「貴様」が失礼な言葉になったのはなぜ?敬意漸減の法則とは?チコちゃん
25年9月26日放送の「チコちゃんに叱られる」の問題『「貴様」が失礼な言葉なのはなぜ?』の答えなどまとめてご紹介。「ご苦労さま」とはまた違ったパターンで言葉の敬意が薄れる敬意漸減の法則とは?
ゲスト出演者
【ゲスト】ずん飯尾、森泉
【VTRゲスト】なし
「貴様」が失礼な言葉なのはなぜ?
3問目の出題は、
なんで貴様って失礼な言葉なの?
チコちゃんの答えは、
敬語は時間が経つと敬意がすり減っていくから
解説は国語辞典編纂者の飯間浩明さん。
「貴様」という漢字を見れば明らかなように、この言葉は本来、目上の人に対して使われるれっきとした尊敬語であり、関ヶ原の戦いがあった1600年頃には主に武士や学者の間で手紙の中で相手への敬意を表す言葉として使われていたという記録が残っていたり。
ところが江戸時代後期になるとこの貴様の使い方に大きな変化が現れて行き、この時代になると年上の人が年下に対して貴様という言葉を使いつつ、相手をバカにするといった今のような使い方が誕生。
もともとは身分のある人が目上の人に対して使う尊敬語だった貴様は、この時代には庶民の間にも広まりを見せており、例えば人々に教えを説くお寺の住職などが丁寧な言い方として貴様を使ったりというケースが増えて行くと徐々に、同等の相手や目下の相手にも貴様と言うように。
こうなってしまうともはや貴様=尊敬語という認識がどんどん薄れて行って、本来の意味で目上の人に貴様と言ってしまうと失礼にあたるという状態に。そして、この傾向がどんどん強まって今では目下をののしる乱暴な言葉にまでなってしまった貴様。
このように敬語が長い間使われるにつれて敬意が薄れて行って価値が下がるというケースは敬意漸減(ぜんげん)の法則と呼び、その代表格が「お前」という言葉。
この大元となる言葉は大前(おおまえ)で、これは神様や天皇がいる前のスペースを表す言葉で、名前を直接呼ぶのは恐れ多いので神様や天皇を大前と呼ぶのが本来の使い方であり、最上級の敬意がそこに込められていたわけですが、これも江戸時代後期になると一般庶民が対等やもしくは目下に対して使うようになってやがてフランクな表現に変化。
スポンサーリンクその他に「ご苦労さま」という表現は漢字で書くと「御苦労様」とあるように目上の人に対して使ってもなんら問題ないものですが、現代のビジネスの場においては部下から上司に向かってのご苦労さまは失礼という認識に。
この言葉は江戸時代には使われていた言葉で、今の若い人たちの感覚からするとやや古い言葉のように感じられ、そうなるとご苦労さまは年配の人が使う言葉というイメージが強くあり、年上が年下に対して使う言葉という解釈が広まって言葉の敬意がすり減ってしまったというのが飯間先生の解説。
このように言葉が広まったことで敬意が薄れる「貴様」パターンや若者が使わなくなって事で敬意が薄れる「ご苦労さま」パターンなど敬意漸減の法則は色んな形をとるというまとめで3問目は以上。
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