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あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 美術の教科書、生きる道標、太宰作品など


22年1月21日放送のNHK「あさイチ」プレミアムトークではゲストの原田マハがおすすめする本を紹介。という事で作品の感想やおすすめポイントも含めて取り上げられた書籍を一覧でまとめてご紹介。

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美術の物語

美術史の勉強中に役立った本として原田マハが紹介したのが、

エルンスト・H・ゴンブリッチ「美術の物語」あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 美術の物語

美術史の研究者ゴンブリッチが世界の美術を網羅した入門書的一冊。

ラスコーの洞窟壁画から現代アートまで紹介される作品数は膨大で688ページのボリューム。

「最初は何とか丸暗記できないかな?と思って。出来るわけなくて…笑。ゴンブリッチ先生は世界的な美術史の大権威の方なんですけど、世界の美術史を学ぶ学生のために書かれた入門書みたいなもので。」

とっつきにくい小難しい話は抜きにして『僕も君も同じアートを愛する人間だよね?』という語り口調が随所に感じられるのがポイントとの事。

「読んでるうちにだんだんゴンブリッチ先生の授業を受けている気持ちになっていくんですよね。」

ともすれば古臭く感じてしまう悠久の時を経たアートと最先端で刺激的な現代アート。

実はそれらは同じタイムライン上にあってアートの根っこは変わらないという事を改めて感じさせてくれて感動したと原田マハ。

「読み込むだけ読み込んで、それで受験も突破しました。」

つまり早稲田受験のための参考書にもなったという事ですね。

※30歳社会人の時に早稲田大学第二文学部に入学

特にお気に入りの部分が本編の前に付いた序章との事で、

「本編に入ると待ったなしで4000年の歴史が始まっちゃうので、そこに入る前にゴンブリッチ先生がオリエンテーションのような序文を書いてくださっていて。長い序文なんですけど。でも本当に素晴らしいオリエンテーションになってるんですね。」

アートとの接し方を優しく教えてくれるのでゴンブリッチ先生のアートへの愛をしっかり感じられる部分。

「素晴らしい入り口になってます。」

『楽園のカンヴァス』執筆中にパリにアパートを借りて住んでいた際には『美術の物語』を読んだそのすぐ10分後に、あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 楽園のカンヴァス

書籍内で解説されたアートをルーブル美術館に実際に見に行くという贅沢な、そして超実践的勉強法も繰り返していたとか。

『美術の物語』は決して安い値段の本ではありませんが、原田マハにとっては無くてはならない必携の一冊という事ですね。

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風景との対話

東山魅夷「風景との対話」あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 風景との対話

昭和を代表する日本画家の一人、東山魅夷が自身の歩みや作品について語る随筆。

旅を通じて何を考え、どのような作品に繋がったのか自身が感じた心の動きと共に。

21歳の頃、大学時代にたまたま生協で立ち読みをしたらジーンと胸にしみた一冊との事。

東山魅夷の代表作である『道』については、あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 東山魅夷「道」

「自分の行くべき道を指し示されたような気持ちがしまして。今は東京国立近代美術館の所蔵になってますけど。」

才能があるにもかかわらずなかなか芽が出ずに苦労したという東山魅夷ですが、若い時分に肉親の死や戦争召集を経験し、

特攻訓練のさなかに熊本の風景に心を奪われたという体験から、

「生と死のギリギリの所に彼は生きていて『もし自分が命があってまた再び帰る事が出来たなら必ず風景を描こう!』と決意して。そこから風景画家としての東山魅夷が誕生したという。話をするだけでちょっと泣きそうになるぐらい感動的なエピソードで。」

「旅の先々で出会った風景について彼が感じた事を非常に瑞々しい筆致で書いてらっしゃって。まるで画伯の絵そのもののような素晴らしい文章。多くの物を学びました。」

ちなみに、人生の道しるべにもなっているという風景作品『道』は原田マハ作品にも登場。

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ダ・ヴィンチ・コード

作家デビューにあたって励ましになった作品として紹介したのが、

ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 ダ・ヴィンチ・コード

世界的ベストセラーで映画化もされた作品。

「これはまだ作家になる前だったんですけど、フリーランスのキュレーターだった時代に、別の本に入っていた予告(広告)で見つけたんですね。それを見た時に『あっこれすごい面白そう。』と。その時には『楽園のカンヴァス』の構想はもうあったんですけど、まだ全然書き始めてなくて。それで『参考になるかもしれないな。』と思って。」

人生でたった一回きりという”書店で予約購入”をその時経験したそう。

発売当日に書籍を受け取り、その日のうちに全て読破。

その時感じたのは「こういう事を書いてもいいって事だね。」

「冒頭の部分でルーブル美術館の館長が全裸でモナリザの前で殺されてしまうっていうそういう衝撃的な始まり方をして、それに主人公が巻き込まれて行くっていうミステリーなんですけど『ルーブル美術館の館長がこれ見て怒らなかったのかな?』って。笑」

美術館もアートも全て実在のものなのに、これだけ過激な描写をしてもOKなんだと、作家になるにあたって免罪符をもらったような気持ちになったと原田マハ。

そんな由縁があるので自身の『楽園のカンヴァス』については「ダ・ヴィンチ・コードの子供みたいな作品かもしれません。笑」との事。

原田マハは自身の作品作りについて”史実10%、フィクション90%”ぐらいのバランスで書いているそうですが、土台となる10%の部分にウソ偽りが混ざってしまうと上に乗るフィクションが陳腐なものになってしまうので10%の部分についての下調べは入念に行うそう。

「ここには嘘は無いよってしておいて、その上に思いっきり嘘をドンと載せるっていう。」

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津軽

旅好きの原田マハが旅を語る上で欠かせない本の一つが、

太宰治「津軽」あさイチ 原田マハがおすすめする本一覧 太宰治「津軽」

太宰が30歳半ばの時に書いた小説で生まれ故郷の津軽を旅した時の紀行文と小説が織り交ざった作品。

「誰でも一度は通るんですけど『太宰はとにかく高校時代には読んでおかなきゃいけない。』っていう青春の書だったんで、高校時代からずっと太宰は読んで来たんですけど、太宰にしか書けない良い意味での”クサさ”みたいなのがあるんですよね。青臭さと言いますか、ちょっとキザな斜に構えた感じだとか。」

お酒におぼれる堕落した生活にあっても、故郷に対する溢れる愛は忘れていない、でもその愛を素直には吐き出せないという太宰の精神面が感じられるそうで、

「ちょっとずつ恥ずかしそうにしながらも思いっきりわざとキザに構えて、(作品の中に)出したっていう所が『津軽』の面白い所だと思います。」

「もうホントに上手いですね。」

原田マハお気に入りの部分は本編の出だし。

「自分で”キザになる”って言ってますからね。笑。『もう~太宰くん何言ってんのよ~?カッコつけて~。』って言いたくなっちゃうんですよね。笑」

「『なぜ旅に出るの?』って聞かれて『苦しいからさ。』って言いませんよ。そんな。笑」「いやカッコいいなぁ~笑」

そんなクサさに結局やられちゃっている原田マハ。

「ラストに彼が幼少期に世話をしてくれてた女中の”たけ”という人物に最後に会いに行くんですけど、もう30何年ぶりぐらいに。そのラストシーンがすごく胸に迫る。またこれ話してるだけで泣きそうになるんですけど。ホントに胸に染みるラストですね。これだけカッコつけて来たんですけど、最後、たけの前では素の自分にフッと戻って。その戻り方が非常に自然で。是非これ読んでいただきたいですね。」

自身の作品作りについてはイメージが降ってくる瞬間について、

「旅をしている時ですね。自分はまっさらな感じで頭の中に風が吹くように空っぽの状態で旅をするんですけど、そんな時にハッと頭の中に落ちてくることが。タイトルが結構先に出ますね。『旅屋おかえり』も何も考えてないけどタイトルだけボンって。『楽園のカンヴァス』は逆で最後にタイトルが。タイトル決まると後は早いです。」

本を選ぶ基準は?

原田マハが読む本を選ぶ際に基準にしているのが、

「話題になっているものはもちろん気になりますし、私の場合は”旅””グルメ””アート”が三大ポイントですね。興味のあるジャンルで選ぶのが楽しく読書出来ますし。」

一方で「苦手で難しそうだなっていう場合も読んでみるとスッと。」

三国志について「漢字は多いし登場人物は多いしちょっと無理…。って思ってたんですけど『騙されたと思って一章だけ読んでみて。』って。で一章だけ読み出したら最後まで読んじゃったんですよ。全部。」

そんな経験もあるので、タイトルやイメージだけで敬遠するのはもったいない話との事。

「もしかしたら”人生を変える一冊”になるかもしれないから。苦手意識だけではなくて直感で読んでみるのも面白いかもしれませんし。人のおすすめで試してみるのも良いかもしれません。」

以上、あさイチで原田マハがおすすめした本一覧でした。

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