膝の痛みや足底筋膜炎をケアしたランニング法とは?鍵となるVALRの意味。
筋トレを行って筋肉を付けつつ、余計な脂肪を絞るためにトレッドミルなどを使ってランニングも行っている人は多いと思いますが、怪我防止までしっかり意識出来ている人は意外と少ないのではないでしょうか?
ランニングで加わる関節や筋肉への負担は意外と大きいもので、怪我をしてしまってから初めてその重要性に気付くなんてことにならないように、痛みを抱えやすい膝周りや、足底筋膜炎の発症を抑える効果的な走り方について見てみる事にしましょう。
また、イヤホンをつけてランニングするべきではない理由についてもご紹介します。
スポンサーリンクVALRの意味
筋トレを習慣的に行っていると筋肉が付いていき、それと共に体重も増加傾向になります。
その上でランニングを行うとなると例えその時間が10分や20分という短いものだとしても、体への過度な負担は無視できないものになります。
既にかなり大きな筋肉を付けていて筋トレに関してはトレーニング上級者だとしても、意外と間違ったフォームでランニングを行っている人を多く見かけますね。
ランニングについては「とりあえず走っておけばいい」ぐらいの意識でその辺については無頓着なのかなと思うこともしばしばで、ジムの有酸素マシンコーナーでドシンドシンと大きな音を立てながらランニングしている人は結構多いものです。
香港で行われたリサーチによると、ランニングについて十分な経験がない場合、ソフトな着地を意識することで62%も怪我のリスクを下げることが出来ると結論付けられています。
そこで登場するのが「VALR(vertical average loading rate)=地面反力平均増加率」という言葉で、垂直方向にどの位の負荷がかかっているかを数値に表したものという理解で大丈夫かと思います。
地面を激しく蹴るような走り方をするとVALRの値が増加するのですが、このVALRの値が大きくなればなるほど怪我のリスクは大きくなっていくと言われています。大きな力がかかるので当然といえば当然の結果ですよね。
つまり、VALRの値を小さくすれば体への負担を軽減することができ、怪我防止にもつながるということですね。
ランニングと怪我
先ほどの香港で行われたリサーチについてですが、リサーチ内容としては初心者ランナーを二つのグループに分け、週に一回約7kmのランニングを1年間継続してもらい、どの位の率で故障が発生するのかを調査するというものでした。走る速度は時速8kmから時速12kmとなっています。
その結果ですが、
グループA(トレーニングありグループ)では166名の初心者ランナーのうち28名のランナーが何らかの怪我を負ったという結果。率としては16.8%
グループB(トレーニングなしグループ)では154名の初心者ランナーのうち61名のランナーが何らかの怪我を負ったという結果。率としては39.6%
グループAではアキレス腱炎とふくらはぎの肉離れの故障が10件発生したのに対して、グループBでは一件も発生しませんでした。
その代わり、グループBでは23件の足底筋膜炎が発生し、膝の痛みが出たのが18件発生したのに対して、グループAでは足底筋膜炎の発生は2件、膝の痛みは4件の発生に留まりました。
グループAでは脚の裏側の怪我が発生しているのがポイントですね。
これは何故なんでしょうか?
スポンサーリンクトレーニングありのグループ
結果的に怪我の発生を少なく抑えることが出来たグループA(トレーニングありグループ)では脚の裏側の怪我が発生している理由については次のような研究結果がその謎を解くヒントになります。
それがハーバード大学医学大学院とハーバード大のスポールディング・ナショナル・ランニング・センターで行われた研究です。
その研究によると、かかと着地のランニング(ヒールストライク)ではつま先着地のランニング(フォアフットラン)と比べて約2倍の怪我発生リスクになるという研究結果が発表されています。つまり、怪我防止のためにはつま先着地のランニングが有利になるというわけですね。
つま先着地になるとふくらはぎの筋力が多く作用するため脚の裏側への負荷が比較的高くなると言われているため、これが脚の裏側の故障が発生した理由と思われます。その為、つま先とかかとを同時に着けるようなランニング(ミッドフットラン)も怪我防止のために有効であると言われています。
また、足首、膝、臀部を上手く使って負荷を和らげながら走ることが重要で、実はクッション性の高いシューズを使えば使うほど負荷が小さくなる所が逆に大きな負荷がかかってしまうという研究結果も得られているそうです。
ちなみにグループA(トレーニングありのグループ)のトレーニング内容は次のようなものでした。
グループAでは研究施設内のトレッドミルにセンサーを取り付けて、足を着地させる時の衝撃について可視化出来るシステムが導入されており、グループAのランナーたちはこれをモニタリングしながら足にかかる負荷を小さくするように走り方のトレーニングを行ったわけです。トレーニング期間は2週間となっています。
“音”もヒントに
テネシー大学で行われた研究によると出来るだけ静かにランニングするようにトレーニングを行ったランナーはVALRを小さく抑えられるという研究結果が発表されています。
自分がどの程度音を立てながらランニングを行っているかをしっかり観察して、出来るだけ静かに走るよう意識する事が怪我防止のためには重要というわけですね。
というわけで、イヤホンをつけて音楽を流しながら集中するのも結構ですが、定期的にイヤホンを外して自分の「ランニング音」に注意を向けながら走ってみる必要がありそうですね。
【こちらのリンクも】
筋トレとランニングの関係性。走る事は良い?悪い?そのメリットとデメリット