「ソレダメ」フライパンで簡単、天ぷらの作り方!ミシュランシェフ直伝のサクサク天ぷらの裏ワザ 油はね対策も
天ぷらを家庭でやろうと思ってもなかなか上手くいかないとお悩みではありませんか?例えば代表的なのがカラッと揚がらずベチャベチャになってしまったり、えびを揚げる際の油はねが怖かったり、かき揚げがバラバラになったり、大量の油を使うのが億劫だったりと天ぷら作りには大敵が多いですよね。そんなお悩みを一気に解決する様々な裏ワザについて、5月16日放送のテレビ東京「ソレダメ 猛暑に備えたい!体強化スペシャル」から抜粋してご紹介します。
ミシュランガイドにも載っている東京は銀座の名店プロ直伝、フライパンを使って簡単に出来るサクサク天ぷらの格上げワザとは一体どのようなものなのでしょうか?
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特に一人暮らしなんかでは天ぷら鍋なんて持っていないという方がほとんどではないでしょうか?
また、天ぷら鍋があったとしても大量の油を使った天ぷらはなかなか手間がかかって億劫になりますよね。
こんなお悩みを解決してくれるのは2017年ミシュランガイドに掲載された東京、銀座の「てんぷら 阿部」2代目ご主人 奥村仁さん。
天ぷら鍋を使わないでもフライパンでサクサク天ぷらが作れてしまうその方法ですが、まず油の量はフライパンの底から2cmの油で十分。
通常の天ぷら鍋では1~1.5Lの油を使用するため、この方法であれば油の量を少なく抑えることが出来ますね。
では、作る際のポイントについて重要な3つの要素を見て行く事にしましょう。
その3つとは、
- 衣作り
- 油の温度
- 油の切り方
天ぷらの成功を決める「衣」
奥村さんによると、天ぷらの成功の7割を決めるのが「衣」の作り方とのこと。
そんな衣作りにおいては混ぜ方が重要になってきます。
天ぷらの衣に必要な材料は、小麦粉、卵、水の3つ。
一般的には小麦粉に水、卵を入れてよく混ぜ合わせることが多いですが、これが大間違い。
奥村「小麦粉を入れたら、とにかく混ぜたくないんですよ。混ぜる回数を極力少なくしたいんで、まずは卵と水をしっかり混ぜておく。」
というわけで、まず卵と水だけをしっかり混ぜて卵液を作り、その後に小麦粉を投入するのがポイント。小麦粉投入後はガチャガチャ混ぜず、優しく混ぜるのが基本。
小麦粉がダマで残っているぐらいでちょうど良く、ダマどころか、小麦粉がちょっと残っているぐらいでもOKです。
混ぜると小麦粉から粘りの成分であるグルテンが出てきてしまうので「天ぷらはグルテンとの闘い」と言い切る奥村さん。
混ぜすぎるとグルテンが大量に出てきて、天ぷら自体がボテッとした食感になって、「カラッとサクッと」といったサクサク天ぷらの美味しさが全く出せないんですね。
実際に良く混ぜてグルテンがたっぷり出てしまった衣にえびをくぐらせてみると、えびに衣がまとわりついてベトベトした見た目。
対して、ダマを残して優しく混ぜた衣ではえびが衣を通して透けて見えるほどサラサラとした見た目。このサラサラとした衣が肝で、薄い衣だと食材の水分が外に出るためにサクッとカラッと揚がるというわけです。
また、グルテンは温度が高いほど粘り気が出てしまうため、小麦粉、水、卵は事前に冷蔵庫で冷やしてから使うのもポイントです。
というわけで衣作りのポイントをまとめると、
- 衣は卵と水をしっかり混ぜた後、小麦粉を投入して軽く混ぜる。
- 小麦粉、水、卵は事前によく冷やしておく。
油の温度調整
第2のポイントは油の温度管理ですが、
天ぷらに適した温度の基本は概ね180℃と言われており、衣を垂らすと1度沈んですぐさま浮いてくるぐらいがそのタイミング。
よく分からない場合は温度管理が出来るIHクッキングヒーターやスティック温度計などで管理すればより確実に行えますね。
なお、温度計を使う場合は「検温部は常に油面より4cm以上中に入るようにする」なんて注意書きがあったりするので、フライパンで天ぷらを作る場合には4cmの深さが確保出来ずに使えないことがありますので要注意です。
温度管理では、天ぷらの具をフライパンに投入する際にも注意が必要です。
というのも、フライパンに入れると必ず油の温度が下がるので、そのタイミングで火を強くしたり、ちょっと待ってから次の具を投入するという工夫が必要です。
大量の油を使う天ぷら鍋であればこの点は有利ですが、フライパンでは小まめな温度管理がポイント。
油が多いと食材を入れても温度変化が小さくて済みますが、フライパンの油の量だと温度変化に敏感なのでこの点が要注意です。
フライパンでしっかり丁寧に揚げていくためには、面倒くさいかもしれませんが、揚げる食材ごとに衣を逐一垂らして温度チェックするぐらいの細やかな気配りが大切です。
実際に奥村さんも一呼吸置くようにして丁寧に温度チェックを行った上で次の食材の揚げに移るという所作。
これが少ない油でサクサクに仕上げるポイントです。
ということで温度調整のポイントをまとめると、
- 適温は180℃。衣を垂らすと一度沈んですぐに浮かんでくるのがベスト。
- 食材を油に入れる時は一つずつ温度を確認。
油の切り方の裏ワザ
ここまで丁寧に作った天ぷらも、最後の油の切り方が悪いとベチャベチャとした仕上がりになってしまいますので要注意。
キッチンペーパーに置いたり、サッサと振るようにして油を切る人が大半だと思いますが、実はこれらの方法ではしっかりと油が切れないんです。
画像のように立てて、油に食材の先端を少しつけた状態で10秒キープ。
これは一体どういうことかと言いますと、
奥村「油は熱い方へ熱い方へ流れていくんで、油を切る時は先っぽだけ(油に)つけてあげるんですね。そうすると綺麗に油が鍋の中に落ちてくれるんで。」
意外な方法のように思えますが、これをするだけでしっかりと油が切れるんですね。
最後はヒョイッと先端だけ軽く振る程度で十分です。
ちなみに油を切ろうと一生懸命に振るのは絶対にNG。
奥村「いくら振っても油切れないんですよ。油全部吸っちゃうんですね。」
実際に振って油を切ったものと10秒キープで油を切ったもので比較すると油の残り方は段違い。
振ってしまうと周りの空気で油が冷えることで衣にしっかりとくっついてしまうので油が切れる所か、逆にしみ込んでしまうので絶対にNG。さらに油に粘り気が出るのでベチャベチャした食感になってしまいます。
油っぽい天ぷらにならないためにも振らずに10秒キープをしっかり覚えておきましょう。
というわけで、油の切り方のまとめは、
- 天ぷらは振らずに油の表面に10秒キープする。
これで天ぷらの基本のコツについて以上ですが、ここからは具材ごとの作り方について見てみましょう。
代表的な具材として、
- エビ
- しいたけ
- かき揚げ
についてご紹介します。
ちなみにご家庭で天ぷらを作る場合は、油を切った具材を置いておくスペースに困る場合がありますが、
そんな時は魚焼きグリルがピッタリのスペースなので有効活用しましょう。
魚焼きグリルに新聞紙やキッチンペーパーを敷いて使えば洗う手間も省けるのでオススメです。
スポンサーリンクエビの油はねを防ぐ裏ワザ
エビを揚げる際に気になるのが油はね。
油が勢いよく飛び散るのはキッチン周りが汚れますし、何より怖いですよね。
そんな油はねを防ぐには下処理でエビの尻尾を切っておくのがポイントです。
エビの尻尾は袋状になっていてこの中に水分が入っており、その水分が油と触れてパンッと破裂する時にあの油はねが起こるというわけですね。
ということですので、油はねを防ぐには衣をつける前にエビの尻尾の先を斜めに切り落としておくだけです。
こうしておけば、水分が出てしまいますので揚げている最中に破裂することはなくなりますね。
あとは、背わたを抜いてお腹側に切れ目を入れて、エビを優しくしごくように身を伸ばして筋を切り、下処理完成。
これで曲がらない、油はねしないエビ天が作れます。
油に投入する際には盛りつける方を上に(腹を上、背を下にして)揚げていきます。衣は何度もくぐらせてたっぷりとつけています。
スタジオではカセットコンロとフライパンで実演していましたが、5秒間隔ぐらいで4尾投入。
奥村「入れたらすぐにはイジらないでください。」
小さな泡が大きくなってきたタイミングが上げ時。この時に立てて10秒キープの油切り法をお忘れなく。
色づきではキツネ色よりももっと黄色い状態。プロが揚げると天ぷらが白っぽい印象になりますが、あんな感じですよね。
しいたけの衣の付け方
しいたけの天ぷらを美味しく仕上げるには、
衣を片側だけにつけるのが裏ワザ。
しいたけはヒダがある内側から水分が多く出るため、衣を内側だけにつけると蒸し焼き状態にすることが出来るのだそう。
こうするとジューシーな食感に仕上げるというわけですね。
さらにもう一つのポイントは、じっくりと時間をかけて揚げること。
衣をつけていない表面の黒い傘の方は、油で焼くイメージ。
すると、カリッと香ばしく揚がって風味豊かなしいたけの天ぷらが出来るわけです。
揚げ時間は180℃で約5分が目安。
スポンサーリンクかき揚げをバラバラしない
かき揚げを作る際の失敗として多いのが、油に投入した際にバラバラになってかき揚げにならないというものが代表的。
かき揚げがバラバラになってしまう主な原因が衣と温度。
油の温度は180℃よりも低めに設定するため、180℃の状態から1回火を消して1分待つのがポイント。
これで油の温度を180℃から175℃まで下げます。
今回スタジオで実演したかき揚げの具材は玉ねぎ、にんじん、桜エビ。
通常の天ぷら用の衣の作り方で作った衣だとかき揚げ用には薄いということで奥村さんが行った裏ワザは、
かき揚げの具材に小麦粉をまぶすという方法。表面が白くまぶされるぐらいの少々の量ですね。
その上から衣をかけてかき揚げ用の衣に仕上げます。
エビやしいたけよりも小麦粉の量を増やすのがポイントですね。
さらに油に入れる時の入れ方のコツも。
鍋の真ん中に落とすのではなく、鍋肌を利用しながら、鍋肌に添わせるように優しく投入。
こうすれば散らばる面積を小さくすることが出来るのでバラバラになるのを防げます。
形が整って一塊になってきたら、箸と網などを上手く使って真ん中にくぼみを作るのもポイント。
ひっくり返すとかき揚げの花が咲いたようにドーム状に広がります。
温度が強いとこのように揚げている最中にちょっとした細工を施すのが忙しくなりますが、温度を下げているため、焦らずくぼみ作りにチャレンジしてみてください。
いかがでしたでしょうか?ミシュランガイドにも掲載されている東京は銀座の「てんぷら 阿部」のご主人奥村さんが教えてくれたプロ直伝の簡単サクサク天ぷらの作り方。フライパンで手軽に作れるの裏ワザであれば失敗せずに美味しい天ぷらが作れそうですね。是非チャレンジを。