フランスパンはなぜ細長い?あの形の理由やルーツは?チコちゃんに叱られる
21年4月9日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」で紹介されたのは『フランスパンが細長いのはなぜ?』という疑問。ネットの情報はウソだということで、あの長さの理由や最大の争点となる丸いフランスパンとの決定的な違いとは?
スポンサーリンクゲスト出演者
【ゲスト】稲垣吾郎、足立梨花
【VTRゲスト】清水ミチコ
フランスパンが細長いのはなぜ?
2問目の指名は、
この中で一番、パンが好きなステキな大人ってだーれ?
ここは岡村さんが回答者に。
ここでチコちゃんの疑問は、
なんでフランスパンは細長いの?
フランス人はパンの硬い皮の部分が好きで、その皮をたくさん食べる為に細長く作っているという答えですが、
チコちゃん「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
稲垣吾郎さんに続けて聞いてみると、カットした時に食べやすいサイズになるようにという答えですが、
チコちゃんの答えは、
サンドイッチをパンパン作るため
解説はフランスパンを日本に広めた創業116年の老舗パンメーカーに勤める山中誠史さん。
フランスパンといえば細長くて表面に切れ込みのようなデザインがあるパンを想像しますが、実は丸型のものもフランスパンと山中さん。
そもそもフランスパンの特徴とは小麦粉・水・塩・パン酵母だけで作り、皮が硬くて中の白い部分に大小さまざまな気泡があるフランス発祥のパン。
- バゲット – 棒状
- ブール – 丸型
- クッペ – 楕円っぽい形
- シャンピニョン – 意味はキノコ
11世紀から12世紀ぐらいのフランスではパンは一般家庭で食べられていたそうですが、当時庶民の間で食べられていたのは大きな丸型が主流。
そしてあるパン屋さんが朝早くから市場で働く人たちの為に効率よくパンを売ろうと考えたことが細長いフランスパン誕生のきっかけ。
スポンサーリンクここで始まるのが「フランスまんが昔ばなし ~フランスパンものがたり~」。
ナレーションはもちろん清水ミチコさんが担当。
時は18世紀のフランス。
この頃既にフランス人の生活にパンは無くてはならない食生活の軸。
当時のフランスの典型的な朝食メニューというのは大きくて丸型のフランスパンを薄くスライスしたものを食べるものでしたが、
硬い皮の部分を好むフランス人が多かったとか。これは岡村さんが答えで言っていた通りですね。
一方、ゆっくりと時間が取れる一般家庭とは違って忙しい市場で働く人たちはナンやピタパンのような薄い生地に具材を挟んだものを食べていたのですが、働きながら食べるものとしてはあまり食べやすいモノでは無かったとの事。
そこであるパン屋さんが一計を案じて、フランスパンで作ったサンドイッチを考案。
パリのレアールという中央市場で働く人たちの為にハムとチーズを挟んだフランスパンのサンドイッチを売り出そうと試作してみると、丸型のパンをいちいち切っていたのではとても効率が悪いという問題が発生。
そこで効率化の案として窯に入る最大の長さでフランスパンを作る事に。
当時は最長2mという長さだったようで、それだけ長いフランスパンであればどんどんカットして行けば簡単にサンドイッチ用のパンの出来上がり。
番組では実際に細長いフランスパンと丸いフランスパンの2つを使ってどの程度効率が変わるのか実験して確かめる事に。
丸いパンはまず半分にカットしてからその後は縦にスライス。
一方で細長いパンの方が、最初に背を開くように一直線の切れ込みを入れてから具材をどんどん挟んでいき、最後に小分けするようにしてカット。
サンドイッチ16個の完成時間を比べてみると3分の差がついて圧倒的。
しかも細長いパンを使う方法の方がカットした小分け分がほぼ同じサイズに統一されるというメリットも。
そしてこの細長いパン作りは思わぬ副産物も生むことになったそうで、
丸いパンよりも硬い皮の表面積が多い事でフランス人から大変好評で、サンドイッチ用ではなく普段食べる用にも求められるように。
こうして都市部を中心に細長いフランスパンが広まっていき、フランスパン=細長い形というイメージが定着していったとの事。
そして、細長い棒という意味のバゲットと名づけられたこの形のパンがフランスパンの代表的な形に。
今ではフランス国内で1日に2500万本のバゲットが消費されているとか。
というわけでコチラが結論。
フランスパンが細長いのはサンドイッチをパンパン作るため
でした。
細長くしたいものは?という質問には「チコを見る目。細く愛して、長く愛して。大原麗子です。」とチコちゃん。
元ネタは大原麗子さんのウイスキーCMですね。
最後に塚原愛アナから補足情報。
フランスパンが細長い理由として、
インターネット(ウィキペディア含む)やパンの本には20世紀初頭(1920年)にパン職人が午後10時から午前4時の間に働く事を禁じられて、朝食までに従来の丸型のパンを焼き上げられなくなり、火が通りやすくて製造時間を短縮できる細長い形が一般的になった
という説が紹介されることが多いそうですが、今回監修の山中さんによると細長いフランスパンの起源について日本語訳が間違って伝えられたのでは?との事。
確かに山中さんが紹介してくれた答えは20世紀よりも前の18世紀と古い起源ですしね。
海外の文献ではフランス革命後の18世紀には細長いフランスパン=バゲットが作られていたとされていますし、20世紀中頃の1944年には約200店のパン屋が参加するバゲットコンクールが開かれていたり。
今回紹介された細長いフランスパンの起源も実は数ある説のあるうちの一つで、
- ナポレオンが行軍の際に運びやすいようにしたため
- 手でちぎりやすいパンを提供して地下鉄で働く人たちがパン切り用ナイフを携帯するのを止めさせるため
- フランス革命後にパンの生産量が落ち込んでしまい、法令で「貧富に関係なく手に入る平等なパン」が定められたから
- 前述のパン職人の働く時間制限
などなど。
実は海外の情報を調べてみると今回番組で取り上げたようなサンドイッチ作りに適した形説は見当たらず、一方で番組内で間違った説として紹介されていた働く時間制限説の方が多く紹介されている有様…。
ちなみにバゲットという言葉が初めて公に使用されたのは1920年で、セーヌ県においてバゲットの重さやサイズ、値段についての定義付けがされていたり。
海外のサイトでも「細長いフランスパンの起源についてははっきりしていないものの、ある説では…」という前置きが付いて紹介されているケースがほとんどで、一体何が正しいルーツなのか泥沼なのでまぁ諸説あるという事で結論。
コチラの記事も
ベトナムのサンドイッチ「バインミー」はフランスパンを使うのが特徴ですがその歴史については、
バインミーとは?意味やつづりはどう書く?その歴史とルーツはフランスと戦争に関係アリ
※同放送回のその他の疑問はコチラ
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