ミュージカルで急に歌い出すのはなぜ?チコちゃん
24年1月26日放送の「チコちゃんに叱られる」の問題『ミュージカルが突然歌い出すのはなぜ?』の答えを簡単にまとめてご紹介。
ゲスト出演者
【ゲスト】大竹まこと、松本若菜
【VTRゲスト】愛希れいか、加藤和樹、田代万里生、涼風真世
ミュージカルが突然歌い出すのはなぜ?
1問目の出題は、
なんでミュージカルは突然歌い出すの?
チコちゃんの答えは、
昔は歌を楽しむものでお芝居はどうでも良かったから
解説は立命館大学の宮本直美教授。
歌でお芝居する音楽劇であるミュージカルの起源はオペラで16世紀ごろのイタリアで誕生。
その頃、貴族向けの格式高いオペラは歌のみで構成されていてセリフはナシ。一方で庶民向けのオペラはセリフありのお芝居があって、突然歌い出すというシーン付き。
オペラのハイライトの一つに「アリアを聞く」というポイントがあって、
アリアとは独唱者による作品の聞かせ所の歌の事。
とにかくこのアリアを聞くのが観客にとっての待ちに待った瞬間なわけで、突然歌い出したとしても「待ってました!」とばかりにまったく気にしていなかったという事情。
庶民向けオペラはそもそも歌を楽しむものであって、それに付随するお芝居はちょっとした余興のようなものだったわけですね。
そして19世紀に入るとストーリー性のある庶民向けオペラの中から流行のダンスなどを取り入れたより娯楽性の高いオペレッタが誕生。
一方でブロードウェイに代表されるアメリカでは19世紀後半に演劇、マジック、歌、ダンスなどの出し物が次々と独立して披露されるボードビルという形のショーが勃興し、その中からミュージカル・コメディーというジャンルが誕生。
ミュージカル・コメディーでは場面が切り替わるたびにタップダンス、マジック、歌などが唐突に披露されるという構成で全体を通したストーリーなどは特にないいわゆるショートネタの羅列のようなスタイル。
そんな事情もあってか、突然歌い出した所で特に気にもならず、様々ある演目の中でも特に歌が人気だったという事もあってヒットソングによってミュージカル・コメディーを売り出すという看板的な役割もあったりとやっぱりここでもストーリーは添え物扱い。
スポンサーリンクところがミュージカル・コメディーが進化していくにつれ1920年代のミュージカル作家の中からストーリーを重視しようとする動きが始まり、そこで注目されたのがヨーロッパ生まれのオペレッタ。
オペレッタではヨーロッパの上流階級のラブストーリーが大半だったのでそのままだとアメリカには馴染まず、そこで作家たちはアメリカの社会問題に場面設定を置き換えてよりシリアスなストーリー重視のミュージカルとして発表していくことに。
人種問題などを描いて1927年に初演されたショウ・ボートがアメリカ演劇史上最高傑作と大好評となると、これに追随してストーリー重視のミュージカルが次々と制作される流れに。こうして生まれたオクラホマ!、南太平洋、王様と私などは今でも人気を博す大ヒットミュージカルに。
これらは新ジャンルのミュージカル・プレイと呼ばれ、現在私たちがミュージカルと呼んでいるものがこの時初めて誕生。
こうなるともはやお芝居がメインとなっていった事から突然歌い出すのにやや違和感。
オペラやミュージカル・コメディー全盛の時代には気にならなかった突然歌い出すシーンは、
お芝居の部分に徐々に力を入れて行った結果、今ではちょっと違和感を生んでしまうシーンになってしまったという経緯。
何とかしてこの違和感を緩和しようとミュージカルでは、
セリフの途中から前奏を始めて助走区間を設けたり、歌をセリフと同じように地声で歌う事で取って付けた感を軽減したり、歌終わりに後奏を残すことでグラデーションのようにセリフと歌の境目を自然にしたりと工夫。
という事で1問目は以上。
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