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映画「君の名は。」につながるヒットの系譜。新海誠監督作品集「空の記憶」


映画「君の名は。」の大ヒットで大注目の新海誠監督ですが、過去の作品でもその緻密で美麗な背景描写のクオリティの高さに定評があり、そんな同氏の「秒速5センチメートル」「雲のむこう、約束の場所」「ほしのこえ」「信濃毎日新聞15秒スポットCF」に使用された背景美術をノートリミングで収録した作品集「新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~」はその透明感を存分に味わえる一冊でした。

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新海誠美術作品集 空の記憶

Amazon.co.jp:「新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 」

http://www.amazon.co.jp/dp/4063647145

こちらが表紙カバー。サイズは26cm x 18.3cm x 1.4cmです。 新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 表紙

全175ページで、そのうち約145ページに400点以上の美術画が収録されています。

巻末には新海誠監督の製作環境、技法の解説、新海誠監督へのロングインタビューと映像チームスタッフ10名へのインタビューが掲載されています。

「秒速5センチメートル」

背景美術については「秒速5センチメートル」の収録点数が多く占めており、約90ページに渡って紹介されています。こちらは貴樹と明里の通学路からのファーストカット。新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 「秒速5センチメートル」貴樹と明里の通学路

貴樹の通う中学校からのカット。教室内風景の机やイスは、ロケーション写真ではなく3DCGで描かれた線画を下絵として使用しているそうです。新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 「秒速5センチメートル」貴樹の通う中学校からのカット

新海誠作品では欠かすことの出来ない「鉄道」の描写。JR大宮駅や埼京線が細かく描かれている。LED表示のドットパターンまで正確に。新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 「秒速5センチメートル」鉄道の描写。JR大宮駅や埼京線

ポスターにも描かれた「秒速5センチメートル」を代表するカット。新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 「秒速5センチメートル」ポスターに描かれたカット

陽光に照らされた衛星の環が輝く。新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 「秒速5センチメートル」陽光に照らされた衛星の環

コンビニエンスストア店内を描いたカット。冷蔵庫内は実在の商品を参考に作画されているそうです。新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 「秒速5センチメートル」コンビニエンスストア店内を描いたカット

貴樹の自宅にある仕事机。新海誠監督の机上をモチーフにしているそうです。新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of the longing for memories~ 「秒速5センチメートル」貴樹の仕事机。新海誠監督の机上がモチーフ

「雲のむこう、約束の場所」

続いては「雲のむこう、約束の場所」から30ページ程収録。奥に津軽海峡と北海道が見える。img_20161025_152556

新宿の思い出横丁がモデルになっており、居酒屋も実在のお店がモデル。img_20161025_152622

「ほしのこえ」

新海誠監督の処女作「ほしのこえ」からは約10ページに渡って紹介。img_20161025_140916

季節、時刻、天候の移り変わりが描かれている。img_20161025_152829

「信濃毎日新聞15秒スポットCF」

最後は「信濃毎日新聞15秒スポットCF」から2ページ。

長野県内の各民放局で放送されたカットから。img_20161025_140935

美術技法について

巻末には美術技法について7ページの紹介。img_20161025_141005

インタビュー記事

技術ページに続いてはインタビュー記事が掲載されていました。

ロボットというキャッチャーな要素を入れればその倍注釈くらいは売れるんじゃないかという、いま考えれば実に甘い考えで(笑)。でもとにかく、まず売ることを意識して設定を作っていったんです。とはいえそれは、《売るために考えを曲げた》というような意識ではありませんでした。

※「その倍」とは自主制作で発表された「彼女と彼女の猫」のCD-ROM販売数約3000枚の倍という意味。

ふたを開けてみれば「ほしのこえ」は倍どころか国内で6.8万枚、全世界で計15万枚以上のヒットとなりましたが、それは前作「彼女と彼女の猫」を踏まえてのものだったんですね。

商業的な売れる要素を詰め込んだと言われる「君の名は。」の大ヒットにつながるベースがこの辺にあるように感じますね。過去の新海誠監督の作品からいい部分・要素だけをハイライトにして詰め込んだ総集編のような印象はここからきているのかもしれません。しかし「いいとこ取り」で作品として完成させるのは並大抵の事ではないので、新海誠監督の描く「世界観」自体が作品として評価されたという考えが正しいように思います。

「アニメーション」というよりはゲームの合間に収録されるような「ムービー」を作った、という感覚でした。

「君の名は。」の観た感想として、印象的な主題歌である「前前前世」の長編ミュージッククリップを観たような感覚と表現している人がいるようですが、的を得ているような気がします。

そういえばCHAGE and ASKAの「On Your Mark」のプロモーション用に作成されたジブリ監修のショートフィルムがありましたが、そんなイメージでしょうか。


新海誠監督の作り出す緻密で美麗な美術描写やその技法、さらには監督ご自身やスタッフさんのインタビューまでが楽しめる作品集は、映画「君のは。」の大ヒットにつながる要素に触れられる一冊でした。「君のは。」で新海誠監督作品を初めて観て他作品に興味を持った方にもおすすめ出来る一冊ですね

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