筋トレ後の回復効果を高める戦略 筋肉の成長を最大限引き出すケア方法
筋トレ後に筋肉の成長を最大限引き出すためには、くたくたになった体をどうのようにケアすべきなのでしょうか?筋トレ後にも関わらず普段通りの生活を送ってしまうと、せっかく行った筋トレの効果があまり上がらない恐れがありますのでしっかりとチェックしておきましょう。ここでは6つのリカバリー戦略のうち前半の3つについてご紹介します。
スポンサーリンク目次
6つのキーポイントとは?
トレーニング後のリカバリーを考える上では以下の6つの要素に注意を払うようにしましょう。
- 水分と電解質のバランスの回復
- 貯蔵グリコーゲンの速やかな回復
- 筋肉のたんぱく質合成を進め、分解を防止
- 酸化ストレスと筋肉へのストレスの減少
- ホルモンレベルの回復
- 次のトレーニングに向けた細胞のエネルギーの回復
これらの戦略を総合的に行うことで、筋肉を効果的に回復させ、筋肉の成長を最大限引き出せるようになります。
1. 水分と電解質のバランスの回復
筋トレにおいて適切な水分補給の必要性を見過ごしているケースが多く見られ、持久トレーニングを行う場合と同様にウェイトトレーニングを行う場合においても定期的な水分補給は重要です。特に高強度のウェイトトレーニングにおいては顕著です。スポーツジムは空気の流れがあまりなく、高温多湿の環境になりがちですので脱水症状を防止する上でも要注意です。
体温をコントロールし、心肺能力をキープするためにはトレーニング前後、およびトレーニング中に適切な水分を摂る必要があります。
1時間以上の運動を続けると、体から失われる水分量は平均して体重の2~6%に達すると言われ、体重の1%にあたる水分が失われただけで身体パフォーマンスが低下します。高温多湿の環境であればたった30分の運動でも脱水状態になってもおかしくないため、水分補給に対しては敏感になっておく必要があります。
ただし、自分が「飲みたい」と思う量だけ飲んでいるだけだと、汗として失われた量の半分程度にしかならず、実際には十分に水分補給が行われていない場合が多いそうで、トレーニング中に失われた水分量を確実に補給する事が大切です。
ウェイトトレーニングは有酸素・持久系トレーニングと比較すると短時間で終了するため、電解質については水分ほど注意をしなくてもいいですが、1時間を超えるトレーニングを行う場合には市販のスポーツドリンクを利用して電解質の補給も行うようにしましょう。ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質が重要です。
水分補給の方法
運動前
運動の2時間前に500mlの水を飲む。
運動中
失った水分と同量の水分を補給しなければならない。1時間では600~1200mlが必要で、10~15分おきに7~10℃の冷水を150~250mlずつ飲む。
運動後
運動後も12~24時間に渡って適量の水とナトリウムを摂る必要がある。運動中に減少した体重1kgにつき1.5L以上の水分補給の必要がある。
2. 貯蔵グリコーゲンの速やかな回復
ウェイトトレーニングによって消費されたグリコーゲンの回復のカギになるのは炭水化物で、筋トレの目的によって摂るべき量が決まってきます。つまり、筋肉量を増やしたいのか、脂肪を落としたいのか、または健康増進を目的にするかによって変化し、筋肉量を増やす目的であれば、炭水化物の摂取を制限する必要はありません。平均的な男性が筋肉と肝臓に貯えている炭水化物はエネルギー量に換算すると約1500~2000kcal(375~500g)に相当しますが、筋トレ中に十分な炭水化物を摂っていないと、足りない分を筋肉を分解して補おうとするため注意が必要です。
体内のグリコーゲン貯蔵量が減少すると、筋肉中にあるたんぱく質を分解してグルコースが作られるため、筋肉量が大幅に減少し、筋力も弱くなります。これを防ぐには運動後に出来るだけ早く炭水化物を摂り、血中グルコース量を増加させ、それによってインシュリンの分泌量を増やす必要があります。インシュリンはたんぱく質合成を進める強力なホルモンであり、筋グリコーゲンの補充に働くだけでなく、筋肉にアミノ酸が供給するのを促進し、運動後に起こりやすいコルチゾール(異化ホルモン)の増加を抑える働きもあります。
問題なのが、ハードなトレーニング後は速やかに炭水化物を摂る必要があるのに食欲の低下が起こっている場合が多いため、炭水化物を含むドリンクやゼリー飲料を有効活用することが重要です。
3. 筋肉のたんぱく質合成を進め、分解を防止
前項では炭水化物の重要性をご紹介しましたが、筋肉の材料となるたんぱく質の補給も同じように重要です。ウェイトトレーニングによって筋肉量、筋力を高めるためには1日に体重1kgあたり1.8~4g位のたんぱく質を摂るように推奨され、ボディビルダーの多くは体重1kgあたり約2gの摂取を基本ルールとしている場合が多いようです。
特に運動直後の摂取が最も重要と言われており、炭水化物60~120g、たんぱく質20~40gを摂ることが推奨されます。
ハードな筋トレから速やかに回復することは事前に計画して、確実に実行する必要があるため戦略的に取り組む事が重要です。水分を十分に飲み、炭水化物をしっかり摂ってたんぱく質合成を促し、そしてたんぱく質の摂取もしっかり行うことが有効です。次回は後半の3つのポイントについてご紹介します。
筋トレ後の回復効果をさらに上げるサプリメント達
これらのサプリメントを上手に取り入れることで、筋肉の回復をさらに加速させることが出来ますので、基本の栄養素を押さえた上で是非考慮してみましょう。
フォスファチゼルセリン
このサプリメントを利用する事で、コルチゾールの生成を抑えると考えられており、長時間にわたるきついトレーニングによって生じた筋肉の痛みなどを和らげる効果が認められています。
トレーニングの30分前に800mgを摂ると、トレーニング後のコルチゾール量を30%減少させる効果があると言われています。ただし、ハードなトレーニング後に限って使うように心がけるべきである点は注意が必要です。
グルタミン
非必須アミノ酸の一種で、筋肉、免疫系の機能に関わるとされている物質で、サプリメントとして摂ると、筋肉組織内のグルタミンの消費を防止し、筋肉のたんぱく質分解を抑え、窒素バランスの改善に役立つと言われています。日々ハードにトレーニングしている人には筋肉の回復を促進させるために欠かせないサプリメントの一つです。
スポンサーリンク食事内容、個人差、トレーニング内容(強度、量、頻度)にもよりますが、1日に8~20g摂り、1回に2~5gずつ、1日に2~4回に分けて摂ることで一度に大量に摂るよりも効果が上がると言われています。トレーニング前後にも2~5gずつ摂るのがおすすめです。
クレアチン
プロテインに次いで最高のサプリメントと称されるのがクレアチンです。セット間のリン酸(高エネルギー物質)の再合成能力を高め、高強度でより多く運動を行うために必要なエネルギーを供給できるようになります。
また、細胞内の水分を増やし、筋細胞の体積を増やす作用もあり、これによって筋肉の成長に必要な栄養素などの物質の輸送も進みます。
トレーニング直後に1日3~5gを炭水化物、たんぱく質と一緒か、もしくは炭水化物、たんぱく質を含む食事の直後に摂るのが理想的です。炭水化物と共に摂取する場合はインシュリンの反応を確実に起こすために90g程度の炭水化物を摂ることがおすすめで、クレアチンには細胞内に水分を引き込む作用があるためクレアチン5gあたり240~360ccの水を飲む事が重要です。
HMB(β-ヒドロキシ β-メチル酪酸)
必須アミノ酸のロイシン(BCAAの一種)が分解されるときに作られ、窒素を体内に残す働きあるため、筋肉の損傷を和らげ、強度の高い運動に伴う筋肉の分解を抑えることが出来ます。ハードなトレーニングによる筋肉の損傷からの回復を助ける可能性があり、高強度のトレーニングと適切な栄養摂取と並行してHMBを摂ると効果が現れます。最大の効果を引き出すためにはトレーニングの開始時、あるいはトレーニングの量・強度をアップさせるタイミングで使うのがおすすめです。
1日3gを3回に分けて、食事とともに1gずつ摂るのが適切な摂取量と言われ、体重90kg以上の人の場合は1日5~9gを3回に分けて摂るのが適量です。