なぜ寝起きに腰痛や体のこわばりなどの痛みが出てしまうのか?それには意外な理由も
十分に寝たはずなのに、何故か寝起きにツライ思いをする事はないですか?腰痛や体のこわばり等の体の不調を朝起きたときに感じる方は多いのではないでしょうか。実はその痛みの理由は意外な所にあることは知られておらず、その為に対策出来るヒントをご紹介します。
厚生労働省が行った調査によると腰痛は朝8時から10時の間に感じることが最も多いというデータも示されていますので何とかこの問題は解決したい所ですよね。
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寝る前にスマホやタブレットを使っていませんか?
寝る前にスマホやタブレットの画面を見る被験者グループと紙ベースの読書を行う被験者グループに分けて、睡眠の質について比較した実験結果がハーバード大学の研究によって発表されましたが、読書を行う被験者グループの方が睡眠の質が高かったことが分かっています。
これはスマホやタブレットが発するブルーライトにより睡眠サイクルをコントロールしているメラトニンの分泌を抑えられたからだと考えられており、ブルーライトの睡眠に与える悪影響を抑えるには寝る前90分前までには全ての電子機器(パソコン、スマホ、タブレット端末、電子書籍端末)を切ることが大切です。
さらには、寝室からこれらの電子機器を全て別室に移しておけばベストだそうです。
寝るときの姿勢の悪さ?
寝起きに腰痛や背中の痛みを感じることがあるとすれば、それはあなたの寝る姿勢に問題があるかもしれません。腰痛などが発生する原因は主に横向きに寝る習慣によって引き起こされるようで、この姿勢ではお尻周りが屈曲することによると言われています。
これを防ぐにはシンプルに寝る姿勢を仰向けに変えることがベストです。
背骨を安定した形のままで寝られる仰向け姿勢であれば、寝起きに起きる体の痛みをケア出来る事は複数の研究で明らかになっており、更には顔のシワやお肌のトラブルも防げるそうです。
また、寝起きの気持ち悪さ、吐き気、胸焼けなどの原因となる胃酸の逆流も防止する効果が仰向け寝にもあるため、メリットが多く、ベストな寝姿勢は仰向け寝ということになりますね。
さらに寝返りの回数も重要な要素です。
一般的に内臓と内臓脂肪を合わせた重さは全体重の4割と言われており、その重さが背中側にある血管を圧迫することで腰痛を引き起こすリスクにもなり、これを防ぐのが寝返りです。
これについては別記事「寝起きの腰痛を引き起こす寝返りの問題。45秒のストレッチによってスッキリ解決」をご参照ください。
また、仰向き寝で足を心臓よりもやや高い位置に置く姿勢にすると末梢性浮腫(足や足首のむくみ)を和らげる効果もあり、血性心不全(うっ血性心不全)の発生を抑えるとも言われ、乳児の乳児突然死症候群(SIDS = Sudden Infant Death Syndrome)を防ぐ寝姿勢として足をやや挙上させた仰向き寝が推奨されていたりもしますね。
このように良い事ずくめの仰向け寝なのですが・・・
スポンサーリンク仰向け寝の欠点は?
この寝姿勢の最大の欠点はいびきを誘発しやすい姿勢であるということで、睡眠時無呼吸症候群をお持ちの方はもちろんですが、いびきの問題を抱えている方にとっては避けるべき姿勢であると言われています。
これは仰向けで寝ると、舌の根元(舌根)や喉の筋肉が重力で垂れ下がり気道が塞がりやすくなる傾向にある事に起因していて、そうなると自律神経の負担増となり疲労感につながります。
これらの症状に心当たりがある方には仰向けではなく、次に述べる横向きの姿勢がおすすめということになります。
なんでも横向き寝に変えるだけでいびきの問題はその80%が解消されるのだとか。
また、仰向けの場合、腕を上に上げた状態で寝てしまうと肩周辺が圧迫され肩こりの原因となるそうですので要注意です。
横向き寝の注意点
大体6割ぐらいの人々が横向きに寝るというデータがあり、前述の仰向けで寝る人は15%前後と言われています。要するに大多数の人は横向きに寝ているというわけですが、そんな横向き寝には注意点があります。
前述の腰痛を引き起こす要因として横向き寝を挙げましたが、どうしても横向きに寝ないと寝付けない方やいびきの症状をお持ちの方の場合は、脚の間(特に膝の辺り)に枕やクッションを挟み、腰に小さな枕を敷くことでお尻周りの屈曲を抑えることが出来き、腰痛予防に効果があるため是非試してみてください。
また、横向き寝の場合はお肌のトラブルを引き起こすと言われており、女性の方にはバストが垂れる要因ともなり得るそうですので、やはり横向き寝は悩ましいところです。
また、横向き寝の姿勢だと寝ている間に肩に上半身の体重が集中し、無意識に楽な姿勢を取ろうとして肩を前に突き出して寝るクセがついてしまうとの事。その結果として陥りやすいのが巻き肩。
巻き肩とは両肩が丸まるように胸より前に出て内側を向いてしまっている状態の事。
この症状が悪化すると前に飛び出た肩の筋肉によって胸や肋骨が圧迫されて、肺に常に負荷がかかる状態になる為に最悪の場合は呼吸障害になってしまう危険性もあるそうです。
また、胸郭内の内臓のうち肺が心臓に垂れ下がるような形になる事も問題です。心臓に対して圧がかかると腎臓を刺激するのですが、その結果として起こりやすくなるのが夜間頻尿の問題です。夜寝ている間に何度もトイレに起きてしまう原因はこんな所にも隠れていたりするんですね。
横向き寝にはこんなリスクがある事も意識しておくべきポイントですね。
「巻き肩」について詳しくはコチラの記事でフォローしています。
左向き?右向き?
ちなみに、横を向いて寝る場合には左右どちらを向いて寝たほうが良いのかについてですが、寝起きに気持ちが悪かったり、吐き気や胸焼けの症状に心当たりがある方には左を向いて(体の左側を下に)寝る姿勢をおすすめします。
右を向いて寝るとこれらの症状が悪化するという研究結果があるため右向きは避けたほうが良いようです。
また右向き寝では心臓が隔膜を通して右肺を圧迫するように位置しますので肺の容積が若干低下。すると血中の酸素濃度に悪影響を及ぼしますので、そうなると心血管などの循環器系にとって負担となります。
また、妊婦の方には、子宮と静脈の血液循環を考慮して「左向き」に寝る姿勢が良いとされています。
さらには上図にあるように「シムズ(シムス)の体位」(または側臥位とも)と呼ばれる寝姿勢が妊婦の方(特に妊娠中期以降の妊婦)にはおすすめされています。
アメリカの産婦人科医で「近代婦人科学(産婦人科学)の父」とも言われたJ・マリオン・シムズ医師が妊娠時の安楽体位として考案したもの。
喉が詰まりにくく内臓にも余計な負担がかからないので自律神経にも優しいというリラックスポジションですね。
画像を見てもらえれば分かりやすいですが、体の左側面を下にして横向きに寝て右の股関節と膝を曲げる姿勢。必要に応じて図のようにクッションを使用するのも有効的です。
妊婦ではない方にもおすすめ出来る寝姿勢ですので、横向き寝にお悩みの方は是非試してみてください。
スポンサーリンク避けるべき姿勢は?
残った選択肢としてうつ伏せ寝がありますが、これは一番避けるべき寝姿勢とされています。
背骨の安定した姿勢とは程遠く、関節(特に首)や筋肉に負担がかかるためデメリットしかありません。
うつ伏せ寝だと口や顎周辺に圧力がかかり易くなりますが、頭の重さで歯並びのアーチが崩れて噛み合わせや顎の動きに問題が出てくるリスクや顎関節症を引き起こす原因にも。
肺が収まる胸郭や横隔膜が圧迫されて呼吸が阻害されるのでこれもデメリットですね。
一応、何かに抱き着くような姿勢になるのでリラックス効果を得られやすくなるという点もありますがそれを上回るデメリットが大きく目立つ寝姿勢がうつ伏せ寝というのが結論。
また、横向きの中でも膝を抱えるようにして丸まって寝る姿勢も、ほぼうつ伏せ寝と同じような状態となるため、うつ伏せ寝同様おすすめ出来ません。
枕が合っていない
ふかふかの高い枕は、見た目はとても気持ちよさそうですが、実際に寝るとなるとおすすめは出来ません。
頭が高い状態は背骨の正しい姿勢から首先だけが外れてしまうため、下を向いてずっと歩いているのと同じ状態になってしまいます。
その為、おすすめの枕としてはやわらかいながらも首を支えてくれる硬めの芯がしっかりしているものを選ぶことが重要です。
枕の寿命としては大体3年程度が限度。ずーっと長年愛用している枕が実は不調の原因だった李もしますので適度に買い替えるように意識しましょう。
また、枕との関係性でいうと寝ている時の格好=パジャマ、寝間着の類が問題になる場合も。
特にモコモコした素材のパジャマで寝るという場合は首と枕の位置関係などが知らず知らずのうちに窮屈な姿勢になっていたり、寝ている間の肌への刺激で熟睡できていないというケースもありえますので考慮が必要です。
厚着になりがちな冬場に特に寝起きに不調があるという場合はこの点をもう一度確認を。
寝起きに起こる頭痛の原因はこんな所に
寝起きに頭がズキズキと痛むという症状の原因として考えられるのは、寝ている間に歯を食いしばっているか、歯ぎしりをしているかが挙げられます。
ブラキシズム(Bruxism)と言われるこれらの症状は実は前述の「仰向き寝+いびき持ち」の組み合わせで症状が悪化すると言われていますので要注意。
こんな時は、自分で出来るマッサージを行うことで症状が軽減される場合があるようです。※または寝姿勢を変える事も検討しましょう
温めたタオルであご周りを温めながら優しく揉んでやることで効果が期待でき、寝る前や寝起きに続けてみてください。
根気良く続けることで、歯を食いしばるクセや歯ぎしりの症状が徐々に治まってくるそうですのでおすすめです。
ただし、症状がなかなか治まらない場合や深刻な問題を抱えている場合は早めに医師の診断を受けてマウスピースの装着などの治療を行うことが鉄則です。
スポンサーリンク寝酒の習慣はやめましょう
確かに眠る前の飲酒は寝つきを良くする効果がありますが、質の高い睡眠となると別問題です。
2015年にオーストラリアで行われた研究によると、オレンジジュースとウォッカを使ったカクテルを眠る前に飲んだ被験者は寝ている間、脳内にアルファ波を出していた事が分かっており、これは深い睡眠を取れていないという事を示しているそうです。
アルコール飲料を飲むと脳内のアデノシンの濃度が高くなるのですが、このアデノシンが増えると覚醒レベルが下がって眠気が襲ってきます。そして血管が拡張して体温が下がるにつれて体はすっかりスリープモードへ。さらにアルコールには筋肉の弛緩作用もあるので体から力が抜けるような症状も現れます。
こうなると既に述べたようないびきの問題がさらに厄介なことに。筋肉が緩むので余計にいびきをかきやすくなるわけですね。お酒を飲んで寝ると普段よりもいびきをかくというのはこういう理由だと考えられます。
これだけだと最高の睡眠導入剤と言えそうですがここからが大問題。
アルコールは睡眠中に体内で肝臓の働きによって分解されて血中のアルコール濃度は割と早い段階で下がる事になります。そうなるとアルコールの作用で抑えられていた覚醒レベルが上がって行き、アルコールの分解物であるアセトアルデヒドには覚醒効果もある事から結果引き起こすのは“中途覚醒”。
数時間寝ただけでパッと目が覚めてしまったり、寝てるようで寝てないような中途半端な睡眠になったりと散々な事に。
また、アルコール代謝の差により女性は特に強くこれらの影響が出ることも分かっていますので、女性は特に要注意です。
これらの事から寝る前の飲酒が習慣になっている場合はきっぱりとナイトキャップには別れを告げるほうが良さそうですね。
どうしても夜の晩酌が止められないという方は飲酒から寝るまでの時間として3時間から4時間ぐらいを目安に間を空けるようにしましょう。
アルコールの代謝速度は個人差もあって肝機能や体重、性別にも左右されますし、何よりどの程度の酒量を飲むかによても大きく変化しますので一概には言えませんが、一般的に1杯飲んだら1時間空ける感覚で。
単純に朝は体が痛くなりやすい時間帯である
眠っている間は我々の体は炎症反応を抑える働きが強くなり、寝起きにはそれらの炎症がぶり返す事が、英国マンチェスター大学の研究によって明らかになっています。
実験では、関節リウマチの症状を持っているマウスが対象となり、一日のうち炎症の強さがどの程度変化するのかを調べるものでした。
関節リウマチとは日中に関節の動きが固まってしまい、特に寝起きに体のこわばりの症状が出る事が知られていますが、このこわばりの原因である炎症が概日リズム(サーカディアンリズム) によってどのような影響を受けているのかは明らかになっていませんでした。
実験結果は、関節リウマチの症状を持つマウスを光に当て続けると、足がむくみ、血液内の炎症レベルが高くなる事が分かり、反対に暗闇の中だとこれらの炎症作用が鎮まる事が分かりました。
これは炎症レベルの変化のみを調べるもので痛みそのものの変化をモニターするものではありませんが、寝起きに体がこわばったり、痛みが出たりする理由のヒントになるのではないかと考えられています。
マンチェスター大学の研究者によると、我々の細胞内に存在する体内時計はある特定のたんぱく質(クリプトクロム)によってコントロールされているそうで、このクリプトクロムに直接働きかけるような薬剤の開発によって、効果的に痛みをコントロールする事が出来るようになるのが目下の研究課題なのだそうです。
ただし、この革新的な痛みのコントロール法は未だに研究段階のため、実用化されるにはかなり長い道のりになりそうです。
現在、この研究結果を受けて我々が取り組める事といえば、寝起きには体のこわばりや痛みが出やすい事を理解した上で、不規則な生活を正すよう心がける事が重要なようです。
これと少し関連する話題ですが、ベテランのプロ野球選手である広島カープの新井貴浩選手と元横浜ベイスターズでハマの番長として長年プレーした三浦大輔氏の対談企画で、お2人に共通している話題として寝起きに最も気をつけているということが語られていましたね。
こちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、体のケアを重要視するアスリートの意見もどうぞご参考に。
動かない生活
普段あまり動かない生活をしているというのは寝起きの腰痛や体のこわばりを生みやすくする生活態度で、普段から適度な運動をしているという人と比較するとその差は顕著となります。
というのも筋肉や関節は普段からよく動かして刺激を与えておかないと、関節をスムーズに動かす滑液の働きも悪くなってこれらの組織はどんどんしなやかさを失っていき、外からの圧力にすぐに負けてしまう弱弱しい体になってしまいます。
また、日頃から体に刺激を与えていると次第に痛みに強い体になっていくという事も研究で示唆されていますし、運動して適度な疲労感が得られると睡眠にも良い影響を与えるという面もありますので、動かない生活はNGと言えますね。
近所をやや早歩きで散歩する程度からスタートするので構いませんので、1週間のうちに計150分の運動(30分の運動を5日間)というのが適切な運動量というデータがありますので一つの目安にしてみてください。
【こちらの記事も】
姿勢の悪さと関連する話題ですが、背骨や体の歪みが痛みの原因となっている場合もあるという事でこちらの記事も是非ご参照ください。
以上、すぐに実践できそうなものから、継続的に取り組むようなものまでいくつかのヒントをご紹介しましたので是非参考にしてみてください。