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ジャッジが語るフィギュアの見方。羽生、宇野、宮原、坂本らの表現力、その採点基準とは何か?NHKより


フィギュアスケートで重要と言われる要素の一つ「表現力」。スピンやジャンプなどの分かりやすい演技内容とは違って、非常に繊細で奥が深い分野ですね。観客やジャッジまでも自分の世界に引き込むような素晴らしい演技には不可欠と言われる表現力についてNHK BS1で2018年2月4日に放送されたスポーツ酒場「語り亭」より、その謎に迫ります。

国際審判員(国際スケート連盟 技術委員)の岡部由起子さん、振付師の宮本賢二さんなどの豪華ゲストも登場して非常に楽しめる内容でした。

競技スポーツの側面とはまた違った芸術的な側面。見る者の心を動かす演技とは一体なんなのでしょうか?また、それを点数に変換するジャッジはどのようにフィギュアを見ているのでしょうか?

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フィギュアの採点

フィギュアスケートの採点は技術点と演技構成点に別れており、今回のテーマである表現力が反映されるのは演技構成点フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 フィギュアの採点ルール

スケーティング技術、スピンやジャンプなどの技と技のつなぎ、パフォーマンス、振付などの構成、曲の解釈、これら5つの項目で採点されます。

表現とは?

元日本代表の鈴木明子さんは、「自分がどういうものを表現したいか、ストーリーや動きを一旦自分の中に入れて表現として出さないと出来なかった」とのこと。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 鈴木明子の表現

ただ、鈴木明子さん自身も表現をどうジャッジがとらえてるかという事については聞いたことがなく、ゲストの国際審判員の岡部由起子さんの話には興味津々のご様子。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 ジャッジの話に興味津々

国際審判員の視点

国際審判員(国際スケート連盟 技術委員)の岡部由起子さんはかつては選手としてリンク立っていましたが、現在では国際大会のジャッジを務めていらっしゃいます。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 国際審判員 岡部由起子

ジャッジがどこを見て点数を出しているか、演技構成点の「パフォーマンス」の項目については感情の表出がどうだったのか?が重要になるそうです。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭  感情の表出

パフォーマンスによってはジャッジですらもその世界に引き込まれてしまうこともしばしば。それでもうっかり見逃したりは全くないと断言してらっしゃいます。流石にこの辺はジャッジらしい冷静な目も持ち合わせているということですね。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 ジャッジに見逃しはない

ジャッジは視力、聴覚、基本的な健康を常に保たないといけないというルールがあるそうで公平な採点が出来るよう自らを律する力がいるみたいですね。試合に入ったらそれ以外のことは何も考えず、目の前のパフォーマンスのみに集中しているとも語っています。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 競技に集中

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平昌オリンピック代表選手の表現力

ここからは演技構成点の要素の一つである「曲の解釈」を軸に平昌オリンピック代表選手達の表現力について深堀りしていきます。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 曲の解釈

岡部さん曰く、曲の解釈とは、リズムを表現するのか?メロディを表現するのか?音の長短、大小を表現するのか?これらと一緒に感情も一緒につながっているか?といった要素が重要になるとのこと。

羽生結弦の表現力

曲の解釈において進化を続けるのが羽生結弦選手。

バラード第1番のプログラムを初めて見た時に「素敵なプログラムね。」と本人に伝えたと岡部さん。

前半のゆったりした部分と最後のステップの部分で畳み掛けていくようなムーブメントに緩急があって、素晴らしいものだったという評価です。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 羽生結弦の躍動感

続けて、振付師の宮本賢二さんは自身の考えとして、「動いている方が表現はしやすいが、何も動かない時の表現が一番難しい」として、羽生選手の静の中に高等なテクニックが詰め込まれているそう。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 動かない表現

さらに演技をこなすだけではなく、何かが伝わってくる事が重要と岡部さんはコメントしています。

そして、今回の平昌オリンピックでは怪我からの復活というドラマを本番の演技にどうぶつけてくるのかという点が期待されるようですね。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 羽生結弦のドラマ

宇野昌麿の表現力

宇野昌麿選手の表現力で際立っているのは音楽にピタリと合う、いわゆる「音ハメ」。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 宇野昌麿の音ハメ

元日本代表で解説も務める本田武史さんは宇野選手について、「踊り心のある選手だったのが強さ、男らしさを身に着けて、動きの中で“間”や“ため”が音にピッタリ合っている」と評しています。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 本田武史の宇野選手評

ショートプログラムのヴィヴァルディ作曲の四季「冬」から本田さんが絶賛するポイントは、何といっても音ハメ。四拍子のリズムの中でジャンプさえも音楽とピッタリ。踏切や着氷すらも音楽に合わせているそう。さらに直後のスピンや足替えのタイミングまで完璧にシンクロ。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 宇野昌麿の四拍子

曲の盛り上がりでスピンの速度を上げたり、ポジションを変えたりという表現もしっかり出来ているそう。

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宮本さん曰く、足の置き方さえも曲に合わせているようで、軽い曲調ではフワッと浮いてスケーティングしていて、後半伸びる音の場合はそれに合わせて伸びのあるスケーティングに切り替えているとのこと。トウの着き方も軽くしたり、ステップにおいてもそれを感じられるみたいですね。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 宇野選手の足の置き方

ただ、コーチの樋口美穂子さんから直接聞いた話としてこれらの表現力は宇野選手の天性のものかと言えば決してそうではなく、細かく練習しないと出来ない事のようですね。音ハメについても練習を積み重ねて作り上げたものだそうです。実はその辺は不器用なんだそう。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 コーチの樋口美穂子の宇野選手評

田中刑事の表現力

フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 田中刑事

番組で注目したのはスピンの時の左手。

身体のラインと腕がきっちり平行になっている点。番組MC役のミッツ・マングローブさんはフィギュアスケートファンで、細かい所も非常に気になるようです。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 田中選手の腕の使い方

ただし、ジャッジの採点においてはあくまでスピン全体を見て美しかったかどうかが基準になるため、そんな重要なポイントではないそう。宮本さんも「あまり気にしていないんじゃないか?」とのこと。

もっとしっかり解説して欲しかったところですが、田中選手についてはこれだけでした。ちょっと残念ですね。

ネイサン・チェンの表現力

本題とは逸れますが、ショートプログラムのネメシスでは冒頭で画面から消えるネイサン・チェン選手の姿に鈴木さんが気になっているご様子。「これ消えちゃうの。いつも。絶対。」「必ずカメラから消えるんです。」と楽しそうに語っています。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 ネイサン・チェンのネメシス冒頭フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 ネイサン・チェンのネメシス冒頭で消える

さて肝心の表現力についてですが、彼の演技では浮いている方の足=フリーレッグが注目ポイント。フリーレッグの使い方が美しいそう。足の上げ方が綺麗で、一つ一つの動きの意味が明確である点が評価されているようです。フィギュアの表現力 ジャッジの採点基準 NHK スポーツ酒場 語り亭 ネイサン・チェンのフリーレッグ

代名詞の4回転ジャンプで攻めた2017年シーズンとはうって変わってオリンピックに向けて表現力の部分にも磨きをかけています。ジュニア時代にはむしろジャンプは苦手なイメージで、代わりにプログラムのつなぎが物凄く細かかったため、今現在のチェン選手の姿は二つの要素が上手く合ってきているのではないかという鈴木さんの見解。

後半では女子選手を中心に表現力について探っていきます。

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