人がコレクションをするのはなぜ?チコちゃん
25年10月31日放送の「チコちゃんに叱られる」の問題『なぜ人はコレクションをする?』の答えなどまとめてご紹介。
 
ゲスト出演者
【ゲスト】郷ひろみ、森七菜
【VTRゲスト】なし
人はコレクションをする?
3問目の出題は、
なんで人はコレクションするの?
チコちゃんの答えは、
木の実を集めると人気者になれたから
解説は明星大学の藤井靖教授。
そもそもコレクションする事と人間の本能(=人間を含む動物が生まれながらにして持つといわれる性質)は深い関係にあり、例えば生まれたての赤ちゃんが学習や経験をしなくても母乳が飲めるように種の繁栄・存続のための無意識の行動は本能行動と呼ばれ、コレクションは本能行動と近い関係にあると藤井先生。
というのもコレクションとは本能行動の一つの採集本能に基づく行動であり、約250万年前に我々と同じホモ属が誕生しましたが、狩りの能力が低かった彼らは肉食動物の残した肉や木の実などを採集して生活をしており、そんな生活にあっては多くの木の実や肉をとれる人が重要で、群れの中では人気者の立ち位置に。
当時の人類は100人ほどの集団で暮らしており、集団生活を邪魔するものは群れから追い出されて野垂れ死ぬという厳しい世界。なんかすごい画像…
という事は採集上手で集団の中で確固たる地位を築いて人気者になる事は集団のためにもひいては自分自身が生き残るためにも必要不可欠なサバイバルスキル。
そしてこの木の実や肉の採集がコレクションの原体験となっているようで、動物の遺伝子は長い年月をかけて同じ行動を行うことでそれが生きるためにやるべきこと=本能として遺伝子に刻まれるわけで、約1万年前に農耕牧畜時代が始まった事を考えると、人間の狩猟採集生活は約250万年前から約1万年前までの長きにわたってそういった生活を続けていたわけで、人類の歴史からすると99%以上が狩猟採集に明け暮れる日々だったという事に。
スポンサーリンクその結果として生まれたのがモノを集めるという行動で、これは本能に刻まれたものなのでなかなか抗いようがない収集癖。そして元々、種の繁栄・存続おために木の実を集めていた人類はその本能に従って様々なモノをコレクションするようになっていき、時の権力者たちもその例外ではなく、例えば今から2000年以上前の弥生時代には朝鮮から伝わって非常に貴重なものだった青銅器がコレクションされていたり、平安時代には実際の出来事や物語を描いた絵巻物などが珍重されてコレクションの対象に。さらに戦国時代には有力な武将が権力の象徴として茶器を集めるブームが巻き起こっていたり。
記録上は王・貴族・武将などの権力者たちがコレクションしたものしか史料として残っていませんが、当時は生きて行くだけで精一杯の時代が長く続いたので特別なモノを多く持っているというだけで特別な人=権力者の証に。
これが江戸時代に入るとコレクション文化は大きな転換期を迎え、江戸時代はこれまでに日本が経験したことがないような争いの少ない平和な時代となり、戦災で資産や命を失う事も無く、暇な時間や心にゆとりが生まれた庶民は様々な娯楽を楽しめるように。その娯楽に合わせて様々なコレクションが生まれたようで例えば歌舞伎役者を描いた役者絵、刻んだ葉たばこ・キセルを入れるたばこ入れなど庶民の間で人気の娯楽に関連したコレクションブームが巻き起こっていたり。
心理学的に考えると戦の無くなった時代に人々の欲求は安全に身を守りたいという「安全の欲求」から自分が満たされたい、成長したいという「自己実現の欲求」へと変化していったと藤井先生。
最初は種の繫栄・存続のために木の実などを集めていた人類は時代の移り変わりと共に自分の好きなものを集めるように。
という事で3問目は以上。
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