しくじり先生 クレヨンしんちゃんをチョコプラがプレゼン。下品から人気アニメへの道のりまとめ
2021年4月(19日深夜)20日放送の「しくじり先生 俺みたいになるな クレヨンしんちゃん下品すぎと苦情殺到」はチョコレートプラネットが先生役でクレヨンしんちゃんのしくじりをプレゼン。かつては子どもに見せたくない番組の常連だったのがいつしか人気の国民的アニメになった道のりを総まとめ。見逃した方は是非。
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18年連続
まず取り上げられた“しくじりの数字”というのが「18年連続」というワード。
この数字の意味するところは、
「子どもに見せたくないテレビ番組」ベスト5にランクインし続けた期間が18年間
全てのテレビ番組を対象にした調査にもかかわらず1995年から2012年まで18年間ずっとベスト5圏内を維持。
2005年の4位を除けばずっとトップ3を維持するという安定感。
2012年で調査自体が終わっているので続けられていたらどうなっていたかは分かりませんが。
なぜこんなに嫌われたのか?寄せられた意見としては、
「内容が下品」「バカバカしい」「子どもの教育に悪影響」
などなど。
記事の内容をよく読むと「私には全然その面白さが分からないどころがか、見れば見るほどムカつく。」とかなり個人的な意見のような気もしますが…。
噛ませ犬だった?
そしてここからの逆転劇。
今日の授業テーマは、
今や子ども向け番組の定番作品となったクレヨンしんちゃんですが、
実は元々は青年誌『漫画アクション』に連載されていた青年向け漫画だったのは意外と知られていない事実。
1990年8月21日に連載が開始されていて、アニメ化はまだまだの時期。
かなりキツい下ネタも入って来るので、コミックス1巻を改めて読んでみると「そういえば最初はこうだったな。」という感想や、初見の人は「こんな漫画だったの!?」なんてリアクションになるかも。
そして連載開始から2年が経った頃にテレビ朝日のアニメ番組の候補として企画書が上層部に提出されることに。
当初の思惑は実はこんな具合だったようで、
本命の作品を通すための「噛ませ犬」
却下されるのを前提とした捨て役だったクレヨンしんちゃんでしたが、
上層部からはこんな評価が降りたそうで、
「サザエさんともちびまる子ちゃんとも違う、大人が子どもに振り回される斬新な家族アニメだ!」
フジテレビの最強アニメ陣に対して、何か対極にあるようなものをぶつけないとなんて思惑も上層部にはあったんでしょうか。
その象徴にもなっているのが、アニメ第1話のしんちゃんの衝撃的な登場シーン。
いきなり股間を全開にして現れ、ぞうさんの落書きを見せつけるという鮮烈なデビュー。
5歳という設定とはかけ離れた、横柄すぎる態度で大人を振り回すしんちゃん。
そう考えると同じ5歳という設定のNHKチコちゃんのつっけんどんな口の悪さなんてカワイイもんですね。
この結果、視聴者の反応は、
「子どもたち大爆笑!大人たち大激怒!」
という分かりやすい二極化。
スポンサーリンク初回放送は1992年4月13日の月曜夜7時でしたが視聴率は4.0%(関東地区)という船出。
の低視聴率を受けて制作スタッフの間には早速打ち切りムードが広がる事に。
そこでやけっぱちになった制作スタッフは、
「どうせ打ち切りになるならとことん子ども向けに振り切ろう!」
とバカなギャグなどをどんどんぶち込むという捨て身の作戦に。
しんちゃん初期の必殺ギャグである「ぞうさん」やこちらは今でも健在の「ケツだけ星人」などなど。
おバカ路線まっしぐらのおかげで子どもファンを大勢獲得して視聴率もガンガン上昇し、
放送開始から1年ちょっと経った1993年7月12日には28.2%の視聴率を記録するまでに急成長。
クレヨンしんちゃんから学べる子どもの支持を受けるための教訓はコチラ。
子どもにウケることは「子どもがかんたんにマネできること」
アイドルの定番モノマネはクレヨンしんちゃんなのは知っての通り。
宇多田ヒカルさんでさえもダウンタウンの前でやっていましたしね。
それだけマネしやすいという意味でもあるのでこれはプラス要素。
子ども人気でしくじり
ところが、そんな「マネしやすい要素」があるしくじりを巻き起こしてしまう事になったそうで、それが、
家の外でも「ぞうさん」「ケツだけ星人」をする子どもが大発生
これによって全国の親御さんから苦情が殺到。
こんな世間の反応を受けて股間を出す「ぞうさん」のギャグは封印状態に。
その時、プロデューサーや制作スタッフはこんな事を考えていたそうで、
「ケツだけ星人」だけは絶対に死守してみせる!
一体どんな矜持を感じていたのか謎ですが、これはこれで英断のハズ。
その結果2002年には子供に見せたくない番組の第1位に登り詰める事に。
そしてここからクレヨンしんちゃんのさらなる進化が生まれるわけですが。
スポンサーリンク劇場版クレヨンしんちゃん
実はアニメ放送開始の翌年1993年から様々な監督が手掛ける事で劇場版クレヨンしんちゃんは制作されていて、
毎年大ヒットを飛ばす人気作に。
そのシリーズ9作目が遂にクレヨンしんちゃんのターニングポイントに。
2001年4月21日公開「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
監督を務めたのが原恵一氏。
原監督は2つの大きな革命を起こしたのですが、
- 「泣けるクレヨンしんちゃん」を作った
- ハッピーエンドではない賛否分かれるエンディングを作った
ストーリーは秘密組織に洗脳されてしまった大人たちを救い、未来を守るためにしんちゃん率いる「カスカベ防衛隊」が大奮闘するというあらすじ。
それまでの劇場版とは毛色が違う、重厚なストーリーと深いテーマを採用した事で大人が観ると思わず涙をこぼしてしまう感動作に。
現実の未来なんて醜いだけなのに!という敵役のセリフに対してしんちゃんが放つのが、
「オラ、とうちゃんとかーちゃんやひまわりやシロともっと一緒にいたいから…ケンカしたり頭に来たりしても一緒がいいから…。オラ大人になりたいから…。」
という泣かせるセリフ。最後は大人になっておねーさんと付き合いたいというオチが付くのは制作陣の照れ隠しでしょうか。
泣けるクレヨンしんちゃんがここに誕生。
そして原監督は10作目にしてあえて賛否両論を巻き起こすようなテーマを採用。
クレヨンしんちゃんの中でも異色の問題作とされていて、完成後の上映会でも会場がザワついたといういわく付きの案件。
ストーリーは突如、戦国時代にタイムスリップした野原一家、そこで一国の姫・廉姫とその姫に想いを寄せる侍・又兵衛に出会う事に。
野原家は城に住まわせてもらう事になり徐々に戦国時代の生活に溶け込むように。
そこに2万の軍勢の敵が襲来し、一度は野原家は脱出するものの、合戦場に引き返して大立ち回りの末に相手軍勢に奮戦し、敵の総大将に勝利。
しかし…。
スポンサーリンク親密にしていた又兵衛は凶弾に倒れ、しんちゃんに対して、
「お前がなぜ俺の元へやって来たか今判った。お前は俺の命を救い大切な国と人を守る働きをさせてくれた。お前はその日々を俺にくれる為にやって来たのだ。」
目の前で最後を迎える又兵衛の姿に涙を流すしんちゃん。
それはそれまでほとんど描かれていなかったしんちゃんの初めて見せる姿。
この作品をターニングポイントにしてクレヨンしんちゃんは、
大人も子どもも楽しめる笑いと感動のアニメ
に。
教訓としては、
作り方は一つじゃない。自分の中に「大人」と「子ども」2つの視点を持とう
- 青年向けの内容で放送
- 下品なマネをする子どもが続出
- 全国の親御さんから苦情が殺到
でした。