倍速視聴のデメリットは不眠症?対処法は10秒呼吸法?カズレーザーと学ぶ
23年8月22日「カズレーザーと学ぶ」では体感時間特集として倍速視聴のメリット・デメリット、倍速視聴と不眠・睡眠障害の関係性や10秒呼吸法を解説という事で番組内容をまとめてご紹介。
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倍速視聴のメリット・デメリット
解説は脳神経学者の名古屋大学・澤田誠教授。
澤田先生自身もニュースは1.5倍速で視聴しているそうですが、
まずは「倍速視聴は情報を得る手段としてとても効率的」という支持派が主張するメリット面について。
2022年にカリフォルニア大学で行われた実験データによると、
授業動画を通常スピード、1.5倍速、2倍速、2.5倍速まで分けて生徒に視聴してもらい、その理解度を調査したところ、
通常・1.5倍・2倍までは成績は変わらず、一方で2.5倍になると成績が悪くなるという結果に。
つまりこの事からシンプルな情報収集だけであれば2倍速までは許容範囲という一つの結論。
情報処理に関わる大脳新皮質(脳の外側の部分)は神経細胞のかたまりでかつ太い神経が多く通っている事もあって処理スピードがかなり速いとの事。
ちなみに2倍速で2回繰り返して見る事でさらに理解度を深められるという事も。
一方、倍速視聴のデメリットとしては「感情が伴う情報処理は難しい」というのが不支持派の意見。
ジャンルとしては映画・ドラマ・お笑いなど。
というのも感情を伝達する神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンはその処理スピードが遅く、
喜び・楽しさ・怒り・悲しみといった情報は大脳新皮質に伝わる前に大脳辺縁系を経由して伝達。
つまり感情に関する情報は映像や音声よりも一拍遅れて伝わるというのが脳の構造。
これが倍速視聴になるとこのズレがさらに大きくなってしまうので、ドラマや映画で倍速視聴するとストーリーをただ情報として追いかけるだけという状態に。
スポンサーリンク倍速視聴とストレス
順天堂大学の駒澤真人客員准教授による実験では、
猫がじゃれ合う癒しの動画を通常のスピードで観た時は副交感神経が優位な状態でリラックスしているのに対して、
同じ動画を2倍速にしてみると、たった1分観ただけで交感神経が支配的になって高いストレス。
これは視聴している人からすると無自覚のストレスのようで、実はこのストレス値は仕事で上司に怒られたり、人前でのスピーチなどに匹敵するかなりのレベル。
しかも実験に参加した岩田アナに関してはせっかちな性格が災いして通常スピードの方がむしろ「遅いなぁ…」とちょっとイライラしていたとか。
それでもデータ上は真逆の結果。
これに関して澤田先生は「倍速視聴中は映像を楽しんでいるにもかかわらず、脳がストレスの準備段階に入ってしまっている。」という指摘。
倍速視聴だと情報を逃さないように視覚・聴覚といった五感を研ぎ澄ますモードに入っているので脳が交感神経を活性化させ、脳に血液を集中させてアクセルを踏んでいる状態。
これによって心拍数や呼吸数が増加して結果的にストレス状態に入っているとの事。
特に倍速視聴は夜寝る前にささっと観て済ませようとするときに活用されがちですが、
実際にYouTubeが発表しているデータでは倍速視聴の数は夜11時以降に増加傾向にあるそうで、そうなると「夜寝る前」というタイミングが問題に。
ストレス状態になるとノルアドレナリン(覚醒物質)が高まり、その状態は1~2時間ほど持続してしまうので、寝る前に倍速視聴すると不眠症や睡眠障害の原因になるかもしれないと澤田先生。
そこで対処法として澤田先生がおすすめするのが「呼吸法」。
交感神経優位な状態では呼吸数が増えるのが特徴的で、実際に先ほどの実験でも呼吸数は倍速視聴時に増加。
これが1~2時間と続くと血管が収縮して血流悪化に繋がるそうで頭痛やめまいなどの体の不調を引き起こすリスクがあるとの事。
対処法としては「10秒呼吸」が有効で、
ポイントは「吐く時」で息を吐く時に副交感神経が支配的になるので、息を吸う時間よりも吐く時間を意識。
5分ほど続けると効果があるといわれているそうですが、澤田先生から1~2分(吸う吐くを10回程度)でも効果は十分あるので寝る前におすすめとの事。
以上、カズレーザーと学ぶの倍速視聴についてでした。