チコちゃん 惑星はなぜ惑う星と書く?惑星vs遊星の熱い物語
22年4月22日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」の第2問は『惑星を「惑う星」と書くのはなぜ?』という問題。という事で英語のプラネットの語源やたぶんこうだったんじゃないか劇場の惑星vs遊星物語など番組内容をまとめてご紹介。
スポンサーリンクゲスト出演者
【ゲスト】土田晃之、百田夏菜子
【VTRゲスト】山西惇、ロザン宇治原、草野仁
惑星を「惑う星」と書くのはなぜ?
この日2問目の出題は、
なんで惑星を「惑う星」って書くの?
見ている自分が惑わされているという岡村さんの説明ですが、
チコちゃん「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
というわけでチコちゃんの答えは、
空をさまよい惑っているから
解説は武庫川女子大学の株本訓久准教授。
惑星は英語でplanet(プラネット)と言いますが、
これはギリシャ語のプラネィティスが語源の一つとされていてその意味は「さまようもの」
株本先生にMitakaというソフトを使えばその惑いぶりがはっきり分かるというアドバイスをもらって、
Mitakaは国立天文台が開発した天文観測シミュレーションソフトで世界中どこでも・どの時代の空でも再現可能。
地球は約23時間56分で1回転(自転)しているので毎日4分ずつ引いて星空を観測してみると、
星座を形作る星々(恒星)は地球の自転によって動いて見えますが、地球がちょうど一回転した瞬間の星空だけを切り取って見てみると恒星たちは常に同じ位置に。
その一方で惑星の一つである火星は右に行ったり、左に行ったりとまさにさまよい惑っている様子。
これは火星よりも内側を通っている地球が火星を追い越した際に起きる現象。
こんな不思議な動きをしているように見えるので昔の人はプラネット(惑うもの)と命名。
これを江戸時代の蘭学者である本木良永が惑星(まどいぼし)と翻訳。
ちなみに本木良永は日本語に翻訳する際に他の星々と違って”人間を惑わす”から惑星としたそう。
この他に日本では「遊星(游星」という言葉で翻訳されていた事もあって、
惑星という言葉を用いていた東京大学と遊星を用いていた京都大学の対立の結果として惑星に統一されることになったと解説される事があるものの、それはあくまで日本における天文学の発展を願う天文学者たちの熱い思いがあったはずと株本先生。
という事でここで始まるのがNHKたぶんこうだったんじゃないか劇場『荒木、遊星」やめるってよ 京大vs東大 天文学者友情物語』
登場人物は京都帝国大学で教鞭をとり後に京都産業大学を創設する事になる荒木俊馬教授とその仲間たち、東京帝国大学の平山清次教授、京都帝国大学の上田穣教授。
舞台は1942年の天文術語集編纂会議。
これは明治以降に各大学がバラバラに使っていた天文用語を統一するために開かれた委員会でしたが、
その会議のメンバーの内訳はというと13名中東大からは6名、京大からは2名というかなり偏った状態。
そしてこの委員会の委員長を務めるのは東大閥で小惑星研究の第一人者とされていた平山清次教授。
そんな状態で熱い議論が交わされていたのは「惑星 vs 遊星」どちらの語に統一するか?という議題。
寺尾寿教授(東大閥で日本天文学会の設立者)の流れを汲む「惑星派」と新城新蔵教授(京都閥で宇宙物理学教室の設立者)の流れを汲む「遊星派」で対立した事で会議は紛糾。
ちなみに遊星を推していた新城新蔵教授は会議に参加していた荒木俊馬教授の義父という間柄。
新城教授は「星はあくまで規則正しく動いていて、惑っているのは人間の方である」という信念を持っていた人で、
星の動きを理解するのは長く夢を追っているかのようで、研究を楽しんで行っていた事がうかがえる人物像。
これを踏まえると「楽しさ」のニュアンスが入った遊星というワードはまさにぴったり。
そんな義父の想いを胸に会議に出席する荒木は、東大閥で委員長の平山は当然ながら惑星を強く推してくるものだとばかり思っていてそれなりの覚悟を持って会議に臨んでいましたが、平山からは意外な言葉が。
平山「一考の余地ありですね。私は遊星という言葉を大事にしてきた新城先生の一番弟子である荒木先生のご意見を無視してしまうほど野暮な男ではありません。」
この日は時間が遅かったこともあって一度会議をお開きにして、平山は荒木を誘って1対1で話をする事に。
すると、これからの天文学の担い手は荒木世代であるという言葉をかけて「遊星という言葉は嫌いじゃないですよ。」と一言。
実はこの会議の7年前、1935年に発行された科学知識という書籍のコラムで昔から自分も遊星を使っていたので遊星派だったと平山は書いていたり。
それでも惑星か遊星かなかなか決まらないまま迎えたある日、荒木にとある一報が。
それは平山が亡くなったと伝える電話。
その後、発行された天文術語集にはPlanet=惑星という文字。
荒木「平山先生、あなたが残した論文全てを小惑星から小遊星に変えることなど私には出来ません。それは新城先生も分かってくださるはずです。」
まとめられた天文術語集には委員長として大変な責を負った平山清次に敬意を表するメッセージも。
惑星 vs 遊星で対立した結果惑星になったという事実の裏には天文学者たちの友情物語があったという〆でたぶんこうだったんじゃないか劇場は以上。
というわけでコチラが結論。
惑星を惑う星と書くのは空をさまよい惑っているから
でした。
惑う事は?という質問には「朝食バイキング」とチコちゃん。
という事で2問目は以上。
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