくものなので焦らないように。
今出来なくても続ける事でどんどん吸えるように変わっていく自分を目指して続けてみましょう。
潜水の競技をしているフリーダイバーもヨガの呼吸法などを取り入れて、息をどんどん体に溜めていくトレーニングを行っていますよね。
スポンサーリンク【のどや肺周りの筋肉をほぐすエクササイズ】
お次は固まった呼吸筋をほぐすエクササイズですが、実は腕の筋肉をほぐす事で呼吸がしやすくなるという効果があるそうで、そのやり方は、
自分の腕が楽器になったイメージで、伸ばすと同時に声を出す、元に戻すと同時に音を止めるというのを繰り返す感じですね。
よく分からない場合は肺活量アップのトレーニングだけでも効果が見込めるので継続してトライするのが大事ですね。
この他にピロピロ笛(吹き戻し)を応用したトレーニンググッズなどもあるとか。
- プロイデア 腹式呼吸エクサ ロングピロピロ
- プロイデア うきうき呼吸エクサ ブレスアッパー
吹き戻しをわざと10秒かけてゆっくり伸ばして、3秒かけて縮める事で息を長く吹く練習になるそう。
筒状のものは口にくわえて息を一定の強さで吐き続けてボールを所定の位置で止める事でこれも呼吸のトレーニングになるというもの。
こういった商品もあるんですね。
要するに細く長く息を吐いたり、息をコントロールする動きを通じて腹式呼吸を身に付けようというグッズですが、わざわざ買うまでかと言われればうーん…どうなんでしょうか。
スポンサーリンクスクワット
実は世界的な呼吸リハビリテーションのガイドラインでは「下半身のトレーニング」が推奨されているそうで、
中でもスクワットは下半身だけではなく、脊柱起立筋や腹直筋といった体幹トレーニングも出来るという優れたトレーニング種目。
これらの筋肉は呼吸をする際にも重要な筋肉になって来るので、特に高齢者などは出来る範囲で積極的にスクワットに取り組むべきでしょうね。
また、健康な人でも、手足の筋肉と肺活量には密接な関係があるそうで、
平均的な筋肉量の大学生よりも、手足の筋肉が低下した大学生の方が少なかったなんて比較実験結果も。
外出自粛で外を出歩かないと下半身の筋肉はすぐに衰えてしまうので、呼吸筋も含めてどんどん衰えている人は多そうですよね。
日本呼吸器学会の呼吸器専門医である宮崎雅樹先生もリハビリとして自身のクリニックでスクワットを指導しているとの事でその指導内容は、
- 足を肩幅に開く
- 両手を前に伸ばす
- 反動を付けずにゆっくりと太ももが床と平行になるまで腰を落とす
- ゆっくり元の姿勢に戻る
- 10回 × 3セット
ポイントはかかとが上がらないように、膝がつま先より前に出ないのがルール。
また、膝よりも頭が前に出ないように気をつけましょう。頭が前に行くとバランスを崩して転倒するリスクにもなるので要注意。
膝や股関節に不安がある人は足を開いて、つま先を外側に向ける形で行っても良いとの事。
要するにスクワットの基礎の基礎ですね。
座面にお尻が軽くタッチしたらまた立ち上がるというのを繰り返すだけでも初心者用トレーニングにはなりますね。
10回が難しい場合は5回からスタート。これもどんどん出来るようになっていく自分を目指して日々継続ですね。
スポンサーリンク呼吸筋ストレッチ
さらに秋野暢子さんが指導する呼吸筋ストレッチも紹介。
基本は背筋を伸ばして「鼻から4秒で吸って、口から6秒で吐く」という呼吸リズム。
【首回りのストレッチ】
やり方は、
- 体は正面に向けて鼻から4秒吸いながら「首だけ」右に向く
- 首を正面に戻しながら口から6秒吐く
- 今度は鼻から4秒吸いながら左に向く
- 首を正面に戻しながら口から6秒吐く
続いて、
首を倒す時は、肩が上がらないように注意。
【胸のストレッチ】
やり方は、
- 胸の前に手を重ねて置いて胸が上がらないように押さえ、やや上を見るように首を伸ばす(息は4秒鼻から吸う)
- 元に戻しながら6秒で口から吐く
続いて、
後ろで組めない人は組まないままでもOK。逆に組んだ腕を高く挙げられる人は挙げてより胸が開くように意識。
【背中のストレッチ】
【体幹のストレッチ】
1つのメニューにつき3セットほど行い、これを1日で3回ほどが目安。
スポンサーリンク要するにストレッチの伸ばす、縮めるの動きに「鼻から4秒で吸って、口から6秒で吐く」の呼吸リズムを同期させましょうという事ですので、あまり難しく考えないように。
実はスクワットなどの筋トレなどでも筋肉の動きに合わせて息を止める、吐くというのは基本だったりしますので、呼吸と動作を同期させるというのは重要。
最後に、このストレッチの狙いの一つとして「息をしっかり吐く」というのもポイント。
というのも息をしっかり吸うためには、まず息をしっかり吐けないとダメというのがミソで、
肺には常にいくらかの息が残っているのが普通の状態で、これを残気と呼び、この残気が肺に残り過ぎるとどんどん吸える量が減っていってしまうもの。
ですからこの残気を出来るだけ減らしてやることで、吸える量をどんどん増やしてというわけですね。
呼吸筋ストレッチをする事で残気量が減るので、しっかり吐ける分、しっかり吸えるというメカニズム。
ちなみに秋野暢子さんが最後にチラッとおっしゃった後ろに下がるスクワットのバリエーションであるバックランジ10回3セットの消費カロリーが10km走ったのと一緒の消費カロリーというのは大間違いなので信じないように。
バックランジ10回3セットでも恐らく消費カロリーはせいぜい10kcal~30kcal程度なので250kcal消費できると紹介していたのはとんでもない数字かと…。
そんなに筋トレで猛烈にカロリーを消費してたら筋トレしている人たちは死ぬほど激痩せしていきますからあり得ない話です。
以上「あさイチ マスクシンドローム 頭痛・だるさ・息苦しさよサラバ!マスク不調改善スペシャル」の肺活トレーニングのやり方についてでした。
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