不動産の「徒歩○分」の基準はどうやって計算する?複雑ルールだらけ?チコちゃんに叱られる
21年5月8日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」で出題されたのは『不動産広告の「徒歩○分」ってなに基準?』という問題。80mで約1分というのがその基準ですが、その他にトリッキーなルールが様々存在していてかなり複雑。そして基準のモデルになった鈴木深雪さんとは一体誰?
スポンサーリンクゲスト出演者
【ゲスト】芳根京子、土田晃之
【VTRゲスト】なし
不動産広告の「徒歩○分」ってなに基準?
2問目の指名は、
この中で一番、引っ越しが好きそうなステキな大人ってだーれ?
ここは岡村さんが回答者に。
「駅まで徒歩○分」という物件情報について話題に出すチコちゃんと、今住んでいる家の表記では駅まで7分だったのに実際に歩くと10分かかるという岡村さんですが、
ここでチコちゃんの疑問は、
不動産広告の徒歩○分はどういう基準で決まってる?
中2の夏の男子の徒歩という答えですが、
チコちゃん「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
何か思いついた様子の芳根京子さんは「オリンピックの競歩」と言い出しますが、そんな速過ぎる基準を設定するわけがないw
というわけでチコちゃんの答えは、
ヒールを履いた鈴木深雪さん
解説は国内唯一の不動産学部がある明海大学の中城康彦教授。
不動産の徒歩所要時間は「道路距離80mにつき約1分間」というのが基準だそうで、
この基準の元となっているのが鈴木深雪さんとの事。
1963年に出来た宅地建物取引の表示に関する公正競争規約には「徒歩による所要時間については、80メートルにつき約1分間」と記載アリ。
実際、人の歩く速度について書かれた1990年の論文によると、10歳から60歳男女の平均歩行速度は分速77.3mになっていて1963年当時に作られた80メートルで約1分というのはなかなか妥当な数字だったという事が窺い知れますね。
ところが実生活ではこの徒歩○分というのはかなりバラつきがあるように感じるのはなぜなんでしょうか?
それには広告表示のルールの複雑さが関係していて、
例えば「駅から徒歩○分」のスタートは改札では無く駅の「出入り口」と決まっていたり。
つまり改札と駅の出入り口が離れている駅だと、実感する徒歩所要時間と実際に歩いた時の感じ方に差が生まれる事に。
スポンサーリンクまた、駅から物件までの距離は直線距離では無く、最も短いルートで表示するルールもあるので、実際に地図アプリでの最短ルートを調べた上で試しに歩いてみると、
- 信号や踏切での待ち時間は考慮されない
- どれだけ急坂でも坂道は考慮されず、長い階段も普通の道と同じ扱う
- 物件は「一番近い敷地の場所」が基準
などなど多くのルールが関係しているそう。
一番近い敷地の場所という事は駐車場の端っこが基準点に設定されていたりして、そこから自分の住む部屋までの移動距離は計算外になるんですね。
駐車場が広いとそれだけ体感時間の差になったり。
結果は徒歩15分の広告表示のところがストップウォッチ計測の実測で徒歩19分25秒という結果に。
そしてここでやっと鈴木深雪さんの謎へ。
彼女の素性は不動産の広告表示のルールを決めた責任者との事で、
東大法学部卒業後に公正取引委員会事務局に入って我々消費者のために様々な取り組みを行った方。
2018年に他界されているので夫で同僚でもあった鈴木満さんにお話をうかがうと、
亡くなった後も話題に出してもらえるというのは立派で尊敬しているとの事。
当時は不動産の不当表示が横行していたそうで、昭和30年代の住宅が足りていない状態をいいことに、消費者に不利益になるようなウソや大げさな住宅表示が当たり前のように溢れていたんだとか。
例えば最寄り駅から徒歩6分と見せかけて実際は35kmも離れた距離にある他の駅が実際の最寄り駅だったりと最寄り駅情報は嘘八百。
さらに国道に面している、電気・電話・水道も引き込み済みという売り文句も全てデタラメだったりと酷い有様。
そこで不当表示を規制して欲しいという消費者団体の強い要請によって景品表示法の法律が制定。
そして鈴木深雪さんは法学部出身で法律のスペシャリストでもあったので不動産の公正競争規約制定の担当者に選ばれることに。
当時20代だった鈴木深雪でしたが、弱者の味方になろうと不動産業界との闘いがスタート。
当然、不動産というのは駅から近ければ近いほど価値が上がるもので、そう消費者に感じさせるためにも不動産業界からは徒歩1分=100mという数字が主張されることになりますが、これに異を唱えた鈴木深雪さんは実際に自分で歩いて計測する事に。
山歩きが趣味で健脚だったという鈴木深雪さんは当時持っていた靴の中で一番かかとの高い靴を履き、せっかちな性格に反してかなりゆっくりしたペースで歩いて計測。
そこで弾き出したのが徒歩1分=80mという基準。後にかなり妥当な数字だというのが裏付けられているので彼女の取り組みはしっかり後年に生きている事に。
その他にある色んなルールによってそう一筋縄ではいっていないのが残念ではありますが。
ということで結論は、
不動産の「徒歩○分」の基準はヒールを履いた鈴木深雪さん
でした。
分速何メートルで歩く?の質問には「私は飛べます。」と手をパタパタさせて空中浮遊(CG処理)をお見舞いするチコちゃん。
2問目は以上。
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