火星人がクラゲやタコ型のイメージになった理由?なぜその姿に?チコちゃんに叱られる
21年2月5日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」で紹介されたのは『火星人はなぜタコ?』という疑問。答えはウッカリしてウッカリしてドッキリしたからというよく分からないものですが、勘違いが勘違いを呼んでさらにSF小説『宇宙戦争』が決定打になったという複雑な経緯がその裏にあったり。そして解説VTRで登場したNHチコ教養講座にもご注目。
スポンサーリンクゲスト出演者
【ゲスト】関根勤、若槻千夏
【VTRゲスト】中山果奈NHKアナウンサー
火星人はなぜタコ?
2問目の指名は、
この中で一番、宇宙が好きすぎるステキな大人ってだーれ?
回答者は若槻千夏さんに。
火星人のイメージについてスケッチブックに描いてみてというチコちゃんのリクエストですが、
みなさんヒョロヒョロした細い手足がついたタコやクラゲのような形をスケッチ。
ここでチコちゃんの疑問は、
なんで火星人はタコなの?
人間とほど遠いフォルムの代表格がその形で、教科書を作った人が最初にそう思い付いたという答えですが、
チコちゃん「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
というわけでチコちゃんの答えは、
ウッカリしてウッカリしてドッキリしたから
聞いただけではサッパリ分からない答えですが、
解説は慶應義塾大学の巽孝之教授。
火星人がタコになった理由はウッカリさん達が全米をドッキリさせたからと巽先生。
発端はヨーロッパで火星が注目されていたその時代。
ここで始まったのはNHチコ教養講座「火星人はなぜタコなのか?」。
中山果奈アナと巽先生がホワイトボードを挟んで登場していかにもNHKっぽいテイストの解説。
昔から火星は人類にとって親しみのある惑星で、1877年にイタリアの天文学者であるジョバンニ・スキアパレッリが望遠鏡で火星の表面に細い模様が沢山あるのを発見してその絵を描いているのですが、
スキアパレッリはその模様の事をイタリア語で「溝」という意味の単語Canaliと呼び論文を発表。
そして、この溝という意味のCanaliをウッカリ誤訳してしまった翻訳者が存在。
諸説あるものの、スキアパレッリの論文をフランス語に翻訳したフランス人天文学者、カミーユ・フラマリオンがまず最初のウッカリさん。
火星の溝とイタリアの運河が似ている事からCanaliのフランス語訳をCanalと誤訳。
このCanalは人工的に造られる運河の事。ただ単なる溝だったのに運河に誤訳してしまったんですね。
この時点で、火星に人工的に造られた運河が存在するという意味になってしまったので、つまり火星人がいるのでは?というお話に。
「フラマリオンからするとカナーリ似てたんでしょうね。」と口走る巽先生とそれを無表情で聞く中山アナというシュールな映像w
気を取り直して、誤訳されてしまった論文はアメリカ大陸へ渡り、その論文を読んだアメリカ人天文学者、パーシバル・ローウェルが2人目のウッカリさん。
スポンサーリンク資産家でもあったローウェルは彼の豊か過ぎる創造力をもって「火星人研究」にまい進する事に。
火星の溝を人工的な運河だと信じ込んだローウェルは1894年に資材をなげうってアメリカ・アリゾナ州に火星の運河を観測するローウェル天文台を建設。
ローウェルはおよそ20年間に渡って火星を観測し続け、その溝を運河と信じ込んだままスケッチ。
望遠鏡で撮影した火星とローウェルのスケッチを比較すると、本来なら不鮮明なハズの線がハッキリクッキリと描かれることに。
火星人の存在を信じたい気持ちはどんどんエスカレートして行き、火星の地図を詳細に描き出して遂には運河に名前まで付け出す始末。
その結果、ローウェルが至った考えというのが「これほど複雑な運河を造れるとは!?火星にはきっと高度な知的生命体がいるに違いない!」
「地球から見えるほど巨大な運河を造れるという事は、脳が発達していて頭が大きいハズ。」「火星の重力は地球の1/3ほどだから脚は細いハズ。」という勝手なイメージでローウェルは人間とは姿かたちが異なっていて火星人は「グロテスク」と決めつけ。
このようにウッカリさんが2人関わった事で、
火星人のイメージ=頭が大きくてグロテスク
という勝手なイメージが人々の中に浸透していく事に。
そんなローウェルの考えを具現化してしまったのが、ローウェルの本を読んだイギリス人SF作家、H.G.ウェルズ。
1898年にローウェルの本をヒントに『宇宙戦争 (原題:The War of the Worlds)』を出版。
後に大ベストセラーとなるこのSF小説には挿絵が描かれていてコチラがH.G.ウェルズが描いた火星人の姿。
そしてこの小説は意外な方法で全米中に広まる事に。
それがあるドッキリ企画。
1938年10月30日のハロウィン前夜にアメリカで小説『宇宙戦争』がラジオ番組で放送されたのですが、音楽が流れる中、突然緊急ニュース速報が飛び込むことに。
それは火星人の襲来を知らせるニュース速報の設定で、火星人に襲われるシーンをあたかも現実に起こった事実のように実況中継するという凝った演出だったのですが、これを聴いていた人々は本当に火星人が地球に攻めて来たと信じ込んでしまい大パニックが発生。ちなみにこの放送の中でも「タコのような姿」という一説が登場。
ニュースを信じた人の数は全米で約100万人にのぼったといわれるほどの大事件に発展。
我先に避難しようとする人々の乗った車が大渋滞を引き起こしたり、貯水塔を火星人が操るロボットだと信じ込んだ人が銃で発砲したりと大騒ぎ。
そしてこの『宇宙戦争』が日本に伝わったのは昭和に入ってから。
そこから火星人ブームが到来し、少年雑誌には火星人が襲来するSF小説が多数連載される事に。
その挿絵として描かれたのはやっぱりタコの姿をした火星人たち。
その後、手塚治虫の描いた漫画『火星物語』に登場するのもやっぱりタコ型の火星人。
こうして火星人=タコのような姿というイメージがどんどん広まって行って今に至るんですね。
というわけでコチラが結論。
火星人がタコなのはウッカリしてウッカリしてドッキリしたから
でした。
ウッカリしてドッキリした事は?という問いかけには「辰巳琢郎さんを“たつみたくろう”さんと言ってね、たくみですって言われてドッキリした事がある。」とチコちゃん。
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