2019年 トミー・ジョン手術から復帰したエンゼルス大谷翔平の右肘のプロテクターとは?あの名称は?
MLBのロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平が2019年5月7日(日本時間8日)のタイガース戦に3番DHで復帰。2018年9月30日以来となる実戦復帰で、昨年10月に右肘のじん帯再建手術 (通称:トミー・ジョン手術)を受けた影響で2019年シーズンはバッターでのみ出場予定となっていますが、目につくのは打席で着用する白いエルボーガードとは別に用意されている走塁用の黒くてゴツいプロテクターの存在。あのロボットのような見た目のプロテクターとは?
気になったので詳しく調べてみました。
スポンサーリンクロボアーム?
練習時から黒いロボアームのようなゴツいプロテクターを右腕に装着している大谷翔平。
トミー・ジョン手術を受けた後に患部の保護の為にリハビリプロセスで着用される装具なんだそうで、その名も、
post-op elbow brace (splint)
カタカナ表記にすると、
「ポストオペ(プ) エルボーブレイス (またはスプリント)」
意味合いとしては“肘用手術後副木”。カタカナ表記&ちょっとお堅い雰囲気の日本語訳は個人的に名付けてみましたw
(※ポストオプでもポストオペでもどちらでも意味は通じますが、発音的にはオプの方が近いのでそちらに従っています。ブレイスに関してもブレースと表記してもいいですが、表記ゆれの一種という事でご容赦ください。)
post-opとはpost-operative (postoperative)の略称で「手術後の」という意味となります。
elbowは肘なので分かりやすいですが、最後に付いたbraceが「装具」や「(骨折後の)副木、添え木」という意味になります。
同様にsplintにも「副木、添え木」という意味合いがありますのでbraceでもsplintでもどちらでも意味が通じます。
ちなみに短距離走をイメージするスプリントという単語の綴りは“sprint”で“l”ではなく“r”となっていて綴り違いなので勘違いなされないように。
スポーツ用のサポーターやプロテクターという立ち位置では無く、どちらかと言えば医療器具的な道具なのでこれを購入したいという場合はあまり無いとは思いますが、価格帯としては60ドル~70ドルほど。
日本円だと6500円から7500円ぐらいでしょうか。
大谷翔平専用品・特注品というわけでもなく一般的に使用されるものですね。
また、特にトミー・ジョン手術の術後専用品という事でも無く、肘関節やじん帯の整復手術などを受けた後に装着するギプス的な器具なのでスポーツ選手以外でも普通に使用されています。
膝関節の保護を目的とした脚用もありますが、その特徴は関節の動きをサポートする丸いダイヤル式のヒンジが装備されている点。
大谷翔平が着用しているのは恐らくコチラの
Ossur Innovator X Post-op Elbow Brace
※リンク先は海外ページが開きます
YouTube動画で見る場合はコチラ。
ダイヤルに設けられたノッチを操作する事で可動域 (ROM = range of motion)を可変できるのでリハビリ過程に合わせて医師の指示に基づいてどこまで肘を曲げるのか伸ばすのかを設定する仕様。
他のメーカーからの多数販売されていますのでこんな感じのものも。
スポンサーリンクその他の着用例
特に専用品や特注品でも無いのでその他に多くの着用例が確認できますが、
例えば同じ日本人メジャーリーガーとして活躍するピッチャーのダルビッシュ有もトミー・ジョン手術後のリハビリで着用していましたね。
画像は2015年4月10日の試合のもので当時はテキサス・レンジャーズ所属。
ダルビッシュ有は2015年3月17日にトミー・ジョン手術を受けていますので術後から1か月経っていない状態で装着していたのがこのポストオプエルボーブレイス。
アトランタ・ブレーブスなどで活躍した元メジャーリーガーでピッチャーのクリス・メドレン (Kris Medlen)はプリキャリアで2度のトミー・ジョン手術を受けていますが、2014年の3月18日に受けた2度目のトミー・ジョン手術後にポストオプエルボーブレイスを装着。
クリス・メドレンはその後2018年5月27日に現役引退。
ニューヨーク・ヤンキースなどで活躍した元メジャーリーガーでピッチャーのジョバ・チェンバレン (Joba Chamberlain)は2011年6月16日にトミー・ジョン手術を受けましたが6月29日に行われた試合をベンチから見守る姿がコチラ。
ジョバ・チェンバレンは2017年10月4日に現役引退を表明。
タンパベイ・レイズなどで活躍して2019年シーズンはデトロイト・タイガースに所属するピッチャーのマット・ムーア (Matt Moore)は2014年4月にトミー・ジョン手術を受けましたが、術後に左腕にポストオプエルボーブレイスを装着した状態でベンチから試合を観戦。
このようにピッチャーがトミー・ジョン手術後に装着して試合に臨むケースがほぼで当然ながらこのままピッチングなどは行っていないので大谷翔平のケースは非常に珍しいと言えそうです。トミー・ジョン手術後にバッターとして出場する機会に恵まれる選手はなかなかいませんよね。
スポンサーリンク着用したままのプレー?
こんな大型のプロテクターを装着してプレーしても大丈夫?とお思いの方もいらっしゃると思いますが、アメリカにおけるメジャースポーツの代表格であるアメリカンフットボールの最高峰NFL (ナショナル・フットボール・リーグ)ではこのようなプロテクターを装着したままで試合に出場するというケースがかなりの数確認出来ますので特に大きな問題はなさそうです。
大谷翔平やその他のトミー・ジョン手術経験者が装着しているポストオプエルボーブレイスとは違ってダイヤル式のヒンジなどは付いていないもっと簡易的なものとはなっていますが、
上記の画像はボルチモア・レイブンズで活躍した元プロフットボーラーのレイ・ルイス (Ray Lewis)。
NFLを代表するラインバッカーとして守備の要を担ったレイ・ルイスは2012年に上腕三頭筋を断裂する怪我を負いますがその後に右腕にプロテクターを装着した上で復帰。しかしこの怪我の影響で翌年には引退を表明。プロキャリアに影響を及ぼした大怪我となってしまいました。
コチラが怪我を負った瞬間のYouTube動画。プレーが止まった直後に右腕がダランと下がって、力が入っていない様子が見て取れます。
その他にNFLのニューイングランド・ペイトリオッツに所属した元プロフットボーラーのロブ・グロンコウスキー (Rob Gronkowski)も左腕にゴツいプロテクターを装着して試合に出場していました。
この他にもジャスティン・スミス (Justin Smith)、タイラー・アイファート (Tyler Eifert)、ティロン・スミス(Tyron Smith)、J. J・ワット (J.J. Watt) などなど。腕周りに大型プロテクターを着用してプレーするNFL選手は枚挙に暇がありません。
これらの選手はトミー・ジョン手術を受けているわけでは無く、肘関節の脱臼や筋肉系の損傷などの怪我の復帰過程で着用しているケース(または回復後に再発予防のため)がほとんどですが、野球とアメフトではそのフィジカルコンタクトの激しさには大きな差がありますので、激しくぶつかり合うアメフトで使用していても差し支えないのであれば野球であれば大丈夫そうですね。
というわけで大谷翔平が着用している謎の黒いプロテクターについての詳細でした。