あさイチ 川上未映子がおすすめする本一覧 二番目の悪者、掃除婦のための手引き書など
22年4月22日放送のNHK「あさイチ」本紹介コーナーではゲストの川上未映子がおすすめする本を紹介。という事で作品の感想やおすすめポイントも含めて取り上げられた書籍を一覧でまとめてご紹介。
スポンサーリンク
ピーターラビットシリーズ
川上未映子が選んだのは「思わず誰かにプレゼントしたくなる本たち」という事で、
「全てのイタズラっ子を持つ親へ贈りたい本」というテーマで選出したのが、
ビアトリクス・ポター作・絵 川上未映子訳「ピーターラビットシリーズ」
世界的に知られる有名キャラクターのピーターラビットですが、
50年ぶりに新訳を手掛けたのが川上未映子本人。
「全23巻あるんですけど、出てくる登場人物がユニークでイタズラっ子も沢山で、そういう悲喜こもごもをリズミカルに一生懸命訳そうと思って今も続けてやってるんですけど。それを是非味わっていただけたらなと思って。」
特に「肉のパイ」に関するなかなかショッキングなエピソードは”挿絵付きで”今回初めて収録されたパート。
「ピーターラビットの世界がただカワイイだけの世界じゃなくて、人間と動物の関係とか生きて行く事の厳しさを伝えるインパクトのある所なので是非ここから始まるピーターラビットの世界を味わっていただきたいなと。」
「ピーターはドジっ子なんですけど、ピーターだけじゃなくて皆が知恵を絞ってイタズラをするんですよね。訳してて思ったのが子供ってイタズラをする時に一番頭を使ってるんだなって。」
作品を通して子供たちは一体何を考えているのか?という点の理解が深まるとの事。
二番目の悪者
「なぜ何?」を感じ始めた小学生におすすめしたい本として紹介したのが、
「一緒にニュースを見る年齢になったお子さんや『これはどういう事?どうしてこうなっているの?』と考え始めたお子さんと一緒に読んでいただけたら楽しめると思います。」
自分は世界を駆け巡る情報(良い噂、悪い噂)を作っている一人であるというのが作品のテーマ。
「読み終わった後にこのタイトルを読むと一番目の悪者って誰なんだろう?って気持ちになって、ちょっと忘れられない一冊になるんじゃないかなと思っておすすめです。」
動物の王国を舞台にしながらSNS全盛時代の今を反映した作品なので、
今を理解するのに役立つ絵本で「どう関わりを持つべきか?」を考えるきっかけになると川上未映子。
掃除婦のための手引き書
「全ての女友達へ贈りたい本」というテーマで選んだのは、
ルシア・ベルリン著 岸本佐知子訳「掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集」
波乱万丈の作者自身の経験を基に書かれた短編集。
「亡くなってから再発見・再評価された小説家で、彼女の人生を通して書かれた短編なんですが、離れた時代の女性なのにここに書かれているのは私たちが少女時代とか20歳の頃とかに言葉に出来ないけど『あれはこういう事を感じてたんだな。ああいう出来事だったんだな。』と全部ここに書かれているような。空前絶後の小説家なんですよ。」
「自分が経験した事は書かれていないのに、あたかも自分が経験したものが全て言語化されている、しかも素晴らしい表現でっていう。」
スポンサーリンク素晴らしい表現に触れると「ひょっとしたら自分にもできるのでは?」とちょっとした全知全能感を与えてくれるもので、この作品がまさにそれとの事。
「何か書いてみようとか人に想いを伝えてみようっていう気持ちにさせてくれる。」
同じ時間を共有した友人、でも今は少し離れている人たちの事を自然と思い出してしまう作品だそう。
「今この続編にあたる2巻目も出てるので是非合わせて読んでいただけたら。」
2作目はコチラ。
カミーユ
「一撃で世界を受け止めたい人へ」というテーマで紹介するのが、
京都在住の歌人による歌集。
「歌集とか短歌、詩全般が好きなんですけど、その歌集は全部を読んで欲しいと思っていて、私の言葉で伝わるかなと思うんですけど。今生きているこの自分と、自分がいなくなってからの世界とか、生死を超越したような視点が日常の言葉で描かれてるんですよ。この世界のスケールがマジカルに一首とか二首でこんな形で表現されていていいのか!?と読んだ時に立ち上がれないぐらいの衝撃を受けましたね。素晴らしい歌集です。」
歌をすべて理解する必要は無く、素直に感じたものを受け止める味わい方でも十分で「なんかそわそわする。心が揺らぐ。」といった体験をして欲しいとの事。
一冊を通して感じる世界観、使われている言葉、自分が見ているものとの距離が揺らぐ瞬間を味わって欲しいと川上未映子。
例えば、
『曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたの死後へ』
「水鳥が今ここにいるあなたの死後へとスケールがとんでいく。スケール感。伝わりますか?笑」
『時間さえ時間に疲れるということを見ていたバスの窓の銀杏に』
「主語がどこなのかさえ分からないような世界のあり方。でもここから立ち上がっているという揺れる瞬間。大きなスケールの中に自分がいて、でもそのスケールの大きさはここからしか見えない。そういうものが日常の言葉で描かれている。」
以上、あさイチで川上未映子がおすすめした本一覧でした。
コチラの記事も
あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 美術の教科書、生きる道標、太宰作品など
NHK「あさイチ」に関する全記事はこちらのリンクから