ラグビーやサッカーで独特のドリンクボトルが使われるのはなぜ?あの名称は何という?
ラグビーの試合を観ていてふと気になるのが試合中の水分補給で選手たちが使うあの独特の形のドリンクボトル。そしてラグビーのみならず、サッカーの舞台でも徐々に浸透してきている感のあるあのユニークな形状は何か目的があるハズ。そしてあのボトルの呼び名は何というのか?
ということで気になったので詳しく調べてみました。
スポンサーリンクラグビーのドリンクボトル
ラグビーの試合で使われているドリンクボトルというのはこんな感じですね。
独特の形状をしたノズル部が付いているのが分かりますよね。
これらのボトルはオーストラリアのボトルメーカー製の「Aline Sports Bottle」(英語のページが開きます)のものがメジャーな存在。
ラグビー界の最高峰大会であるラグビーワールドカップの舞台では2003年大会から出場チームによって正式採用されていて、こちらのボトルの歴史は2000年ぐらいからスタートしたとの事。
サッカーでも徐々に
そしてイングランドプレミアリーグでもこの形状のボトルが試合中の水分補給に用いられる場面が徐々に見られるようになってきていて、
コチラはトッテナム・ホットスパー(スパーズ)の選手たちの水分補給シーン。2018年8月の試合映像から。
他にも日本の岡崎慎司選手が所属して奇跡のリーグ制覇を成し遂げた事で有名なレスター・シティでも採用されているようですね。
スポンサーリンクドリンクボトルの名前は?
ではこれらのボトルの名称についてですが、実はこれといって定まった名称は無いというのが答え。
ネーミングとして使われているパターンは、
- hygiene water bottle (ハイジーンウォーターボトル)
- hybrid water bottle (ハイブリッドウォーターボトル)
- chin rest water bottle (チンレストウォーターボトル)
- spray water bottle (スプレーウォーターボトル)
この中で衛生的という意味合いの“hygiene water bottle”と、
混合という意味を持つ“hybrid water bottle”というのが一応メジャーな呼び方と言える立ち位置ですね。
いずれにせよコレといって定着したネーミングが無いのが実情なので、むしろ“rugby water bottle”と言った方が海外だと通じやすいかもしれませんね。
ちなみに日本だと「ジェットウォーターボトル」という名称で販売しているメーカーがあるようですが、あくまでこれは日本のメーカーが独自に設定しているネーミングなのでこのワードで世界で通じるかといえばハッキリとノーです。
先ほど紹介したAlineでは「ALINE bottle cap」という名称でこのノズル部を呼んでいるようで、オーストラリアでは特許取得済みだそうです。
商標的な問題もあるので他メーカーが同様の形状をコピーして使う場合は違う名称を名づけるわけですが、今の所これというネーミングは広まっていない印象ですね。
何の為に?
ではこのユニークな形のノズルを持つドリンクボトルが使われる理由についてですがそれは、
飲み口に直接口を付けなくても良いので衛生的だから
というのがその答え。
先ほどのネーミングの項目で登場したchin rest (チンレスト)というのは顎置き、顎当てという意味で、
この部分に顎を乗せ、ボトルを垂直にしつつ、手でボトルのお腹を押し込むことでノズルから水が噴き出して水分補給が出来るというわけですね。※メーカーのAlineではchin rest では無くchin plate (チンプレート)という名称を使用。意味としてはほぼ同じですが。
チームスポーツの試合中の水分補給では限られた数のボトルを複数の選手で使い回すパターンが多いため、これは衛生的に見てかなりNGな行為。
対戦相手同士ですら同じボトルを共有するパターンもあったりする譲り合い・助け合いの精神は素晴らしい事なのですが、やはり直接口に付けるモノを共有する間接キスだと感染リスクが跳ね上がるのは明らか。
そうならないために普通のペットボトルの場合でも口を直接付けないように配慮しつつ、飲み口と口とを離して宙から注ぐような飲み方をするパターンもスポーツシーンで見かけますが、
誰かがうっかり口に付けてしまった場合はもう既にドリンクが汚染されてしまいますので対策としては不十分。
そこで考え出されたのが先ほどの独特の形状のボトルというわけですね。
「ここに顎を乗せろ。」と言われているかの如く顎当てがしっかり用意されているので誤ってノズル部に口を付けるリスクを低減しているのがポイント。
これは少し意味合いがズレてしまいますが、foolproof (フールプルーフ、バカよけ、ポケよけ)やプロダクトデザインの世界で使われるaffordance (アフォーダンス)という概念に通じる考え。
普通のペットボトルだとキャップを手で回して外し、口を飲み口に付けて飲むという行為が全世界的に定着しているわけで、それをわざわざ特殊な形状の飲み口を用意する事で「チンレストに顎を乗せてボトルを手で押して飲む」という飲み方に上手く誘導しているというわけ。
また、フィンのような形をした“ついたて”がノズルの両サイドについていますが、ノズルを保護する役割と共に、口を付ける飲み方が出来ないようにしているという狙いと、水しぶきが横に飛び散らないようにという配慮からsplash guard (スプラッシュガード)なんて名称が付いていたり。
というわけでラグビーやサッカーで独特の形状のドリンクボトルが使われている理由とそのネーミングについてご紹介しました。
その他に『ラグビーで得点を決めたのに「トライ」というのはなぜ?』という基本的な疑問についてはコチラの別記事で。