プレバト俳句炎帝戦2024 出演者&ランキング結果 夏タイトル優勝者はダウ90000蓮見
24年7月11日放送の「プレバト」では新ルールになった夏の俳句タイトル戦・炎帝戦を開催という事で出演者やランキング一覧など決勝結果をまとめてご紹介。
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出演者リスト
【関東・甲信越ブロック出場者】
フルポン村上健志、キスマイ横尾渉、水野真紀、ニューヨーク嶋佐和也
【関西・中四国ブロック出場者】
フジモン、立川志らく、安藤和津、JO1河野純喜
【九州・沖縄ブロック出場者】
千原ジュニア、森迫永依、かたせ梨乃、瀧川鯉斗
【中部ブロック出場者】
キスマイ千賀健永、森口瑤子、犬山紙子、津田寛治
【北海道・東北ブロック出場者】
梅沢富美男、こがけん、ダウ90000蓮見翔、ペナルティヒデ
スポンサーリンク新ルール
参加資格は一度でも才能アリを取っていればOKの才能アリ経験者280人。
2か月間のエントリー期間を設け、お題「好きな観光地」で自由に俳句を詠んでもらい今回は51人が俳句を提出。
選んだ観光地ごとに5つのブロック分けを行い、
- 北海道・東北
- 関東・甲信越
- 中部
- 関西・中四国
- 九州・沖縄
各ブロックの上位4人、計20人が本戦ファーストステージの出場権を獲得。
そこからブロック優勝者1人のみが決勝戦へと進み、勝ち上がった5人で頂上決戦。
決勝ではお題「好きな観光地」で新たなにもう一句詠んでもらってその審査で優勝者を決定。
自由にお題を選べるという逆に不自由なルールに四苦八苦するベテラン勢や、さらに選んだ地区に誰がいるのか分からないというくじ引き的要素が新ルールになった炎帝戦のポイントに。
2024年春光戦と同様に良句を2句揃えないと優勝できないルールに変更されたのも厄介。
スポンサーリンクファーストステージ(ブロック対決)結果
【関東・甲信越ブロック】
最下位 水野真紀『高原に 横笛ピュルル 夏の空』:長野県美ヶ原高原
上五につける「に」は散文的で詩的な情景を生みにくくなるのでタブー。この表現しかありえないという相当な覚悟が無い限りは基本的に「に」は避けるのがベター。
『高原は夏空 横笛のピュルル』の添削案だと高原という空間を作った後に夏空を縦に伸ばして、最後に音を登場させる事で空間の中で音が広がっていく様を表現できると夏井先生。
3位 フルポン村上『三越の 獅子は阿(あ)の口 夏旺(さか)ん』:日本橋
三越前のライオン像と夏旺んの季語を取り合わせる発想は流石。
ただし「阿の口」が大問題。
口を開けているライオンを「阿の口」とありがちな表現で終わっている点に創作力が欠けているとダメ出し。
2位 ニューヨーク嶋佐『峰雲の ホッピー通り ハイボール』:浅草
リズム感の良い句で「峰雲の」でホッピー通りに焦点を絞る工夫も好判断。
具体的な地名は出さないまま「雪渓」「品川ナンバー」のワードで大体の場所を想像させる技。
また、白くて冷たい雪渓にとり合わせた熱々でカラフルなピザという色や温度の対比が見事。
最後は「来」で締める事でいかにも観光を楽しんでいる雰囲気に。
なところはどこかな?と想像力を掻き立てられる句。
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最下位 フジモン『朝九時の ビール塩こぶ ビリケンはん』:大阪新世界
大阪らしいリズムに乗った明るさと「朝九時」と具体的な時間を明示してリアリティーも演出。
塩こぶをつまみに朝から飲んでいる様をありありと見せてくれる点は良句ながら「ビリケンはん」で新世界の事だと分からせる手法が念押ししすぎで損と夏井先生の指摘。
ビリケンはんのワードに頼ってありきたりな表現に落ち着いている点を問題視。代わりに阪神帽、スポーツ紙、王将碑といったワードであれば評価も違ったというダメ出し。
3位 JO1河野純喜『USJ セットファサードの 片陰』:大阪USJ
セットファサードは映画の撮影などで使われる舞台セットの事。
カタカナ語の意味を調べてみようと思わせる魅力を持った句で、夏の太陽から逃れる日陰である季語の片陰もしっかり活かされているという評価。
2位 安藤和津『夏を追う 叡電の影 チャリの影』:京都叡山電鉄
影のリフレインによって調べが作られて、映像化にも一役買い、余韻も形成。
影を2つ重ねる事で夏が始まって去っていく様を惜しんでいる様子も描写。
1位 立川志らく『渡月橋の騒(ぞめ)き 干からびた蜥蜴(とかげ)』:京都渡月橋
騒きのワードのおかげで人でごった返す声・車の音など色んな音が一緒に湧き上がってくる効果があり、そこでカットを切り替えて視線をふと下にやるととても暑い京都を暗示させる干からびた蜥蜴という対比。
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最下位 森迫永依『スキットルの 固き四角や 片陰り』:沖縄西表島
物をはじめに置いて、それを丁寧に描写して詠嘆をする事で感触をより強調。最後はカットを切り替えて季語で締めて場所や状況などを匂わせるという破綻の無い作りの句。
ただし「片陰り」の季語だけでは北海道から沖縄までありとあらゆる場所が当てはまってしまう点が敗因。代わりに「花梯梧(はなでいご)」のような地域性のある季語を入れるべきと夏井先生の指摘。
3位 かたせ梨乃『始発待つ 素足ぶらぶら 大三東』:長崎島原鉄道
誰でも知っている地名を使う事で共通のイメージを想起させる効果がある一方、全国的な知名度ではない地名を持って来るとその効果は望めず。
ただし大三東の魅力を伝える句としては分かりやすい描写のおかげで良い句という評価。
2位 瀧川鯉斗『カタカナの 魚ばかりや 市薄暑(はくしょ)』:沖縄公設市場
「カタカナの魚ばかりや」という独自の視点を活かした切り取り方は高評価。
薄暑は3音の季語で一緒に時間・場所の情報を2音付けることで光景を整えるテクニックもしっかり活用。
1位 千原ジュニア『舳先(へさき)より 泡盛の神酒 一礼す』:沖縄宮古島
海の神様に無事を祈る儀式を詠んだ句で、具体的な場所を頭に置いてリアルな描写、夏の季語である泡盛で地域性も同時に表現。カットを切り替えて一礼という動作できっぱりとした雰囲気。
スポンサーリンク【中部ブロック】
最下位 津田寛治『雨後の虹 怒髪ゆるんだ 東尋坊』:福井東尋坊
雨後の虹と有名な東尋坊の地名を取り合わせる発想は○。
となると議論の対象になるのが中七。
怒髪天を衝くのことわざがあまりにも強くイメージされてしまうので比喩表現がことさら大げさに感じられてしまう点が残念。
雨上がりで東尋坊に打ちつける激しい波がちょっとゆるんで見えたのが描写したいシーンという事を踏まえると『雨後の虹 白波ゆるぶ 東尋坊』の方が適切。
3位 犬山紙子『胎児寝る 風鈴数多 きゃらきゃらと』:静岡西伊豆
「きゃらきゃら」のオノマトペは風鈴の材質を想像させるオリジナリティとリアリティをしっかり持った表現。
問題点は「胎児寝る」と言い切ってしまった形。
『風鈴の きゃらきゃら 胎児眠らさん』とするとお腹の中の赤ちゃんが眠っているのを手の平で確認しているような描写に。
2位 キスマイ千賀『熱田守護の 亀の蛭剥ぐ 炎天下』:愛知熱田神宮
熱田の守り神である亀が歩いていて、蛭がくっ付いていたのでそれを剥がしてやったという実体験をもとにした句で非常に面白い素材と高評価。
蛭、炎天下で季重なりのマイナスポイントがあるにしてもその作品のオリジナリティ、リアリティのおかげでこれはこれで良句という評価。
『熱田守護なる 亀の甲羅の 蛭を剥ぐ』という添削案であれば季重なりは解消されて断トツ1位確定だったと夏井先生。
1位 森口瑤子『黴(かび)臭い ホテルだけど 海がデカい』:家族旅行の思い出
五・七・五・を逸脱してさらに口語表現という型破りながらこの語り口・調べ・内容が合致して味わい深い作品。
観光地がどこなのか明確にはならないながらも少なくとも海辺のホテルを想像させるので観光である事は明確。
最後が「海が近い」だとホテル情報に終始して終わってしまう所を「海がデカい」とした点で勝利確定だったと夏井先生。
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最下位 ペナルティヒデ『荒山の 岩間匂ふや 稚児車(ちんぐるま)』:北海道大雪山
小さく咲く稚児車に着目したのは目の付け所が良いものの、情報が重なり過ぎている点が問題。
「荒山」「岩間」もどちらも地理的情報なので荒山は諦めて違う表現に変える方が適切。
例えば『青空や 岩間を匂ふ 稚児車』にすると白い花の色と青空の色の対比に。
3位 こがけん『船に群れ 海猫の腹 蒼々と』:三陸海岸
海猫の腹に映る海の青に着目した点は良い観察眼ながら「船に」の「に」がちょっと気になるのが残念。
『舷(ふなべり)や 腹蒼々と 海猫(ごめ)の群』とすると全ての要素を入れつつ映像のディテールもより鮮明に。
2位 梅沢富美男『竜飛より 海峡見ゆる 翌(あす)は秋』:青森竜飛崎
夏の終わりを表す季語の「翌は秋」を持って来たのは粋。
岬から海を見下ろしている光景なども格調高く詠まれているものの、どこか漂うのがこんな歌詞あるよね感。季語が上手い分そこで損。
1位 ダウ90000蓮見『釧路駅 知らないコンビニの 冷房』:北海道釧路
地名と季語「冷房」の関係性が妙なリアリティを感じさせる作品。
涼しいはずの釧路で思ったより暑くて見知らぬコンビニに不安と安心感を同時に抱えながら入っていく心理。
そこで感じたのが「あぁ冷房だけはどこも変わらないな」という非常にチープな感慨で、それがかえって作者の心理状態をリアリティに表現する事に。
という事でブロック優勝者=決勝進出者の5人が決定。
キスマイ横尾、立川志らく、千原ジュニア、森口瑤子、ダウ90000蓮見
スポンサーリンク決勝
千原ジュニア『宮古島 ホースに溜まる 水は炎ゆ』:沖縄宮古島
ホースに溜まった水を詠んだ句は割とありがちながら、地名と「水は炎ゆ」の描写でオリジナリティは何とかクリアしているので及第点。
ただし同様の暑い島に置き換えても成立してしまう点で損。
森口瑤子『向日葵を 抜けると海や 走り出す』:静岡伊豆下田
「海や」で一度シーンを切って、走り出す人物にフォーカスを持って行く描写の巧さが光る一方で、どこの観光地なのか具体的な地名を入れた句が並ぶ中でやっぱり損をしているという評価。
立川志らく『油照り 影が溶け出す 中田島』:静岡中田島砂丘
前半の描写はいかにも暑い砂丘っぽい良い表現ながら、中田島を知らない人のために砂丘や砂といったヒントを織り込む工夫で映像化して欲しかったと夏井先生。
一つ評価できるとしたらファーストステージ&決勝とどちらも地名を入れずに観光地の句を詠もうとした一貫した精神は買いたいと夏井先生。
準優勝 キスマイ横尾『能登は虹 一棟貸しの 露天風呂』:石川能登
地名と季語の取り合わせで復興をイメージさせるので被災地にエールを送る同じ想いを共有できる句。
ただし能登以外の地名でも成立してしまう点で惜しくも優勝まで一歩届かず。
能登ならではのものが少し入っていればと夏井先生。
優勝 ダウ90000蓮見『夏暁の納沙布 FMのノイズ』:北海道納沙布岬
FMのノイズはありがちな表現ながら、前半の「夏暁の納沙布」のパワーが遺憾なく発揮された形。
日本で一番早く日が昇る場所である納沙布へ行こうとしている車中である事は「FMのノイズ」で十分伝わり、岬が近付くにつれてノイズが激しくなっていく距離感も表現。
季語がしっかり立ったうえで地名が季語をしっかり支えるという理想的な形。
という事で2024年夏タイトルはダウ90000蓮見が初優勝。
以上、プレバト炎帝戦2024の結果まとめでした。
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