カニが高いのはなぜ?チコちゃん
24年12月27日放送の「チコちゃんに叱られる拡大版SP」の問題『カニの値段が高いのはなぜ?』の答えなどまとめてご紹介。カニの養殖プロジェクトの失敗の数々でその理由もはっきりと。
ゲスト出演者
【ゲスト】里見浩太朗、飯島直子、高橋克実
【VTRゲスト】AMEMIYA
カニの値段が高いのはなぜ?
1問目の出題は、
なんでカニの値段は高いの?
チコちゃんの答えは、
共食いするから
解説は岡山理科大学の山本俊政准教授。
こんな高嶺の花になってしまうのはずばり養殖するのが難しく、普段食べられるカニのほとんどが天然ものになってしまうから。
さらに地球温暖化や乱獲の影響もあってカニ全体の数がかなり減っており、ズワイガニに関してはピーク時から約96%減という状況。
そして養殖するのが難しい理由として挙げられるのがカニの雑食性からくる共食い。
産卵で生まれた子どものカニをエサとして捕食する種がいたり、大きな個体が小さな個体を獲物にしたりとなかなか見境が無いのがカニの特性で、カニは縄張り意識が強く、同じ空間に複数のカニがいると共食いを始めてしまうケースがあるんだとか。
スポンサーリンクちなみに自然界だとズワイガニは稚ガニは水深1000~1500m、子どもの幼ガニは水深1700m、成体のカニは200~400mとその生息域を分ける事で共食いを防ぐ仕組みになっているとの事。共食いは基本的に大きなものが小さなものに対して行うケースが多いので同じサイズ同士でかたまる分には共食いは起きにくいとされているのでこんな具合に棲み分け。
となるとカニのために養殖環境を作るとしたら一匹ずつ個別で育てる必要がありますが、そうなると養殖コストは上昇。
さらにカニは出荷するまでの成長スピードが遅いという欠点もあり、車海老が出荷サイズになるまで半年~9か月、鯛で1~2年といわれているのに比べて毛ガニで5年、タラバガニ・ズワイガニで10年と手塩にかけてじっくり育てないと養殖が成り立たないという事に。
こういった共食いの問題や成長スピードなどを考慮すると結局、海に出て天然のカニを獲った方が圧倒的に効率が良いという結論に。
その一方で解説の山本先生は種子島でカニの養殖プロジェクトに取り組んだ経験の持ち主で、現地でも食べられていたノコギリガザミを養殖して種子島の特産品にしようと2015年に日本初となるカニ養殖がスタート。
共食いを防ぐために10個に仕切った養殖池を作ったり、瓦で作った特製のシェルターを大量に置いたりといった工夫をした上でバングラディシュからノコギリガザミの稚ガニを大量に仕入れて池へ放流。
ところが4か月後に池の様子を確認してみると恐れていた共食いが起こって5000匹以上いたノコギリガザミは激減。生存率は7%という悲劇。
原因としては池のサイズが小さくてカニ同士が密集してしまった事で同じサイズ同士でも共食いが起こったというのが反省点に。
翌年は巻き返しを図るために山本先生自らがバングラディシュに赴いて元気な稚ガニの個体を選別して仕入れるも、カニの輸送用の箱に仕込んでいた温度・酸素濃度用の計測器が爆弾と間違われて税関で止められるというまさかのトラブル。
そんな事態も乗り越え、池に放つ際には酸素供給を豊富にするなど池の環境をかなり改善して再挑戦したところ、カニの元気が良すぎて余計に共食いが増えるという皮肉な結果に。
さらに種子島で獲れたキビナゴをエサとして与えていたらカニの色が青くなって出荷に適さないというトラブルも発生。
こういったトラブルを乗り越えて2年目は生存率22%まで数値を改善したものの目標値の60%には及ばず。こうしてコストの問題を最後まで解決できないまま養殖プロジェクトは打ち切り。
それほどカニの養殖はハードルが高いわけですが、現在山本先生はベトナムで新たなカニ養殖プロジェクトに携わっており、現在の養殖方法は一匹ずつバケツに入れて個別飼育するという新たなスタイル。
そのおかげで生存率は大幅にアップして魚の養殖並みの生存率70%を目指せる所まで研究が進んでいるとか。
ちなみに中華料理で使われる上海ガニは養殖化されており、中国では大規模な養殖池でカニを育てているのでカニ同士の距離が取れて共食いを防ぐことができているとか。さらに特別な人工餌を与える事で成育期間も1~2年に短縮する工夫も。
という事で1問目は以上。
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