エンゼルス大谷翔平のミトングローブは新兵器?他のMLB選手は着けているのか?
自身念願のメジャーリーグ移籍を果たしたエンゼルスの大谷翔平選手。そんな大谷選手が塁上に立った時にはめているのがまるでオーブンミトンや鍋つかみのような大型グローブ。日本球界ではあまり目にする機会のない野球用具に興味は尽きません。
あのグローブは一体何なのか?名称は一体何なのか?
他のMLB選手で着けているケースはあるのか調べてみました。
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ミトン型グローブ
投手・打者の二刀流でメジャーの舞台で戦う上で商売道具の右手のけが防止のために用意された走塁用手袋という解説になっています。
見た目は完全に“鍋つかみ”
英語名では、
sliding mitt (スライディング・ミット)
ちなみに鍋つかみを英語では“oven mitt”や”grill mitt”と表現したりですね。
このスライディング・ミットについてはネオプレーン製の装具(サポーター)などを主に提供しているメーカーの「BENIK」が多くラインナップしています。
「BENIK」の公式HP ※英語ページが開きます
Sliding Protectionの項にまとめて掲載されていますが、
HPの情報によるとプラスチック製のカバーやプレートで保護力を高める仕様になっているようです。
ただ、sliding mittと言うよりかは普通にsliding glove (スライディンググローブ)と表現した方が通じやすかったりなんてことも。
sliding glove like an oven mitt (鍋つかみ型のスライディンググローブ)の方がより分かりやすい表現ですね。一般的にhand coverでも通じます。
打者デビューを果たしたオープン戦、対パドレス戦で初めて着用してテストしているようです。
その後、レギュラーシーズンに入ってからは、塁上に立つ場面でもあまり出番がないようなので、今後引き続き使用していくかどうかについては不明となっています。
メディアの情報によるとメジャー移籍のタイミングで作りがしっかりしたグローブを使いたいという本人の意向で海外製のグローブを使用したものの、走塁し辛いという不満点が見つかり、新型グローブをアシックスに開発してもらって、そこからはアシックス製の5本指グローブを継続使用しているのだとか。
日本野球機構(NPB)では上記の様なミトン型の鍋つかみグローブは2018年2月の時点で規定外の用具という事で公式戦で使えない代物でしたが、その後2018年5月に大きさや色などのルールが制定されて使用可能に。
しかしながら日本球界では全く見られない形の特殊グローブになってしまっているので今後どうなるのか?については先行き不透明。
ただし、NPBでは使用許可の取り消しは行わない方針との事なので、いつか使う選手が出て来るのを楽しみに(?)待っておくことにしましょう。
そんな将来への期待を込めてある意味鍋つかみ型スライディンググローブの本場とも言えるMLBの例を見てみる事にしましょう。
スポンサーリンクMLB選手の着用例リスト
実はこのような特製グローブは二刀流の大谷翔平選手に用意された特別な新兵器なのかと言えば実はそうではなく、他の選手も着用した例が沢山あるんですね。
ヘッドスライディングを多用する選手の場合は当然、足からではなく手からベースタッチに行くのですが、その際の怪我防止という観点から多くの選手がヘッドスライディング用の特製グローブを使用しているというのが実情。
以下はその代表的な選手達のリストです。
スコット・ポドセドニック
2004年のミルウォーキー・ブルワーズ時代にシーズン70盗塁を記録して自身初の盗塁王のタイトルを獲得したスコット・ポドセドニック (Scott Podsednik)ですが、遡ると2003年頃からそれっぽいものを使用していたという記録が残っていますので恐らく彼がスライディング・ミットの元祖。
非常に手作り感溢れる作りになっていますし、とても特製グローブとは言えない代物ですね。後ろのポケットに忍ばせておいて出塁時に使用していたとの事。
2008年シーズンまでは問題なく使用を続けていたようですが、親指をメインに守る形のプロテクターを着用して試合に出場していたそうですが、今度は小指を怪我するハメになったため、整形外科のドクター(手の専門医)が手全体を包むようなファイバーグラス樹脂製のギプスを作製。それを着けてプレーするようになったのが鍋つかみ型の始まりだそうです。
コチラが2009年のシカゴ・ホワイトソックス時代に着用していたもの。
その後にチームメイトだったウィリー・ブルームクイスト、クリス・ゲッツ、アレックス・ゴードンなどもこれを真似て着用するようになったようで、アレックス・ゴードンはスプリングトレーニングで親指を骨折するという怪我を負った事もあって走塁時の怪我防止を徹底するという観点からチームの方針として推奨されるようになったとスコット・ポドセドニック自身がインタビューで語っています。※これは2010年シーズンのカンザスシティ・ロイヤルズ所属時代のお話
スポンサーリンク着用を始めた時は守備につく相手チームの選手に「何それ?」とギョッとされたり、笑われたりもしたそうですが、使い続けるうちに市民権を獲得したようで今では誰も気にしなくなったと2010年のインタビューでのご本人コメント。それでも他のチームで使用しているのは見た事は無いとも語っているスコット・ポドセドニック。
ちなみにクリス・ゲッツが着用していたのがこんな形のもの(以下の画像参照)。
通常のスライディンググローブの上からかぶせるようにして5本の指をカバーするようなタイプでこれも手作り感あふれる代物でした。
それでもスコット・ポドセドニック版の元祖よりも着実に進化していますね。
こちらの特製グローブは一塁のベースコーチに持っていてもらうケースやスコット・ポドセドニックのように後ろのポケットに入れておくケースなどがあるようですね。
手首まで保護できるように延長されているのが見て取れますが、手首を保護するプロテクターの類は1990年代から選手の間で着用されるようになっていたとか。
それが徐々に指を守るようになって、遂には手全体をという自然な流れ。
ブレット・ガードナー
2011年シーズンに49盗塁を記録して盗塁王のタイトルも獲得したこともあるブレット・ガードナーですが、スライディング(特にヘッドスライディング)をした際の左手のけが防止のために着用しています。
以前(2009年)彼は二塁にスライディングした際に左手の親指を骨折した苦い経験を持つため、このように対策しているようですね。
ヘッドスライディングをした際に前への推進力が強すぎて、どうしてもベース上に手がいってしまう悪癖があったそうで、球団側もなんとかならないものかということでこのような特製グローブに行きついたようです。2013年から使用を開始しているようですね。
打席に立つ機会がある場合は一塁のベースコーチに持っていてもらって対応しているとの事。
トレーナーさんがファイバーグラス樹脂を固めて彼の手のサイズに合うようにカスタマイズしているとウォールストリートジャーナルでは紹介されていますが、こぼれ話として初めてはめてみた際には、あまりにもピッタリし過ぎていて外すのに苦労していたとか。
初期の頃はガチガチのギプスのようなもので硬すぎる仕上がりだったため、まるで棍棒のようになってしまい逆に二塁手に怪我をさせてしまうという恐れから改良。
スポンサーリンク上記の画像のネオプレーン素材で作られた新型グローブはグローブ内で指を動かすことも出来て、スライディング時にベースを掴む動作も行える仕様になっているようです。
肘当てに使うサポーターを切り取って、それを縫い合わせて改良しているという裏話もインタビューで語っています。
これ以前は水かきのようなものが着いたプロテクターもテストしていたそうですが、強度が足りないという点で、行きついた先が画像のようなオーブンミトン型=鍋つかみ型スライディンググローブだったようです。
マイク・トラウト
Mike Trout
まずはコチラのYouTube動画からご紹介。
2014年シーズン、二塁にヘッドスライディングで飛び込んだマイク・トラウトはロビンソン・カノに手を踏まれるというアクシデントを経験。
そして2017年5月28日、ヘッドスライディングで盗塁を試みたマイク・トラウトはベースに親指を引っかけてしまって負傷。
一見すると大した事無いように見えますがマイク・トラウトは左手親指の靭帯断裂という怪我を負っていて、この直後に38試合を欠場する事に。
上記の5月の怪我から復帰した際にはこの通り。2017年7月の画像で復帰戦から2~3試合の頃なので復帰したてホヤホヤですね。
ウィット・メリフィールド
2017年、2018年と2年連続で盗塁王のタイトルを獲ったウィット・メリフィールドもやはり、ヘッドスライディングをした際に踏まれたり、ベースに指をぶつけたりというアクシデントを防ぐために着用しているようです。手を踏まれそうになったりとヒヤっとした経験は何度もあるようでスライディング・ミットでの対策に行きついた模様。
小さな金属製の棒が手のひらや指先をガードするように配置されているようですが、使用しているのは前述のBENIK製のスライディング・ミット。
BENIKのロゴがバッチリ見えますね。
他の選手が着けているのを見てから真似るようになったと語っていますが2017年6月頃から着用しているとの事。
実際にこのミットを付けるようになった後に盗塁を試みた際、手のそばをスパイクで踏まれるというヒヤリ体験があったようですが事なきを得たとか。
俊足を武器とするウィット・メリフィールドからすると無くてはならない相棒になっているみたいですね。
ラージャイ・デービス
ラージャイ・デービスは2012年頃から着用。その後にクリーブランド・インディアンス所属時代の2016年シーズンには43盗塁でア・リーグ盗塁王を獲得していますね。
盗塁を試みた選手が指を大怪我する様子を実際に目撃した際に、なんとか自分はそのリスクを避けたいという思いから着用しているそうです。
彼が着用しているのはかなり大型のもので手首のプロテクターとしても働くような作りのもの。ハンドメイド製ではなく製品化されているものだそうで恐らく前述のBENIK製。ラージャイ・デービスの希望に合わせてカスタマイズを施しているという情報も見受けられます。
ちなみに指先に多くのパッドをつけてしまうとルール違反になってしまうため、その辺はしっかりと審査を通るように作られているとインタビューで語っています。画像からすると親指は露出しているように見えますね。
スポンサーリンクブライス・ハーパー
ブライス・ハーパーはワシントン・ナショナルズ時代の2014年に左手の親指を負傷し手術、8週間のリハビリ期間を終えて復帰した際に着用していました。
チームメイトのライアン・ジマーマンも同様に術後の患部を守る目的で着用していたようです。
ちなみにコチラは同じくチームメイトのフアン・ソトとの2ショット。2018年の画像ですがお揃いですね。
ヨエニス・セスペデス
ヨエニス・セスペデスは着用している画像をよく見てみると、
「BENIK」のメーカー名が見えますのでコチラの商品ラインナップの一部だと思われます。手首を保護するタイプとは違って指先と親指も保護できるタイプのように見えます。
スポンサーリンクルーグネッド・オドーア
Rougned Odor
スライディング・ミットを着けて本塁に突入するテキサス・レンジャーズのルーグネッド・オドーアのYouTube動画がコチラ。
延長14回という白熱の場面で活躍した鍋つかみは本塁を見事に陥れていますね。
形状から恐らくBENIK製のものだと思われます。
デレク・ジーター
デレク・ジーターが右手に着用しているのはこれまた「BENIK」製。
ミトン型ではないのでリストに含めるか微妙なところですが、このような形のものであれば、その他にロビンソン・カノ、ラファエル・ファーカルの着用例もあります。
ビリー・ハミルトン
製品化されているしっかりした外観のものばかりなのでBENIKの宣伝ページみたいになってつまらないという事で変わり種もご紹介。
思いっきり手作り感溢れるカバーをはめるビリー・ハミルトンの2015年シーズンの画像。
アンダーアーマーのロゴが見えますが、決してアンダーアーマー製では無く、通常のスライディンググローブの上に自作でカバーを着けている雰囲気ですよね。
がしかし・・・
その後にBENIK製のグローブに変更していますのでちょっと残念な気分。コチラは2018年シーズンの画像。結局宣伝かよ。
その他にもまだまだ着用例は沢山あるようですので、オーブンミトン型のスライディンググローブは特別珍しいものでも無くなっている印象です。
これから大谷翔平選手のトレードマークの一つとなっていくのでしょうか?
→レギュラーシーズンでは出番が無く、その後に5本指型グローブに変更しているようですね。
それでもフェースガード付きのヘルメット(Cフラップ)のように日本プロ野球界でも遅ればせながら流行する野球用具もあるので今後はどうなるのかは分かりませんよね。