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デッドリフトのフォームによる腰への影響は?通常vs幅広(ワイド、相撲)スタンスの比較


数ある筋トレメニューの中でもとりわけ効果が高いと言われるのがデッドリフト。下半身で地面を押すように筋肉が働きつつ、同時に上半身はダンベルやバーベルを引く動作を行うため全身の筋肉に刺激が入れられます。特に腰痛予防のためにすすめられるメニューということもあって腰に効くことは間違いないのですが、それでは脚を開く幅(スタンス)の差で腰への影響はどう変化するのでしょうか?

もちろん正しいフォームについてもしっかり押さえたうえで、一般的にお尻の幅に足を広げる「通常スタンス」と四股を踏むように足を大きく広げる「幅広(ワイド、相撲)スタンス」で比較しながら詳しくみていくことにしましょう。

皆さんは女性やシニアに向いたフォームはどちらだと思いますか?

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正しいフォーム

まずは正しいフォームについて見てみる事にしましょう。

【通常スタンス】

  1. 脚をお尻の幅で開く
  2. バーをスネにギリギリまで近づける(離れると腰を痛める原因に!)
  3. グリップは肩幅
  4. スタッガード・グリップ(オルタネイト・グリップ)で握る※後述
  5. 太ももが水平からやや高い位置になるまで腰を落とす
  6. 背中が真っ直ぐ(ほんの僅かに反り気味)になっているのを確認(絶対に背中を丸めない!)
  7. ウェイトを垂直に上げるよりも僅かに斜め後ろに引くようなイメージ

【ワイドスタンス】

  1. 足の開きが30°になり、かつ四股のポーズで太ももが水平になるスタンスが標準
  2. グリップ幅は肩幅よりやや狭め
  3. 以降は通常スタンスと同じ

腰への負担を考えると、バーをスネにギリギリまで近づけることと腰を落とした状態で背中が真っ直ぐ(ほんの僅かに反り気味)になっているポジションを確実にチェックしましょう。

これを怠ると腰を痛める原因になりますので要注意です。

特に背中を丸めないフォームのままでウェイトを持ち上げるのは初心者にはかなり難しいので軽いウェイトできっちりとフォームを固める事が重要です。コツはかなり意識してお尻を突き出すようにするのがポイントですね。

スタッガード・グリップ(オルタネイト・グリップ)とは左右で握るグリップを変える握り方のことで、握力が弱い場合にはこのグリップの方がより重い重量を扱えると言われています。

指先からバーが離れようとする力が左右で向き合った方向に働くので両方同じグリップ方向で握るよりもグリップが外れにくくなるからというのがその理由として言われています。

ただし、手の平を上に向ける側の前腕に負荷がかかりがちなので、両方ともスタンダードな握りで行っても差し支えはありません。

 通常スタンス vs 幅広(相撲)スタンス

股関節周りの構造

通常スタンスと幅広(ワイド、相撲)スタンスのどちらの方がより向いているかについては、実は股関節周りの構造によって向き不向きが発生しやすいと言われています。

内反股関節の構造 外反股 内反股

画像Aは内反股、画像Bは外反股と呼ばれていますが、

内反股の場合は脚がより外についている構造のためにスタンスを広げると関節に負担がかかりやすいのがイメージしやすいかと思います。

逆に外反股だと脚を広げる幅広(相撲)スタンスにすることで内股の筋肉がより多く使われるようになるので力を発揮しやすくスタンスを広げるメリットが得られます。

一般的には内反股はO脚傾向、外反股はX脚傾向と言われていますね。

この辺は整形外科などで医師の診断を受ける必要があるため極端にO脚やX脚の傾向がある人は医師に相談してみるのが無難です。

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腰への影響

一番気になる腰への影響についてですが、これは筋電図(EMG)によってどの筋肉がより活動しているかを比較する研究である程度はケアすることができます。

比較実験した結果によると、

通常スタンスでは、

大腿四頭筋(太もも外側・内側)、前脛骨筋(スネの筋肉)への負担が軽く、

幅広(ワイド、相撲)スタンスでは、

腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)、背中への負担が軽い。

以上のようなデータが明らかになっています。

また、通常スタンスは、

ハムストリングス(もも裏)、腰の力を多く必要とし、

幅広(ワイド、相撲)スタンスでは、

お尻、大腿部の力をより必要する。

という結果も得られています。

腰に注目してみると、

通常スタンスの方が10%~20%ほど腰にかかる負荷が高いと言われています。

どちらを選ぶべきか?

ワイドスタンスでは通常スタンスに比べると20%から25%ほど動作範囲が小さくて済むというバイオメカニクス的比較データも出ていることから、

初心者はワイドスタンスからスタートさせるのが良いと言えますね。動作範囲が大きくなるにつれて体の動かし方はより複雑になっていくのが道理ですから、よりシンプルな動きで筋トレを行える方が初心者にはありがたいポイントですよね。

既に正しいフォームの項で述べていますが、

通常スタンスだと正しい姿勢を保つのがより難しく、お尻の動きやハムストリングの動きが非常に重要になってきます。特にお尻を突き出すようにする動きが初心者には理解しづらく、ここを疎かにすると腰を痛める原因となります。

また、筋力トレーニング初期段階でハムストリングスのパワーが足りないと背中が丸まって腰を痛めやすい傾向がより強くなってしまいますので、やはり通常スタンスは“通常”とネーミングがついているのにも関わらず初心者には不向きと言えます。

ということは一般的に筋力が弱い女性やシニアがデッドリフトを筋トレの一環として行う場合には幅広(相撲)スタンスでスタートするのがおすすめですね。特にハムストリングスや背中側の筋肉、その他体幹の筋肉が弱い場合に腰を痛めたりという問題が起こりやすいというのも通常スタンスの懸念材料ですし。

ただし、幅広(相撲)スタンスでは脚を広げた状態で腰を落とす関係で、股関節周りの柔軟性がカギとなってきます。過度に柔軟である必要はありませんが、極端に股関節周りが硬いと腰を落とした時に違和感のあるフォームになってしまうため注意が必要です。

一番のおすすめは幅広(相撲)スタンスで筋トレをスタートさせて、基本的な動きが身についた時点で通常スタンスにもチャレンジするというやり方です。

両方のスタンスを併用しながら数か月試してみて自分に合ったものを選ぶか、もしくはそのまま両方のスタンスをミックスしてトレーニングを行うのがベストですね。

特に「どちらでもいいかな。」という感触が得られたとしたら、鍛えたい部位によって使い分けが出来るという事ですから、スタンス併用にはメリットがありますよね。

 - トレーニング

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