プレバトで紹介された梅沢富美男句集の俳句で夏井先生が傑作に選んだ作品は?
23年4月6日「プレバト」では梅沢富美男の句集完成記念としてこれまで番組で詠まれた作品のまとめや、夏井先生の辛口&絶賛評価をダイジェストで紹介。
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梅沢富美男ヒストリー
「六つの花(=雪)でどれだけ女を口説いてきたか」と得意げに語る梅沢富美男に、
夏井先生「話聞いた途端に1位やめりゃよかった!俳句って自分の句を朗々と解説するのが一番野暮だと言われてる!」
『ライン引き 残してつるべ 落としかな』(16年10月13日)
夏井先生「名人らしい色んな手練手管が入ってますね。本人が分かってやったのか偶然なのか。何年も付き合ってるから疑ってるんですよ!」
『旱星(ひでりぼし) ラジオは余震 しらせおり』(18年8月9日)
暑い夜を過ごす中でラジオからは余震を伝えるニュース。そしてふと見上げると不吉な赤い星。という句ですが、
夏井先生「上手い句でしたね。季語が良いですね。何よりも。旱星はまさに赤い、妖しい感じの星ですね。そして『ラジオは余震』で本震が少し前にあったと状況も一緒に伝えているわけですね。」
「おっちゃん、久しぶりに言葉の質量をキレイにきっちり考えた心を隅々まで使った句が出来ましたね。」
そこにあるポストの寂しさと、新しい友となったかのような小鳥のツーショットを詠んだ句。
夏井先生「優しい句でしたね。一番上手いのは最後の『夜明け』ですよね。ずっと昼間だと思って読んでいたら最後にいきなり未明の空が見えてくる。そしてこの人は小鳥の声に目覚めると。夜明けの冷たい空気の中で朝の目覚めの小鳥。それは寂れてしまった村を忘れない小鳥たちなんだと思う所に作者の感動というものがある。優しいおっちゃんなんや…」
コチラが夏井先生が最も印象に残っている句として挙げた一つ。
母親に衣装を縫ってもらっていた経験から、楽屋で縫物をする母親に差す朝日を見て「ありがたい。」と感じたその心情を詠んだ句。
夏井先生「句集『一人十色』の梅沢富美男にしか読めない句でしょう。50句の中にこれ入れる事が出来てホントに良かったと思ってます。」
楽屋に置いてあった亡くなった母の写真、その髪色から着想を得た一句。
夏井先生「何!?染めって!?いらないに決まってるでしょうよ!染めとかっていい加減にしろよ!と言いたい。」
添削案は『白髪を うすむらさきに 春立ちぬ』でわざわざ「染め」という言葉を使うのは野暮と厳しい言葉。
梅沢「お前さんも薄紫に染めてるじゃねぇか!」
夏井先生「それがどうしたよ!」
スポンサーリンク夏井先生「本当に妻の事を愛してるならもうちょっと小さなところにちゃんと配慮すると思う。『こういう句作って、ちょっと機嫌とっときゃいいかな』ぐらいの。」
「紅葉」でいいのにわざわざ「冬紅葉」にするとこの後は枯れていくだけとマイナスしかない印象で、結婚記念日が10月と聞くと、
浜ちゃん「ケンカをするな!ケンカを!」
さらに「妻の」とわざわざ書くのもあざといとダメ出しは終わらず、
真珠婚、手の染みとあったら妻の事だろうと容易に想像がつくので「わざと妻と書いてちょっと良い顔しようとしている。」と厳しい指摘。
『手の染みも 愛し紅葉の 真珠婚』にすれば愛情もストレートに伝えられると夏井先生のアドバイス。
夢中になって本を読んでいるうちに朝焼けを迎えている様を、打撲のアザの色が変わっていく様に例えた一句。
夏井先生「これは良かったです。『読み終へて』で時間経過を表現出来ていますね。その途端にアザが出てくる。静かに本読んでるのになんで?と思って辿っていくと、これが朝焼けの比喩だと分かった瞬間のハッとする驚き。非常にみずみずしい感覚。初めて純粋に(新境地開拓への)期待を抱きました。」
『桜蘂(しべ)降る ハシビロコウ 瞬(まばた)く』(22年5月5日)
夏井先生「桜の花びらが散ることを知っている人たちも、しべもちゃんと落ちるって気づかない人が多いかもしれません。季語の桜蘂降るのささやかな波動のようなものをハシビロコウという動かない生き物がキャッチして一瞬まばたいたのでは?この”気づき”が俳句という詩になるんだと分かっていると、これが俳人ですね。流石だと思います。時々こういうの見せてくれると私の血が綺麗になります。笑」
『左見右見(とみこうみ) 風を抱くや 鬱金香(うこんこう)』(16年4月21日)
夏井先生「左見右見、鬱金香で17音の器がちょっと鬱陶しくなってる事に気づいて欲しい。『ゆらゆらと 風を抱くや チューリップ』でも意味は一緒でしょ?だからなぜわざわざ鬱金香にしたの?って。結論は知識をひけらかしたと。」
電車で席に座ろうとしたらヒラリと舞った桜の花びらを見て春を感じたという一句ですが、
夏井先生「『春隣』はどういう意味の季語かって言うと、春が隣にあるって事は冬の終わりの季語なわけです。花びらは桜を意味するんですよ。一体それはどんな土地で冬の終わりに咲いてらっしゃるんですか?」
『えり足に 冬の風あり LINE消す』(17年11月30日)
夏井先生「冬の風という季語をリアルに描くためにはむしろ『首筋に』ぐらい置いてもいい。」
『首筋に 冬の風あり LINE消す』とすると色んな人物の首筋が浮かんでくるし、
どうしても”恋”のイメージを入れ込みたいのであれば『冬の恋 終わりぬ風に 消すLINE』という添削案。
『帰国の日 アガシの白靴の 悲し』にすると悲恋の句になるという添削案。
スポンサーリンク『空のあお 富士の蒼へと 飛花落花(ひからっか)』(18年4月12日)
夏井先生「俳句のメカニズムをちゃんと分かってる人が作る王道の俳句。」
亡くなった兄から以前プレゼントした時計が形見代わりに贈られて来た時の事を詠んだ句。
夏井先生「これは良い句です。50句にこの句も入れてあげたい。」
鷹鳩と化すは獰猛な鷹が春のうららかな陽気によって鳩になる事を指す春の季語で、
カフェオレを飲んでヒゲが白くなって可愛らしくなった様を重ねて詠んだ一句。
夏井先生「これはこれで手練れだなと思いました。」
成長の早い桐とどんどん溜まっていくだけで中々使わない紙袋を重ねた一句。
目借り時は暖かくなって睡魔に襲われる時期を意味する季語で、髭剃りの泡の香りで眠気に襲われる様を詠んだ一句。
この句はしっかり褒めた夏井先生でしたが「同じお題で何度も詠めない」と愚痴をこぼしていた梅沢富美男に夏井先生からお叱りの言葉。
夏井先生「前に一回詠んだから詠めないなんて永世名人は口裂けても言ってはいけない事です。いくらでも詠んであげましょう!ってそれが言えないと。」
以上、梅沢富美男句集完成記念で紹介された作品まとめでした。
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