部屋の換気を超短時間で行う科学的な方法。最強の換気は扇風機とサーキュレーターの2台使い?
快適な住環境のためには部屋の換気を心がける必要があるのは皆さんもご存知の通り。感染症対策、アレルギー対策、暑さ対策など様々な効果がある部屋の換気ですが、では超短時間で換気を行うためにはどんな方法が最強と言えるのでしょうか?NHKの科学取材チームが科学的手法を用いて計算した換気方法とは?理想的な換気回数とは?
というわけで20年6月17日NHK総合で放送された『“可視化”でまるわかり!新型コロナ対策の新常識』から抜粋してご紹介します。
スポンサーリンク“超短時間換気”実験
最強の換気方法を探るべく、空調メーカー(新日本空調)と専門家が協力して実証実験。
複数の換気の方法によって空気がどれぐらいの頻度で入れ替わるのかを微粒子可視化システム(高感度カメラ、スモーク装置、レーザー光線)を使って確認していきます。
実験に使用されたのは広さ13畳(22㎡)ほどの部屋。
まず専門家が最もオススメする換気方法に選んだのが、
対角線にある2か所のドア、窓を開ける「2か所換気」。
2つの開口部を作ってやった瞬間に勢いよく空気が流れていくのが可視化されています。
さらに部屋内を空気が時計回りに流れていっている様子が見て取れます。
結果、部屋に充満したスモークが全て外に出て行った換気時間は7分という結果。
これと比較して1か所のドア、窓を開ける「1か所換気」の場合も観察してみると、空気の動きはほとんど見られません。
開口部の周囲だけにほんの小さな渦が出来ていますが、出て行こうとする空気の流れと外から入ってこようとする空気の流れがぶつかって上手く空気が動けないようですね。
換気時間は45分という結果。
6倍以上の差がついてしまいました。
2か所換気については多くの情報があるので既に常識となっていると思いますが、実験によってこれだけ差がつく事が明らかになりましたね。
1か所換気の効果アップ
しかし、部屋の間取りの関係で1か所しか開けられないという事もありますよね。
そこで1か所換気の換気効率を大幅にアップさせる方法について空気調和・衛生工学会 副会長で東京理科大学の倉渕隆教授がアドバイス。
換気効率アップのための秘密兵器は、
扇風機
そして、大事なのは置く場所。
「扇風機を少しドアの内側に入れて部屋の外に空気を出す。(部屋の)内側に入れることによって周辺の室内空気を誘引して、より換気風量を大きくする事が出来る。」との事。
では先ほどと同じ広さの部屋で同様に実験して確かめてみましょう。
1か所換気にして扇風機(風量:強)をドアの前に置いてみます。
扇風機が周囲のスモークをどんどん外に排出していくのが観察できます。
扇風機から遠く離れた位置にある空気たちも全方向から扇風機に向かって集まって行っています。
空気がどんどん引き寄せられていったおかげで換気時間は21分で完了。
扇風機ナシの45分から21分と大幅に換気時間が短くなりましたね。
でもこれで終わりではありません。
さらなる効率アップの可能性について探っていく事にしましょう。
扇風機&サーキュレーター
そこで倉渕教授がオススメするのがサーキュレーターの追加。
「サーキュレーターがあったとすると入って来た空気を隅々まで行き渡らせると。そういう工夫をするとさらに効果的。」
扇風機とサーキュレーターの違いについて気になる所ですが、
扇風機とは「人が涼むために幅広く届く風を作る家電製品」で、
サーキュレーターとは「より直線的で遠くまで届く風を作る機器で空気を循環させる効果が高い家電製品」という違い。
この扇風機とサーキュレーターの2台を同時に使って換気効率をアップさせるのですが、
扇風機は先ほどと変わらず部屋のやや内側に外向きにして置き、サーキュレーターは部屋の奥に向けて外の新鮮な空気を送り込むために内向きに。
サーキュレーター(風量:強)が部屋の奥に向かって風を送り込んだおかげで時計回りに空気がガンガン動くようになって、扇風機に誘引させる空気の流れがスムーズに。これは2か所換気の場合と同じような状態で理想的。
何も対策しないと1か所換気だと45分の換気時間だったのに比べて2台同時使用だと12分とほぼ4分の1にまで時短。
「対角線の方向に置いて入った空気がすぐに奥まで行くようなそういう工夫をしていただければ十分効果があると思います。」
扇風機とサーキュレーターの2台使いでポイントになるのは、
一般的に扇風機は背が高く、サーキュレーターは背が低い機種が多いので、どちらも床に置いておけば自然と高さが出るのでこの点は簡単に実現できますね。
ちなみにサーキュレーターが無いという場合は扇風機で代用する事も可能だそうですが、同様の機種の扇風機2台だと高さに差が出なくなってしまうのでそこは工夫する必要がありますね。
高さが同じだと空気の流れがぶつかってしまって効率がダウンしてしまうのでここは押さえておくべきポイント。
また、首振り機能は絶対に使ってはいけません。
首振りをさせると空気がグチャグチャにかき混ぜられてしまってスムーズな空気の流れの邪魔になってしまうのでNGなんですね。
理想の換気回数は?
最後にオススメの換気回数の目安について。
専門家によると、
“エアコン使用時であっても”30分に1回以上は窓を全開にして1回につき数分間の換気が必要というのが基本的なルール。
ただし、これって結構面倒な事ですよね?30分に1回以上というのはかなりの高頻度。
自動で開け閉めをしてくれれば楽ですが、そうもいかないのでここは工夫のしどころ。
しかもエアコンの暖房や冷房を使っているとせっかく室温が快適になったのに換気の度にまたリセット?
そこで倉渕教授がオススメする換気方法は、
“エアコン使用時であっても”窓やドアの2か所を5cm~10cmほど開けっ放し
というやり方。
24時間換気システムが付いているビルや住宅の場合でも自然換気を強く勧めると倉渕教授。
という事で以上NHK『“可視化”でまるわかり!新型コロナ対策の新常識』で紹介された部屋の換気を効率的に行う方法についてでした。