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第1回 NHK 生きるスキル「“火災”からのサバイバル」大地震で大規模火災が起きたらどうすべきか?


首都直下地震を想定した映像では火災旋風によって同時多発的に大規模火災が発生する可能性について指摘される事があり、最悪のケースでは火災による死者1万6千人という推定すらあったり。そこで大地震による大火災が発生した場合はどうすればいいのか?命を守る行動「生きるスキル」について事前に学んでおきましょう。

というわけで19年12月3日放送のNHK『生きるスキル「“火災”からのサバイバル」』で紹介された内容をまとめてご紹介します。

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避難を妨げる数々の障害

まず第一に考えるべきなのは、

火の海に巻き込まれたらどうする?

ではなく、

火の海に巻き込まれないようにする事が大前提という事。

となると早めに逃げる・避難するという行動が大事になってくるわけですが、ここに落とし穴が。

そこで問題になってくるのが“炎の速さ”。

あなたは炎が燃え広がるスピードについてどのくらいだと思いますか?

気象情報でやや強い風とされる風速10m/sの場合は炎が進むのは1時間で200mの速さ。

大人が歩くスピードは一般的に1時間で4000m(4km)と言われていますので、比較すると速度差20倍。

という事はノロノロの炎に人間が追い付かれるわけがないという事なのでしょうか?

この点について兵庫県立大学院 減災復興政策研究科科長の室崎益輝さんは、

「地震が起きて火災がアチコチで起きてる状況を考えた時には、人間の速度では限りなく遅くなるんだという事は頭に置いておかないといけないわけです。」

自分が住むエリアのアチコチで火の手が上がっていると想像してみてください。

上空からの映像を見ればどこで火事が発生していて安全なルートはこの辺になりそうだという事は分かりやすいですが、実際の避難現場ではそんな事はまずあり得ません。

普段歩きなれたルートが火事によって塞がれていたら?迂回路はどこに?迂回した先も塞がれていたらどうしますか?

まるで迷路に迷い込んでしまったかのような感覚に陥る事は想像に難くないと思います。

これが大規模火災で逃げ遅れる原因の一つ、

1.「火元が見づらく避難すべき方向が分からない」

仮に遠くで煙が上がっているのが見えた場合も安心はできません。

不意打ちのように突然大きな炎が上がる事が考えられるので、

外からは大丈夫のように見えて、実は屋内は火の海だとしたら?

2.「地震の時は至る所から突然火の手が上がる」

いきなり隣家から出火するなんて事も考えられますよね。

避難が遅れれば遅れるほどに状況は悪化の一途をたどっていきます。

限られた避難ルートがさらに限られて八方ふさがりに。

さらに避難を妨げるのは炎ばかりではありません。

3.「倒壊家屋に道を塞がれ、避難が困難に」

特に木造住宅が密集した市街地では、ただでさえ狭い路地を地震によって倒壊した家屋の瓦礫が塞いでしまうという事も。

これは実際に阪神淡路大震災でも発生した事案。

その結果どうなってしまうのか?

最終的にはわずかに残る避難ルートに周囲の人全てが殺到し、パニック状態に。

避難場所と避難所の違い

このような最悪の状況に巻き込まれないために私たちに求められる生きるスキルは、

「指定の“避難場所”に出来るだけ早く逃げる」

という事。

避難開始の一つの目安は、

およそ500m先に2本以上の煙が見えたら避難開始。炎ではなく煙に注視しましょう。

500mの距離というのは大体徒歩で7~8分の距離。

ちなみに皆さんは「避難場所」と「避難所」という2つの言葉の意味の違いについては正確に分かっているでしょうか?※火災が想定される地域の場合

避難場所とは、

災害時に一時的に逃げ込み安全を確保する場所の事。例としては公園や大学の敷地などが該当し、火に囲まれても熱や煙から身を守るスペースが確保されています。

避難所とは、

災害の為に自宅での生活が困難になった人々が滞在する場所の事。例としては学校の体育館や公民館などの建物がその対象です。

ここで問題なのが、

何かあった際に一目散に「避難場所」ではなく「避難所」に逃げ込もうとする人が多いという事。

しかし火災が発生するような災害の場合は「避難所」ではなく「避難場所」にまず逃げるのが正解。

近所にある公園や学校に逃げればとりあえず大丈夫だろうと過信するのではなく、ハザードマップなどの行政の情報を基にして正しい避難場所を把握しておくことが大事ですね。

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初期消火

地震によって発生する恐ろしい大規模火災。しかしそのきっかけはあなたの家で起きた小さな火が原因になるかもしれません。

そんな時に何よりも大切なのは、

初期消火

東京理科大学の関澤愛さんは阪神淡路大震災の時の聞き取り調査でこんな話を聞いたそう。

「自分の家のすぐ近くで出火したんだけれど、その時はバケツ一杯の水があれば消せる火だったと。ところが断水して水が無くて消せなくて、街全体に燃え広がってしまったんだと。ホントに悔しそうでしたよ。」

そういった際に備えておいた方が良いのが、

消火器

地震火災を防ぐためには必須アイテム。

自分の家が備えていなかったせいで多くの人を巻き込む大火事の原因になりかねないので必ず用意しておくべき。

しかしただ備えているだけでもダメ。

とある消火訓練の様子を撮影したVTRでは、突然消火器を渡されても使い方が分からずに手間取ってしまい、結局、

「ノズルを火に向ける前に噴射レバーを握ってしまって失敗」

これはありがちなミスだそう。

目の前で燃え盛る炎に気が動転して冷静な判断が出来なかったというのももちろん影響しますが、使った事が無い消火器をいきなり使うというのはなかなか難しいものですよね。

正しい使い方は、

  1. 黄色い安全ピンを抜く
  2. ノズルを火元に向ける
  3. レバーを強く握る

また、消火の際には炎の先の方ではなく根元を狙いましょう。

そして何よりもまず落ち着く事が肝心。

室内の初期消火の場合には他にも大事なポイントがあります。

1.「揺れている時は身の安全の確保を最優先」

燃えている炎が小さいうちは揺れが収まってから初期消火に取り掛かっても十分間に合いますのでまずは身の安全を。

2.「大声で火災を知らせて助けを求める」

心理学的には声を出す事で冷静さを保つ効果もあるので恥なんか捨てて大声で助けを呼びましょう。

3.「やめるべきタイミングを知っておく」

3つ目のポイントがとても重要。

目安としては炎の高さが自分の目・背丈を越すようになったら初期消火はあきらめて速やかにその場を離れましょう。そこまで火が大きくなってしまうと命の危険がありますので即逃げるのが大事。

なぜならその段階で天井に一気に燃え広がるリスクが大きくなっているから。

炎がひとたび天井に達してしまうと数分後には室内が火の海になってしまいますので、逃げるにはギリギリのタイミング。

正しく手順2が行えていれば事前に火事の発生を周囲に知らせているハズですので、この段階では潔く避難を優先しましょう。

さらに炎以外にも恐ろしいのが、

火よりも先に刺激性のガスが襲ってきますので、タオルやハンカチで口元をカバーしながら非難する事も大事。

煙で最も怖いのが視界を奪われる事で、逃げ道さえも分からなくなるのもリスク。

火災では火よりも怖い煙から逃げるという事も意識しておきましょう。

番組ではバーチャルリアリティー(VR)を使った火災による煙からの脱出を体験。

ホテルの上層階で火災が起きた設定では、

  • 室内に掲示されているハズの避難経路を確認
  • 煙は上にたまるので姿勢を低く
  • 煙を吸い込まないように鼻と口をハンカチで塞ぐ
  • 誘導灯を確認しながら避難
  • 腰をかがめて視界を確保

という注意点があるのですが、

YouTube動画では例えばこんな感じですね。

煙が建物内に充満して真っ暗になった時に皮肉にも明るい場所を求めて進んだ先は火元だったり・・・。

慌てて引き返すも時すでに遅し。煙に巻かれてしまうと視界ゼロで避難は絶望的ですね。

一酸化炭素中毒に陥れば一瞬で意識を失って死。

例えばこんなYouTube動画。海外の消防士のヘルメットに装着されたカメラのリアルな映像。

建物内は煙で充満していて視界ゼロになっている様子が見て取れますね。外は青空が広がっている真昼間でも建物内は漆黒の闇。

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電気による火災

2019年10月に発生した首里城火災では消防によると火災の原因は電気系統からの出火が濃厚と言われていますが、この電気による火災は首都直下型地震でも大きな問題になるだろうと言われています。

というのも阪神淡路大震災や東日本大震災などで発生した火災の出火原因の半数以上(60%超)が電気に関係する火災というデータがあるからです。第1回 NHK 生きるスキル「“火災”からのサバイバル」大規模地震のおける火災の発生原因は半数以上が電気関係

では電気による火災はどのようにして起きるのでしょうか?

例としては燃えやすい衣服などが散乱して、ストーブなどの暖房設備に接する事によっておこる火災。

また、

停電後に電気が復旧するタイミング

も要注意ポイント。

例えば家具の転倒などで傷ついた電気コードに通電すると火花が散って火災の原因に。

このようなメカニズムで発生する火災は通電火災と呼ばれ、地震から何日も経ってから起きる場合も。

このような電気火災を防ぐためには、

自分でブレーカーを落とす、コンセントからプラグを抜いておく

というのが最善策。

安全が確認されるまでは電気そのものを遮断しておく小まめな対処が生きるスキル。

感震ブレーカー

では家を離れている時に大きな地震に襲われた時は?

それを防ぐには、

感震ブレーカー

を設置するのがオススメ。

感震ブレーカーとは一定以上の地震の揺れを察知すると電気を自動で遮断する装置の事で、種類は、

  • 分電盤タイプ
  • コンセントタイプ
  • 簡易おもりタイプ
  • 簡易ばねタイプ

分電盤タイプとは通常の漏電ブレーカー自体にその機能がついているもの。

その他はコンセントで電気を切るコンセントタイプ。

比較的安価な簡易おもりタイプ。

こちらも安価な簡易ばねタイプなどですね。

簡易タイプ2種類は元から設置されている漏電ブレーカーに後付けで簡単に設置が可能になっていますね。

内閣府の資料では感震ブレーカーなどで電気による出荷を防げば火災の被害件数を半数近く抑えられる事が出来ると試算しています。

以上、第1回 NHK 生きるスキル「“火災”からのサバイバル」大地震で大規模火災が起きたらどうすべきか?についてでした。

コチラの記事も。

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