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マイアミ・オープン決勝 R・フェデラー vs R・ナダル戦の勝敗を分けたもの


アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されているATPマスターズ1000大会マイアミ・オープンの男子シングルス決勝ではスイスのロジャー・フェデラーとスペインのラファエル・ナダルが対戦し、ロジャー・フェデラーに軍配が上がりましたね。これで彼にとっては3度目のサンシャイン・ダブル達成となりました。

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決勝戦に関連した各メディア

テニス界に燦然と輝く二人のビッグネームによる決勝戦ということで、各メディアも盛り上がっていました。

以下の画像はマイアミ・オープンの優勝者に贈られるトロフィーであるバッチ・ブッフホルツ・トロフィーが開設しているツイッターからです。長いラリーがお好きみたいです。

ゲートの前でポーズを取ったり、記者会見を行ったり、これから決勝が行われるセンターコートを見つめて「僕の新しいオーナーは誰になるのかな?」なんてつぶやいたりしているんでしょうか。マイアミ・オープン バッチ・トロフィー

https://twitter.com/MiamiOpen/status/848566810224021505

「僕が欲しいの?」とR・ナダルに語りかけていますね。R・フェデラーに対する戦前のツイートはありませんでしたので、バッチ・トロフィーはR・ナダルファンなのでしょうか。マイアミ・オープン バッチ・トロフィーのツイート

https://twitter.com/Butch/status/847955434224979969

R・フェデラーにトロフィーが授与された後のツイートでは「フェデラー、あなたに会えて嬉しいよ。あなたの願いが僕が叶えるよ。」なんていう言葉を語っています。マイアミ・オープン バッチ・トロフィーのR・フェデラーに対するツイート

https://twitter.com/Butch/status/848663295464812544

ちなみに、舞い散る紙吹雪は英語で”confetti”と言います。フランス語で「金平糖」の語源となる単語ですね。

決勝戦を前にR・フェデラーの使用ラケットが準備されています。画像右上のベーグルが気になりますね。マイアミ・オープン 決勝戦を前にしたR・フェデラーのラケットが張り上がる

https://twitter.com/priority1/status/848506142443679744

二人の入場シーンにおける歓声はこんな感じ。

 

決勝戦ハイライト

R・フェデラー vs R・ナダルの決勝戦ハイライト動画は以下のリンクから。Tennis TV公式ページの高画質版ハイライト動画になっています。

Tennis TV – 2017 Miami Open Final Highlightsマイアミ・オープン 決勝 R・フェデラーvsR・ナダル戦のハイライト

結局、決勝戦は6-3、6-4のストレートによる決着で、R・フェデラーがR・ナダルに対して完勝と言ってよい結果となりましたね。これで対R・ナダル戦初の4連勝となっています。

2005年シーズンの35勝1敗、2006年の33勝1敗、2004年の23勝1敗、につづくベストスタートを記録している今年2017年の19勝1敗。

試合のスタッツを振り返る

ATP公式ページのスタッツを見てみると、1st Serve Points Wonで差がついている事が分かります。39本中34本(87%)という高い確率で得点していたR・フェデラーに対して、41本中27本(66%)という確率に留まるR・ナダルというのが対照的です。

マイアミ・オープン 決勝 R・フェデラーvsR・ナダル戦のサービススタッツ

左がR・フェデラー、右がR・ナダル

その他のデータではブレイクポイントをどれだけしのいだか、またはブレイクを成功させたかという点も大きな差となっています。マイアミ・オープン 決勝 R・フェデラーvsR・ナダル戦のリターンスタッツ

トータルポイントの差は「71 vs 56」で「56% vs 44%」となっていますね。一般的に6-4のスコアでセットが終わった場合のポイント差は4ポイント程度である事が多いと言われていますので、2セットで15ポイント差というのはテニスで言うと大差です。

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勝敗を分けた「3球目」

※ここからはATP公式ページで公開された記事を元に加筆・修正を施して記載しております。

R・ナダル選手の武器と言えば自身のサービスゲームでリターンに対する、いわゆる3球目攻撃を強烈なフォアハンドで繰り出し、ラリーを有利に展開していく事で、3球目をフォアハンドで打つ確率は大体80%ぐらいになります。そしてそのうち65%程をポイントにつなげています。

しかし、この対R・フェデラー戦で3球目をフォアハンドで返球した確率は44本中22本で50%にまで落ちています。そしてその22本中12本(55%)でポイントしています。

一方、3球目をバックハンドで返球したのは当然コチラも50%。そしてポイントに結びつけたのは22本中9本(41%)。

比較としてR・ナダルの2014年全豪オープン順決勝戦対R・フェデラー戦(7-64、6-3、6-3でR・ナダルの勝利)からのデータを見てみると、R・ナダルは3球目で62本中45本(73%)という確率でフォアハンドで返球しています。そしてその45本中31本(69%)という確率でポイントしていますね。

そして、もう1試合。2015年ATPツアーファイナルズの対S・ワウリンカ戦のデータでは37本中33本(89%)という高い数字を記録しています。この試合は6-3、6-2でR・ナダル勝利でした。

「3球目をフォアハンドで攻撃」というのはテニスの常識なので、当然と言えば当然なのですが、その肝心のフォアハンドでもあまりポイントを稼げなかったというのが敗因のようですね。

ではR・フェデラーの3球目攻撃はどうだったのかと言うと、39本中32本(82%)という高い確率でフォアハンドで攻撃出来ています。

そして32本中20本(63%)の確率でポイント、7本打ったバックハンドでは5本をポイント(71%)。3球目攻撃はR・フェデラーが効果的に展開していたと言えそうです。

サービスのプレースメント

R・フェデラーと対戦する選手が多用する戦術と言えばサービスをR・フェデラーのバックハンド側に集めるというものがあり、R・ナダルも対R・フェデラー戦でこれまで多く使用しています。

しかし、今回の試合ではR・フェデラーのフォアハンドリターンが34本でバックハンドでリターンした本数26本を上回っています。しかもそのバックハンドでリターンをした26本中8本でR・ナダルのバックハンド側を突き、14本をフォアハンド側、そして4本でリターンミスとなっています。

この数字はR・フェデラーのバックハンドリターンの攻撃力がR・ナダルのポイント源を上手く封じ込めていたという事を表しているようです。

デュースサイドではR・ナダルはセンター狙いが多いのですが、この試合では5本のみ。そのうち2本をポイント。対して12本をワイド狙いで6本をポイント、ボディ狙いは17本中9本と、デュースサイドではあまり効果的なサービスを打ててないですね。

アドサイドでは10本をワイド狙いで8本をポイント。12本をボディ狙いで8本をポイントとなっています。

これを持ってR・フェデラーが上手くR・ナダルのフォアハンドを封じ込めたという結論を導いているのが元記事なのですが、個人的に勝敗を分けたのはもっとシンプルな点だと思っています。

参考とした元記事 – Brain Game: Federer Thwarts Nadal’s Serve +1 Plan

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R・フェデラー vs R・ナダルの過去の映像から

以下の動画は、2004年のマイアミ・オープン3回戦、R・フェデラー vs R・ナダル戦のフルマッチ動画です。これが両者の初顔合わせ、当時R・ナダルが17歳、R・フェデラーは22歳でした。

今年の大会では両選手とも30代同士の対決になっていますから時代を感じさせますね。

以下はハイライト動画になります。

翌年の2005年大会で両者は決勝の舞台で再戦し、その時は2-6、6-7、7-6、6-3、6-1のフルセットの末R・フェデラーが大会を制しています。この頃は5セットまであったんですよね。

直近ではBNPパリバ・オープンの4回戦で対戦しており、6-2、6-3のストレートでR・フェデラーが準々決勝に駒を進めています。

以下の動画は直近のBNPパリバ・オープン4回戦、R・フェデラー vs R・ナダル戦のハイライト動画です。

これらの動画は見てみると、R・ナダルのフットワークは確実に落ちていますね。フォアハンドやバックハンドの攻撃力で言うと、ボールが短くなる傾向が近年のほうが顕著に感じます。

実際にランキングを大きく落としたシーズンでは打つボール全てがサービスライン付近ばかりに飛んで、ことごとく相手にチャンスボールになるシーンを多く見てきました。

対するR・フェデラーはあの頃のフットワークはかなり高いレベルで今はすっかり影を潜めている事は置いておいても、その代わりにバックハンドの攻撃力は現在の方が段違いに上です。昔から定評のあったフォアハンドの攻撃力に関しても進化させているように思います。

10年以上を隔てた試合映像を比較する意味はあまり無いように思いますが、R・ナダルは確実に衰えているはずのフットワークに頼った戦術(守備重視)を未だに続けている一方、R・フェデラーはフットワークの衰えを素直に認めて、ストローク力、特にバックハンドを磨き、長いラリーよりもどんどん試合展開を早くする戦術(攻撃重視)により特化させているように感じます。

特にこの二人の戦いではそんなテニスに対する対照的な取り組み方も見えてくるように思います。攻撃力重視の戦術がはまりやすいハードコートでR・フェデラーの近年における優位性が際立ったのが今回だったのではないでしょうか。

ただ、R・ナダルも今年の全豪オープン決勝ではR・フェデラーに対してフルセットマッチの接戦を展開していますので、R・フェデラーに対してもう勝てなくなった選手と決め付ける事は出来ません。

特にR・フェデラーはしばしの休養をとって全仏オープン前からまたツアー参戦を再開させるようですから、R・ナダルの得意とするクレーコートでの戦いは非常に注目ですね。

ただ、日本の錦織圭も含めて他の選手も黙ってこの二人の戦いを見ているだけではありません。N・ジョコビッチのクレーコートシーズンに向けた練習

https://twitter.com/DjokerNole/status/848219493344083968

N・ジョコビッチやA・マレー、S・ワウリンカなどもクレーコートシーズンでの戦いを見据えて虎視眈々と準備を進めていますから、これからのATPツアーの趨勢は見逃せないものになりそうです。その中心にR・フェデラーが帰って来たというのは非常に感慨深いものですね。

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