干物が腐りにくいのはなぜ?干物の作り方と自由水の関係とは?チコちゃん
23年6月30日放送のNHK「チコちゃんに叱られる」の問題『生魚は腐るのに干物が腐りにくいのはなぜ?』の答えや干物の作り方など番組内容を簡単にまとめてご紹介。
ゲスト出演者
【ゲスト】南果歩、野々村真
【VTRゲスト】後藤繁榮アナ、斉藤辰夫(日本料理研究家)
生魚は腐るのに干物が腐りにくいのはなぜ?
1問目の出題は、
なんで生魚は腐るのに干物は腐りにくいの?
チコちゃんの答えは、
自由水が少ないから
解説は東海大学の平塚聖一教授。
- 自由に移動する水=自由水
- たんぱく質などの成分としっかりくっ付いて動かない水=結合水
そして魚などの食品が腐るのは水の中で微生物が繁殖してしまう事で起こってしまうわけですが、
結合水は成分とがっちりくっ付いてしまっているので微生物が入り込む余地がなくて利用不可な水。
一方で自由水は微生物にとっては大好物となる水で、その水を利用する事で繁殖可能。
これは実際に干物を作ってみると分かりやすいという事で「チコっときょうの料理」で説明。
まずはアジを腹開きしていきますが、中骨に少し身が付くように骨の少し上に包丁を入れて、
水1リットルに対して塩100gをよく溶かし、よく洗って水気をきったアジの皮を上にして塩水につけていきますが、
アジが浮いてこないように落としラップを忘れずにして1時間放置。
アジを塩水につけると身に塩がどんどん入って行きますが、そうなると塩の成分と自由水がくっ付いて結合水に変化。
これによって自由水が減って微生物が繁殖しにくい(腐りにくい)環境へ。
さらに、濃度の違うもの同士が接すると濃度が低い方から濃い方へ移動する浸透圧の影響でアジの中の水分がどんどん外に抜けて行きますが、この時に移動する水はやはり自由水のみ。
つまり塩水につけることでアジはどんどん乾燥していくわけですがこれでさらに自由水は減少。
1時間置いたアジを取り出して水で軽く洗って汚れを落として表面の水をふき取って乾燥作業へ。
干し網に皮目を下にして入れて風通しのよい場所で約3時間陰干し。
この干す作業によってアジの表面から乾燥が進んでやっぱりここでも自由水が減少。
ちなみに砂糖たっぷりで煮込むイチゴジャムなどが腐りにくくなるのも同じ原理。
自由水が砂糖にくっ付いて自由水が減り、干す作業の代わりに煮込むことで自由水が蒸発。
干物は生で焼く場合と比べて焼いた後の水分量を多くキープできるという特徴があって、干物の工程を通してずっと乾燥させてきたのに不思議な現象が起こっていますが、
これは塩水につけた時にアジの中に入った塩が一部のたんぱく質を溶かして自由水を多く抱え込むように変化。
つまり焼いても蒸発しにくい水分が増えているわけで、こうする事で焼いてもジューシーさが保たれるという原理。
という事で1問目は以上。
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