全仏オープン フアン・マルティン・デル・ポトロの対応。テニスファンなら誰もが感じるモヤモヤした違和感も。
日々熱戦が繰り広げられているグランドスラムの全仏オープン 6月1日(木)5日目ではアルゼンチンのフアン・マルティン・デル・ポトロが見せたスポーツマンシップ溢れる対応が話題になっていますね。
普段から熱心にテニスを観ない人からすればただの美談に映るかもしれないこのエピソードですが、男子テニスのツアー戦線を追いかけていれば感じるちょっとモヤモヤした思いというものもあるんです。
スポンサーリンクニコラス・アルマグロの棄権
まずは、今回起こった出来事に関して。
全仏オープン 6月1日(木) 予選を消化して本選がスタートしてから5日目に当たるこの日は男子シングルス2回戦が開催されていました。
コート2の2試合目に組まれたフアン・マルティン・デル・ポトロ(アルゼンチン) vs ニコラス・アルマグロ(スペイン)の試合。
この試合は第1セットを6-3でデルポトロが先取、第2セットはアルマグロが巻き返して逆に6-3で取り返すという展開。
以下の動画は全仏オープン公式ページのハイライト動画です。第1セット、第2セットの攻防も収録されています。股関節の痛みのためにメディカルタイムアウトを取るデルポトロの姿も映っていますね。さらにはサービスを苦しそうに打つ姿やフォア側に振られた際に膝の痛みに耐えられず転倒してラケットを落とすアルマグロの姿も。
※Youtubeリンクの貼り付けに不具合が発生しておりますので、当HPのツイッターリンクからご視聴ください。
全仏オープン公式Youtubeページ – Match of the day #4 – Juan Martin Del Potro v Nicolas Almagro | Roland-Garros 2017
Match of the day #4 – Juan Martin Del Potro v Nicolas Almagro | Roland-G… https://t.co/vdHP7MZxae @YouTubeさんから
— What an Interesting (@WIW_on_Twi) 2017年6月3日
全仏オープン公式Youtubeページ – Nicolas Almagro bursts into tears following his match against Juan Martin del Potro | Roland-Garros
Nicolas Almagro bursts into tears following his match against Juan Marti… https://t.co/SkaYvTcGda @YouTubeさんから
— What an Interesting (@WIW_on_Twi) 2017年6月3日
そして、セットカウント1-1のタイで迎えた第3セット、お互いに1ゲームを取り合った後の第3ゲームでした。
以下の動画はフアン・マルティン・デル・ポトロが放ったサービスに対して全く動くことができないニコラス・アルマグロの姿からスタートしています。
デルポトロのサービスに対してその場で動けず、膝に手をついてふさぎ込むアルマグロ。
異変に気付いたチェアアンパイアと対戦相手のデルポトロがその場に駆けつけます。
動けなくなったアルマグロはその場に倒れこんで顔を覆って号泣。ちょうどコート上のマイクの前でしたのでその嗚咽ははっきりと聞こえる状況でした。
アルマグロと共にベンチに戻るデルポトロは水のボトルを手渡します。
一口飲んだアルマグロはボトルを捨ててベンチに戻ります。すぐさま握手を交わして抱擁しますが、デルポトロは耳元で何か言っているようですね。
改めてベンチに戻ったアルマグロはベンチに置いてあったボトルを悔しさから地面に叩きつけます。すぐ傍にはデルポトロが立っており、ベンチの隣に座って励ましていますね。
さらに水を飲むように促したり、ラケットをバッグに片付けるのを手伝ったりとアルマグロをケアする姿勢は印象的です。
アルゼンチン出身のデルポトロとスペイン出身のアルマグロですから母国語のスペイン語でコミュニケーションが取れる者同士であり、怪我でツアーを離れた時期が長かったデルポトロですから、このような対応は自然な事なのかもしれませんね。
BNLイタリア国際での棄権
デルポトロのとった行動はとても紳士的で素晴らしいものですが、私が感じるちょっとした違和感はそこではありません。
実はこの全仏オープンが開幕する前週に開催されていたグランドスラムに次ぐ規模であるATPマスターズ1000大会BNLイタリア国際でもニコラス・アルマグロは膝の怪我で棄権していたんですよね。
5月17日 BNLイタリア国際 男子シングルス 2回戦 ラファエル・ナダル vs ニコラス・アルマグロ戦での出来事です。
それがこちらの動画です。
He is a great champion, but @RafaelNadal is also a great sport too….👍#ibi17 pic.twitter.com/NErvQkb2N2
— Tennis TV (@TennisTV) 2017年5月17日
この試合では第1セットの第4ゲームに左膝を押さえて動けなくなったアルマグロに歩み寄るナダルの姿が映っています。そして一緒に連れ添うようにベンチまで移動。同じスペイン人同士の同胞ということもあって非常に心配そうなナダルの表情が印象的です。
この時もナダルのスポーツマンシップ溢れる対応が称賛されました。今回の全仏のケースと全く同じような感じですね。
押さえている所からすると、今回の全仏オープンで痛みが出た箇所と同じで、痛みが再発したと見るのが自然ですね。
ただ、5月30日(火)に行われた全仏オープン 男子シングルス 1回戦 マルコス・バグダティス vs ニコラス・アルマグロ戦では7-6(7-3)、4-6、3-6、6-7(1-7)のスコアでアルマグロが逆転勝利を飾っていますから、怪我については大丈夫という判断だったのでしょう。
結果的には2大会連続で左膝の故障により棄権で大会を去ることになっていますので、しっかり治してツアー復帰して欲しいという思いもあり、この辺は複雑です。
デルポトロの性格が分かる動画
デルポトロという選手ははおもしろい選手でグランドスラム大会だとしてもエキシビションマッチをやっているのかなという行動に出ることがありますね。
以下の動画はテニスのプレーとは違いますが、コート上の振る舞いがエンターテイメントになっているようなシーンを集めたものです。
普段からこんな感じの選手なので、試合中に相手にアクシデントがあれば真っ先に反応するでしょうね。といっても試合中の怪我などがあれば、ほとんどの選手が相手を思いやるような行動を当然のように行っていますので、そんな珍しいことでもないです。
おまけで、以下の動画もご紹介します。2015年のウィンブルドン 男子シングルス4回戦 ジョー=ウィルフリード・ツォンガ vs リシャール・ガスケ戦からの1コマ。
ここでもやはり怪我の影響で試合を棄権したガスケのバッグを持って一緒にコートを引き上げるツォンガの姿が映されていますね。同じフランス人同士という事もありますが、このような気遣いは見ていて気持ちがいいものですね。