林修の今でしょ講座 アニメ制作会社&クリエーターが選ぶ日本アニメの歴史を変えたすごいアニメ14作品は?
2021年4月13日放送のテレ朝系「林修の今でしょ講座2時間SP 今アニメでしょ! プロが選ぶ日本のアニメの歴史を変えたすごいアニメ14」ではアニメ制作会社や有名クリエーター76名がアンケートで選ぶ日本アニメ史を変えたと思うすごい14作品を一挙紹介。映像美・構図・音・最新CGとプロが絶賛するその超絶技術とは?
スポンサーリンク
目次
出演者
- 【MC】林修
- 【副担任】斎藤ちはる(テレビ朝日アナウンサー)
- 【日直】バカリズム
- 【学友】上川隆也 宮田俊哉 ぺこぱ 伊沢拓司 朝日奈央
- 【クリエーターゲスト】井野元英二(BEASTERS CGディレクター) 笠松広司(風立ちぬ 音響演出) 金子志津枝(ドラえもん アニメーター) 河森正治(マクロスΔ 総監督) 玄馬宣彦(閃光のハサウェイ アニメーター) 佐野雄太(えんとつ町のプペル アニメーション監督) 天神英貴(ガンダム、マクロスシリーズ イラスト・メカデザイン) 鷲尾天(プリキュアシリーズ 東映アニメ エグゼクティブプロデューサー)
エヴァンゲリオン
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「会話シーン」。
会話を記憶に残すための独創的な構図が駆使されているそうでポイントは「あえて人物を動かさない」という所。
通常は話している人物や表情を分かりやすく捉える為の構図が採用され、それはエヴァの含めた他の作品中でも多く使われているごくごく一般的な手法。
例えばミサト&シンジのミサト宅での会話シーンではカメラアングルは24秒間で8回変化と一般的な構成。
ところが長いエスカレーターでレイとシンジが会話するシーンでは38秒間もカメラはずっと引きの映像のみ。
人物も表情もあえて全く動かさない斬新な構図。
その他にふさぎ込むシンジとそれに語り掛けるミサトのシーンでもやっぱり誰も動かない構図を採用し、光と影のコントラストを生かすカットだけ変化させて基本的に34秒間は人物の動きはゼロ。
ちなみにこのシーンでは左(下手)に置いたシンジが過去を表し、右(上手)に置いたミサトが未来(物語を進める役割)。これはアイ・アクセシング・キューというお芝居で使われる技法と天神さんの解説。
河森さん曰く、アメリカのアニメーションが1秒間に24枚以上の画を使うフルアニメーションに対し、日本は古くから1秒間に8枚とリミテッドアニメーションを採用して来た歴史があり、日本には止めた画でももたせられる漫画文化の影響があってそれが洗練された形で現れたものなのではないかという意見。
河森「あれをやるとエヴァに見えちゃうんで出来ないですよ。笑」
玄馬「庵野さんそういうの多くて、それやられちゃうと皆手出しできない。」
ドラえもん
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「キャラクターデザイン」。
鷲尾「当たり前になった事が凄いんですよ。知らない人がいない状況を作るって作り手から考えると一番理想的。知られずに埋もれていく作品山ほどあるんで。その屍の上のトップに君臨していると思います。」
カメラが潜入したのは長年ドラえもんを制作するアニメスタジオ、シンエイ動画の制作現場。
愛されるドラえもんの形を0.1mm単位で原画修正しているのが総作画監督の丸山宏一さん。
元々線が少ないキャラクターであるドラえもんはほんの少しの違いでキャラクターの見た目が大きく変わってしまうんだとか。
原画担当者が描いたドラえもんをよりドラえもんにしていく細かい作業。
映画版の監督を務める八鍬新之介さんと30年以上ドラえもんに携わって来た制作本部長の山田俊秀さんによると、
新しい技術をどんどん取り入れる好奇心の塊がヒット作を生む秘訣との事。
映画「ドラえもん 新のび太の大魔境 ペコと5人の探検隊」では硬くて重たい質感の巨神像を原作の表現通りに「柔らかくしなやかでゴムのように」動かすという試み。
CGの巨神像に手書きで質感や動きの調整を加えた上で再現。
スポンサーリンクプリキュア
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「変身シーン」。
作画枚数は通常の3倍をしようして徹底的に描き込む変身シーンは観ている子どもたちが一番楽しみにしている見せ場。
鷲尾「毎回観ても、楽しい、美しい、カワイイと思える事に。」
カメラが向かったのは制作現場の東映アニメーション。
変身シーンの原画担当は通称、変身職人の板岡錦さん。
通常の3倍の作画枚数なので変身シーンだけは1秒間に24枚のフルアニメーションレベル。
鷲尾「自分の気持ち、テンションを上げるための化粧だから、だからこそプリキュアであるっていう。」
進撃の巨人
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「アクションシーン」。
特にアニメクリエーター界隈を震撼させた伝説のシーン「伝説の18秒」があるそうで、
観る者をジェットコースターに乗っているような感覚にさせる18秒1カットの空中シーンは全て作画監督による手描き。
一般的にアクションシーンではカットを細かく割ってスピード感を演出するものですが全て1カット。
河森「改めて観るとスピードのコントロールが素晴らしいですね。速くいかないと迫力出ないんだけど、速すぎると残らないので時々ちゃんと減速してるんですね。」
呪術廻戦
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「バトルシーン」。
登場人物の圧倒的な強さを印象付けるために人物を動かさずに背景を激しく動かす独特のカメラワーク。
天神「21世紀の背景動画。動かし方ですよね。」
佐野「背景がすごい動いているのにキャラはそんなに動いてなくて、本当はウソなんですよね。でもそれの方が気持ちいいのであえてやっているっていう。リアルが正しい訳では無くて観ている人が気持ちいいと感じるものを作れば良いモノが出来るっていう。ちょっとウソついても大丈夫。」
スポンサーリンクBEASTARS
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「CGのリアルな表情」。
佐野さんによるとオープニングで主人公のレゴシの表情を観て同じ3Dアニメーターとして驚いたそうで、それ以降は悔しさから全く観ていないと言うほど。
その表情は動物キャラに人の顔を移植する事(フェイシャルキャプチャー)で実現する目と眉の細かい動きがポイント。
制作会社オレンジでCGリードアーティストを務める都田崇之さんが制作されているそうで、
実際の人間の表情を映像で撮影してそれをCGアニメの表情に割り当てるという手法。
順を追ってフェイシャルキャプチャーについて解説すると、
- 表情ナシのキャラにセリフを吹き込んだ映像を用意
- セリフに合わせた表情を自ら表現してカメラで撮影
- 専用ソフトで顔のパーツの動きを解析
- 解析データをCGキャラに移植して読み込ませる
という手順。
この技術を使う事で目の僅かな見開きや眉毛の細かな動きをアニメキャラにそっくりそのまま移植。
えんとつ町のプペル
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「3DCG」。
喜怒哀楽が伝わるゴミ人間、プペルの表現力。
実際のオペラグラスの構造と同じように動くように再現してあったり、望遠鏡になっているのでズーム機能が搭載されていたり。
風立ちぬ
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「音」。
宮崎駿監督の発注によってほぼ全ての効果音が笠松さんの体を使って作られた音だったとか。
実際のリクエストは「シンプルな音」にして欲しいというものだったそうで、結果的に行きついたのが口で出す音、手を叩く音などの体を使った音だったとの事。
汽車に乗った主人公が地震に襲われるシーンの音が多くのクリエーターの絶賛ポイントだそうで、
改めて聞くと確かにちょっと違和感のある効果音ばかり。
地震シーンでは9割とほとんどが笠松さんが口で表現した音をアレンジしたりミックスしたものが使われているそう。
笠松「映像を観てみんなの頭の中で鳴る音をそのままシンプルに言葉にしようという。」
アレンジやミックスされる前の音単体で流してもらうと「ドーン」「グニャン」「ボヨン」と本当に口で言っている音が使われているのが明確に。それを100トラックほど重ねて効果音に。
スポンサーリンク君の名は。
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「映像美」。
あえて逆光を生かす事で見えない美しさを表現がポイントで、空中を舞う埃に当たる光の描写はその場の空気感を絶妙に表現している絶賛ポイント。
画面の所々で小さく反射しているように見えるのが宙を舞う埃。
佐野「空気は実際に見えないのでそれを何かの色で表現するのは難しいんですね。新海さんの作品は空気感、温度、匂いが感じられるぐらいの映像に仕上げてるなっていう所が。」
強い光がカメラレンズに反射して光の筋などが映り込むレンズフレアなども効果的に使用しているというプロの分析。
これは使えば使う程良いわけではなく、あくまで「カメラ」に関わる映像効果なので、使い過ぎると物語になかなか入って行けずに、スクリーンを意識してしまうという諸刃の剣。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「美の追求」。
天神「近年何度も何度も繰り返し観ている作品で、美しいという事に対してあくなき追求がなされた作品ですよね。」
水の反射・水しぶき・服や髪の毛の揺れと細かな再現が全て手描き。
鷲尾「髪の毛と服は感情表現のものすごく大事なアイテムなんですよ。」
服が浮く=感情の浮遊だったり、髪の毛の流れは喜怒哀楽だったり。例えば怒りで髪の毛が逆立つのは現実ではあり得ない事ですが、アニメ表現としてはアリですよね。
ガンダムシリーズ
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「ロボットの設定(メカデザイン)」。
見えない部分にもこだわるガンダムの細かすぎる設定。
制作会社のサンライズで取材では、
初代ガンダムの内部を流れる電気経路図やコア・ファイターの変形パターン、腕を動かす時の起点になるパーツ、腕を回転させるジョイント、足裏の構造などなど細かな設定資料がザクザク。
見えない部分も細かく設定化する事で動きに制限が付くので、作り手側の自由度の低下と引き換えにロボットが出来る事と出来ない事がよりリアルになる工夫。
機動戦士ガンダムの生みの親である富野由悠季さんは、
「巨大ロボットものってさぁガキ向けの番組だけどね、また生きてて新作を作れるんだったら、鬼滅潰しに行くとかエヴァを潰すとか平気で言うわけよ。そのくらいに思わないと80過ぎてテレビアニメの仕事なんてやってられないよ?笑」
と老いて尚益々といった感じ。
スポンサーリンクマクロスシリーズ
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「変形シーン」。
- 戦場で歌われる歌が敵の戦意を失わせるという独創的な設定
- 躍動感あふれるミサイル戦
- ロボットの変形
と見どころの多いロボットアニメ作品ですが、アニメ史に残る絶賛ポイントはやっぱりリアルな変形シーン。
その変形シーンはまず変形機構を搭載したロボットの模型を実際に作ってから生み出しているそうで、
ガールズ&パンツァー
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「効果音」。
BGMナシ、セリフもナシで効果音だけで作られたリアルは戦闘シーンは見どころ。
音響監督の岩浪美和さん、音響効果の小山恭正さんによると、
効果音だけで構成する事でドキュメンタリー的な臨場感を演出したとの事。
ちなみに戦車の砲撃音は実際の砲撃とは無関係の拳銃などの音を細かく組み合わせて作られているそうですが、
岩浪「ホントか嘘かは全く重要ではない。視聴者の心のリアルに訴える。それをどう上手く構築するかが音の肝なんじゃないかなと。」
GREAT PRETENDER
プロが絶賛するアニメの歴史を変えたポイントは「革新的な背景」。
版画のような色使いを用いた見た人にインパクトを残す背景。
監督の鏑木ひろさん、美術監督の竹田悠介さんによると、
日本のアニメの技術は写実がメインストリームな所を、その毛色を変えてやりたいという思いがあったとか。
狙ったのは浮世絵や版画のような色を平面的に重ねるという描き方。
そのおかげで強烈なインパクトを与える事に成功しているそうで、空・雲・町並みの色使いは必見。
以上「林修の今でしょ講座2時間SP 今、アニメでしょ! プロが選ぶ日本のアニメの歴史を変えたすごいアニメ14」で紹介されたすごいアニメ14作品についてでした。