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カーリング女子の銅メダル。最後の一投に何が?2番組で放送された本人解説で振り返る


平昌オリンピックのハイライトの一つと言えば、カーリング女子日本代表のLS北見のメンバーが見事銅メダルを獲得した3位決定戦でしょう。日本カーリングの歴史上、初のメダル獲得に日本国中が沸きましたね。

では銅メダルを巡る最終局面で日本チーム、イギリスチームが放ったストーンの意味について完璧に理解出来ていた人はどれだけいるのでしょうか?

両チームが何を狙ってストーンを投じていたのかあなたは詳細に解説出来ますか?

というわけで、LS北見のメンバーたちによる本人解説によって明らかになる両チームの駆け引きについて解説内容が放送された2番組「報道ステーション」、「ひるおび!」を比較しながらお伝えします。

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報道ステーションから

まずは2月26日放送の「報道ステーション」では映像をディスプレイに映して解説という形でした。

最後のストーンを放ったスキップの藤澤五月選手への質問は「どこを狙っていたのか?」

藤澤選手の答えは「イギリスのナンバー1ストーンの横でかつ内側の辺り。ちょっと奥でもダメだし、手前でもダメだしっていう。」2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 日本の狙い

続いて気になるのは「何故そこを狙いたかったのか?」という理由について。

「画面右辺りがすこぐオープンだったので、センター付近に打たれると負けてしまうため、何とかして1点取るか、失点するにしても1点に抑えたいという理由で、相手に使えるエリアを限定させるために。」という回答。2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 広いエリア

では、実際にどうなったのか?についてですが、この一投について藤澤選手は「感触は悪くなく、ウェイトも良かったけど、自分たちの石に少し当たってしまったので石が失速してしまって。」と言っています。2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 石に接触

これについて吉田知那美選手は「取った幅が足りなかったねっていう。これぐらい曲がるだろうという幅よりも多分3cmぐらい足りなかったんだろうなって。」と付け加えています。2月26日報道ステーション カーリング女子 吉田知那美解説 3cm

藤澤選手は「(外側のブルーの帯のやや内側辺り)この辺を狙って投げてたんですけど、ちょっと足りなかった。」2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 やや内側

ではイギリスチームのミュアヘッド選手は何を狙っていたのでしょうか?

「最後イギリスの選手は勝ちに来て、この黄色をコッチ(赤石側)側に飛ばして、その勢いで赤が動いて、まず黄色を出す。で初めに当たった黄色が当たった後にコッチ(画面右下方向)に抜ける。っていう風になると二つの赤石が残って2点っていうショットを実は狙っていました。」

2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 黄色のストーンを飛ばして

この黄色をコッチ側に飛ばして、

2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 赤が動いて

その勢いで赤が動いて、

2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 黄色を出す

まず黄色を出す。

2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 初めの黄色が出る

初めに当たった黄色が当たった後にコッチに抜ける。

2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 二つの赤石で2点

二つの赤石が残って2点

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この時点で鈴木夕湖選手はこの時改めて確認して「かなり危ないな。ちょっと半分もう負けたかもしれないって思いましたね。」と言っています。2月26日報道ステーション カーリング女子 鈴木夕湖解説 危ないな

イギリスチームのラストショットの難易度としては「7、8割ぐらいは多分決まるであろう、いつものミュアヘッド先輩だったら、絶対決められるショットでした。」と言うのは吉田夕梨花選手。なぜかミュアヘッド先輩と呼んでスタジオは笑いに。2月26日報道ステーション カーリング女子 吉田夕梨花解説 ミュアヘッド先輩

そして、イギリスチームのストーンが投じられた瞬間のことを本橋麻里キャプテンはこう述懐しています。「コーチボックスにいてスコットランドチーム側のコーチボックスがあっあっあっみたいに慌ただしくなっていたのでワイド(目標よりも外側)なんだなと分かって、二人のスイーパーも最初どうすることも出来ず待っていて、最後に応急処置で少し掃いたんですけど。大体もう途中から当たりは薄いなっていうのは分かっていました。」2月26日報道ステーション カーリング女子 本橋麻里解説 コーチボックス

結局、日本チームの黄色いストーンが中心部付近に飛んだことで勝敗は決したのはご存知の通りですね。2月26日報道ステーション カーリング女子 本人解説 結果は日本

イギリスチームの思惑は、この残った日本の黄色いストーンも画面右下方向へ飛ばして、取り除きたかったんですね。

勝利した瞬間に日本チームが少しおとなしいような雰囲気だったことについては、

「最後は相手のミスショットで勝ったっていうので、カーリングは紳士のスポーツなので相手のミスに対してはあまり喜んではいけないっていうルールというか、があって、試合終ったら相手と必ず握手をして終わるというのもあったので、あとプラス本当に勝ったの?っていう信じられない部分もあって。ちょっと時間がかかりました。」だそうです。2月26日報道ステーション カーリング女子 藤澤五月解説 紳士のスポーツ

ちなみに、選手達が身に着けているマイクについてはトイレ休憩に行く場合に「トイレ行きます」と一言マイクに向かって喋ってからマイクの音を絞ってもらうようになっているようです。自分でスイッチを切ることはなく音声スタッフを信じるしかないと吉田夕梨花選手は語っていました。2月26日報道ステーション カーリング女子 吉田夕梨花解説 マイクの取り扱い

また、本橋麻里選手は何をしていたの?何故プレーしないの?という疑問について、ご本人は「一番下手だからです」と謙遜しておっしゃっていましたが、吉田知那美選手の説明では、

「私たちが使う個性豊かなストーンたちのクセを毎晩毎晩、日付が変わるぐらいの時間まで自分で投げてチェックしてくれる。それもチームの力なので、それをオリンピック選手でベストプレイヤーがやってくれることによって私たちの試合は成り立っていたので。そういう部分では一緒に氷に上がって戦っていたと思います。」2月26日報道ステーション カーリング女子 吉田知那美解説 本橋麻里の役割

この重要な作業はナイトプラクティスと呼ばれるもので、その日の全日程が終わった後に実際のシートを使ってストーンのチェックを行うことを指しています。国際試合では一般的なのだそうです。

最後に本橋麻里選手は「私たち、作戦も入念にワンシーズンかけてプラン立てて、どうやったら相手よりも良い作戦で勝てるだろうっていうのをやっているので、作戦の方にも興味を持っていただいたり、チームコミュニケーションがカギになっているチームなので、皆どういうコミュニケーションとって一投一投、2時間石を投げてスイープをしているのかって言う所も見ていただけると選手の心に突き刺さるのかなと思います。」と締めくくっています。2月26日報道ステーション カーリング女子 本橋麻里解説 作戦もみてもらえれば

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ひるおび!から

2月27日放送の「ひるおび!」ではマグネットボードを使って解説という形。

これが最終的なスコアボード。2月27日ひるおび! カーリング女子 本人解説 スコアボード

日本側の最終ストーンは藤澤五月選手が黄色いマグネットで示してくれます。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 マグネット

この時点で(画像の赤石によって)1点取られるのはしょうがないなという思いがあったようです。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 1点はしょうがない

そこで何とか1点に抑えて延長戦に持って行きたいという風に考えて、右側のスペースが大きく空いていたため、簡単にナンバー1ストーンを置かれての2失点を避けるため、藤澤選手が狙ったのはココでした。ただし赤いストーンにくっつけたくは無かったそうです。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 狙いはここ

「相手が弾き出そうとしてもこっちの黄色のストーンが勝てるんです。」2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 狙い2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 1点に抑える

「もし外側に当たったとしても、それでも黄色のストーンが勝てる可能性があったので」とその理由を明かしています。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 外側に当たっても2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 黄色が勝てる

ちなみにど真ん中に黄色いストーンを置くという選択肢についてはやんわり否定の藤澤選手。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 真ん中狙いは?

真ん中に置いてしまうと弾き出されたと同時にナンバー1ストーンを作られるという最悪の状況が生まれる可能性が高いため、危険なショットという説明でした。

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では、実際にどうなったのか?についてですが、これはもう前項で触れている通りですね。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 日本のショット

「この形を見た瞬間に吉田知那美とあっと(思ってしまった)。」と藤澤選手は語っています。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 吉田知那美とあっと

吉田選手は「やっちまったと思って。」とコメント。「最後の最後に思った以上に3cm、4cmぐらい曲がりすぎてしまって。」とも語っています。2月27日ひるおび! カーリング女子 吉田知那美解説 やっちまった

この2つで比較するとかなり大きな違いがあるようで、「完全に相手の2点になるなという風に正直思いました。」と吉田選手が語るほど。2月27日ひるおび! カーリング女子 吉田知那美解説 大きな違い

ではここで2点を取りに勝ちに来たイギリスチームの狙いについてです。

速いウェイトのショットで黄色の大体半分ぐらいに当てると、黄色が赤いストーンに向かって行って、赤いストーンに当たった黄色が外に弾き出され、当たった黄色は反対側へ。恐らく投げた赤石もハウスの外へ。

2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 イギリスの狙い

半分ぐらいに当てると、

2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 赤石に向かう

黄色が赤いストーンに向かって行って、

2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 黄色ストーンが出される

黄色が外に弾き出され、

2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 初めの黄色ストーンも出る

当たった黄色は反対側へ

2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 赤石も恐らく出る

投げた赤石もハウスの外へ

これでイギリスの2点に。

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試合が終わった後のイギリス側のコーチも110%このショットしかなかったというコメントを残しているぐらいの確実な作戦だったようです。

この時点で本橋麻里選手は「チームがやっちまったっていう感じもすぐ分かりましたし、その後にスコットランドチームがやろうとしてたことも2点を取りに来てるんだなって。ただプレッシャー下に置かれた、メダルを取るか取らないかっていう大事なキーショットになるので、通常であれば決められると思うんですけど、まあ投げてみないと分からないなっていうのは半々ぐらいで思ってました。」と述懐しています。2月27日ひるおび! カーリング女子 本橋麻里解説 チームのやっちまった

しかし、結果的にイギリスチームはミスショット。2月27日ひるおび! カーリング女子 イギリスチームのミスショット

この時の本橋選手のリアクションが紹介されていましたがメンバー一同爆笑のシーンでした。2月27日ひるおび! カーリング女子 解説 本橋麻里のリアクション2月27日ひるおび! カーリング女子 解説 メンバー爆笑

最後のショットの瞬間については、「ミュアヘッドさんが投げた瞬間にスコットランドのコーチボックスがざわざわざわとザワついてたので、見ると外に投げてしまったんだなと、欲しいラインよりもちょっと外れて投げている事が分かったので。」これが本橋選手の感想。2月27日ひるおび! カーリング女子 本橋麻里解説 コーチボックス

イブ・ミュアヘッド選手のコメント「もうあと少し(ストーンが)曲がっていたらメダルがとれた」2月27日ひるおび! カーリング女子 解説 イブ・ミュアヘッド

最後のミュアヘッド選手のミスショットについて出演者の八代弁護士から、「ひょっとしてその前の日本のショットが予想よりも曲がりすぎた。それが残像に残ってたりするんですか?」という質問。

藤澤選手はえーっという感じで目から鱗という表情ですが、特に肯定も否定もせず。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月の感心したようなリアクション

「それか、どうしても投げる所に立った時に邪魔な石たちが見えるんですよね。それらに当たっちゃいけないと思ったのかも。」という見解。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月解説 邪魔な石たち

結果的に初めに立てた作戦よりも良い作戦だったのではないか?という問いかけに対してはチームメンバーは皆一様に「いやいやいや」と首を振ります。2月27日ひるおび! カーリング女子 メンバー一同否定

改めて「あれはやっちまってます。」と答える吉田知那美選手。2月27日ひるおび! カーリング女子 吉田知那美解説 やっちまってます

日本のJD(ジェームス・ダグラス・リンド)コーチが頭を抱えるほどの“やっちまった”ショットだったそうです。そんなJDコーチの真似をする藤澤選手。2月27日ひるおび! カーリング女子 藤澤五月のJDコーチのものまね


いかがでしたでしょうか?このように当時の状況を振り返ってどのような狙いがあったのか?などについて改めて本人による解説を聞いてみると、その細かい駆け引きについて非常に分かりやすいですよね。カーリングのスポーツとしての楽しみ方はこのような作戦にまつわるものが重要なウェイトを占めていると思いますので、注目を浴びるきっかけになった「もぐもぐタイム」や「そだねー」以外にも競技自体にスポットライトを当ててもらいたいなと強く思います。

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