NHKあさイチ 脳科学的に使える大人の勉強法 集中力・記憶力・やる気アップのやり方一覧
21年11月15日放送のNHK「あさイチ 人生を変える!今こそ“おとなの勉強”」では脳科学のプロが教える大人の勉強テクニックを特集。勉強する際にぶつかる集中力が続かない、なかなか覚えられない、モチベーションが上がらずやる気が出ないといった大人の勉強3大悩みを科学的に解決するには?番組で紹介された様々な勉強法をまとめてご紹介。
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講師役は立教大学の中原淳先生。
中原先生によると、まず大人の勉強を考える上で重要なポイントが3つあるそうで、
- 好きな事から始める
- ハードルを上げ過ぎない
- 1人でやらない
との事。
【好きな事から始める】
自分の好きな事は圧倒的に長続きしますので「とにかく儲かる物、お金になる物を学びたい。」「人の勧めで。」は勉強の動機としては不十分。自分が興味関心のある事から始めていくのが原則。
そもそも「自分の好きな物が分からない」「夢中になれるものが無い」「今日がある物が思いつかない」という人は子どもの頃に憧れていたものや、子どもの頃に少し取り組んでいたものを思い出してみるのもアリ。
【ハードルを上げ過ぎない】
目標を持つのは大事ですが、高すぎる目標を掲げると自分の現在地と比較してその落差に落胆して諦めるという事にも。
大きな目標の前に少し背伸びレベルの目標も設定しましょう。
少しずつ段階を経てステップアップしていくのが理想的。
【1人でやらない】
「何を学ぶか?」にプラスして「誰と学ぶか?」という問いも大事。
同じ目標を持つ仲間を作ったりして新しい人間関係を築くのも刺激に。
お互いに励まし合ったり、知識の共有をしたりする事でさらに自分の能力を伸ばす助けにしましょう。
大人の勉強3大悩み
ではここから「大人の勉強でぶつかりがちな3大悩みの解決法」について。
- 昔はもっと出来たはずなのに集中力が続かない
- なかなか覚えられず記憶力ダウン
- 重い腰が上がらずやる気が出ない
誰しもがぶつかる悩みではありますが、アドバイスしてくれるのは東北大学で脳科学を研究する瀧靖之教授。
瀧先生によると、そもそも人間の脳というのは楽しく訓練すれば確実にその能力がつくのが大前提だそうで、これは脳が持つ可塑性(変化して成長する性質)がポイントに。
この性質は確かに加齢によって徐々に衰えていくものだそうですが、基本的にどれだけ歳をとっても残り続けるものなので、若い時に比べて多少ハンデがあるぐらいでいくつになってもやれば出来るというのが真実。
逆に学生時代には無かった武器として、大人になった今は自分の好きな事を選んで学べたり、将来像を具体的にイメージしやすいという点でいうと有利に戦えるとの事。
ちなみに学生時代から「数字や表を見ると頭が痛くなる」なんて感じている人はいませんか?
ところが瀧先生によると私たちの脳に得意や苦手といったものは基本的に無いそうで、その分野にどれだけ時間を費やしたか?という努力の量だけが問題になるとの事。
つまり数字や表に苦手意識を持つ人というのは幼い頃からそれらを避けてきた人という意味なので、これから少しずつ触れる時間を増やすのが解決策。
また、「自分は○○が苦手」という思い込みはかなり大きなマイナス作用があるのでネガティブな思い込みはNG。
その分野にどれだけ時間をかけたか?という点だけで左右される事を肝に銘じましょう。
では具体的にどんな勉強法が有効なのか?次の項目ではそんなテクニックを紹介。
スポンサーリンク集中力アップの勉強法
まず集中力アップに使えるのが「ポモドーロ法(ポモドーロ・テクニック)」と呼ばれる勉強法。
「25分タイマーをセットして勉強に充て、終わったら5分休憩」
これを1セットとして何度か繰り返し、1セット~4セット(総勉強時間30分~2時間)ぐらいを目安に勉強するというもの。
個人差はあるものの人間の集中力はそんなに長く続かないもので大体25分前後続くというのが目安。
2時間の勉強時間があってもダラダラやるだけだと集中力がどうしても持たないのが人間の生理なので、短期集中を何度も繰り返すのがポモドーロ法。
記憶の特性で言うと、勉強時間の序盤と終盤に得た情報は脳によく定着するのに対して、中盤はなかなか定着しないものだそうで、そこで序盤と終盤の一番美味しい所を出来るだけ味わうためにあえて勉強時間を25分と短く設定し、それを何度も繰り返す事で効率よく勉強するという狙いがあるんですね。
ちなみに5分の休憩の間は目を閉じてリラックスするのがおすすめだそうで、休憩時間はとにかく何もせず「空白」を作る方が良いとの事。
集中を途切れさせるようなスマホ、雑誌、タブレット、テレビのような誘惑は遠ざけて、LINE通知があったのでチラッとスマホを確認といった行動も避けるべき。
休憩時間に新しい情報を入れてしまうとそちらに集中力が向かったり、記憶が持って行かれたりするので、ジッとしてリラックスする以外に体を動かす場合はその場で出来る軽いストレッチ程度に抑えること。
また、気分がノって25分の区切りがやって来ても「このまま続けていたい」と感じる場合はケースバイケースで多少は長く延ばしてもOKですが、あくまで例外的な処置なので基本は25分で区切る方が脳科学的には正解と瀧先生。
そもそも勉強しようとしてもついスマホに没頭してしまったりと他に数多ある誘惑に打ち克てないという人は、勉強に向かう前に軽く歩いたりして体を動かすと気持ちが整うので、軽い運動を取り入れると良いとの事。
記憶力アップの勉強法
続いては記憶力アップについて。
そもそも記憶は時間が経つにつれてどんどん薄れていくというのが脳の特性。
ところが「ほんのちょっと見直す」という行為だけで忘れた記憶の定着率がグッと上がるという所がポイント。
こちらはカナダの大学で行われた忘却曲線の研究で、大学の講義を受けてから経った日数によってどれだけ講義内容を覚えているか?をテストした結果をグラフにすると、
青線は何もしなかった場合の記憶定着の推移に対して赤線は復習をした場合。
何もしないと講義翌日の時点で半分以上忘れてしまっていますよね。ところが復習するだけで記憶がグッと回復しているのが分かります。
つまり復習は大事というわけですが、そこで使いたいテクニックが「勉強最初の1分~3分でいいので前日・前々日やった事の振り返り(復習)」からスタートするという方法。
これを行うと同じ事柄に最低でも3回触れる事になるので記憶の定着率は格段に上昇。
ここに加えて「勉強最後に短い予習時間を設ける」とさらに記憶力アップ。
明日やる内容にサラッと目を通すだけでOKで、これだけで新しい情報から「ほんのちょっと知っている情報」に変わるので頭に入りやすくなるんだそう。
「明日こんな事をやるんだな」という意識を持つだけで十分なのでじっくり読み込む必要はありません。
また、1週間おき、2週間おきといったタイミングで長めに復習時間をとるのも有効との事。
記憶法という話題では、記憶工学研究所所長の池田義博さんによると、
単語帳などを覚える際にはじっくり一つ一つの単語を覚えていく「カメ作戦」よりも、次々に素早く新たな単語を覚える「ウサギ作戦」の方が脳の記憶の為には有効だそう。
その代わりに何度も繰り返すのがポイントとの事。
スポンサーリンクやる気アップの勉強法
場所・時間を決めて勉強するという考え方を改めて、場所を決めずに細切れで少しずつ積み重ねるという勉強法もアリ。
そこで使えるのが「家中どこでも勉強法」。
これはリビング、キッチン、ダイニングと様々な場所に教材を置いてどこにいても勉強できる環境を整えておくテクニック。
実は勉強部屋に籠るというのはあまり有効的とは言えないと瀧先生。
準備をしている段階で既にやる気がダウンしてしまうという事もあるので「勉強面倒くさいなぁ。今日はちょっとやめとこうかなぁ…」とネガティブな感情が生まれる前に問答無用で即座に勉強に入ってしまう事でこれを防ぐわけですね。
隙間時間にチラッとテキストを眺めるだけでも先ほどの記憶の定着のためにはプラスになるので、重要事項などをまとめてあるプリントを点在させておくのも良いそう。
チラッと眺めるつもりが「よしやろう。」と勉強する意欲をアップさせるきっかけにもなるのでおすすめ。
番組で紹介されていた具体的な方法は、
などなど。
いきなりあらゆる場所に置き過ぎると逆効果になるので2、3箇所から始めるのが良いとの事。
とにかく「チラッと眺める」環境を作るのがポイント。勉強は集中してしかるべき場所でやらないと意味が無いという考えは捨てる事。
他に使えるモチベーションアップが「ワクワクする将来像をイメージする」という方法も。
例えば資格試験であれば「合格する自分」を想像するのではなく「資格を有効に使って充実している自分」を出来るだけリアルに具体的に思い描く事が大事。
私たちの脳は「感情&記憶」が密接に関わっているもので、感情を司る扁桃体と記憶を司る海馬が連携する事で記憶力がアップ。
特に「楽しい!ワクワク!面白い!」といった感情があればあるほど記憶の面からもやる気の面からもプラスに。
以上、NHKあさイチの大人の勉強法についてのまとめでした。
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