主治医が見つかる診療所 辛い物好きと苦手の違いは遺伝?激辛に慣れる苦手克服法
22年1月31日放送のテレ東系「主治医が見つかる診療所」では激辛料理など辛い物好きの人と苦手な人の違いについて解説。辛い物で分泌される脳内物質、辛さが遅れてやって来る仕組みや辛い物が苦手=猫舌という話、慣れによる苦手克服法など番組内容をまとめてご紹介。
スポンサーリンク辛み = 痛み
解説は生理学研究所の富永真琴医学博士。
そもそも「辛い」という感覚は味覚ではなく「痛み」の感覚で、
辛い物を食べると舌にある味覚センサー(味蕾)ではなく痛みの感覚センサーが反応して辛いと感じているというのが基本的な知識。
舌にある味覚センサーの味蕾では甘味・苦味・塩味・酸味・うま味の5種類を感じていて、辛味については別物。
辛い物を食べた時に舌がヒリヒリするのはまさに辛さが痛みの感覚だからというわけですね。
また、辛い物を食べると時間差で辛みが遅れてやって来る理由については、
痛みセンサーが舌の表面では無く舌の内部の奥深くにあるから。
辛い物好き vs 苦手
この痛みの感覚センサーは(TRPV1=トリップ・ブイワン)と呼ばれていて、主に唐辛子の成分であるカプサイシンに反応する性質。
そして辛い物好きと苦手な人では何が違うか?というと、
このTRPV1の感覚が鋭いか鈍いかの違いというのがその答え。
つまり「TRPV1の感覚が鈍い人=辛い物好き、鋭い人=辛い物が苦手な人」というわけですね。
苦手な人の場合は旨味よりも先に痛みを感じてしまうので激辛料理を楽しんでいる場合ではないと。
さらにこのTRPV1の数や感度は遺伝によって決まっていると考えられているので辛い物の得意不得意は生まれつきと富永先生。
また、TRPV1は舌以外にも人間の体のあらゆる所に分布しているのですが、特に数が多い場所が舌以外だとお尻の穴付近。
肛門近くの直腸部分にTRPV1が多く分布しているそうで、辛い物を食べた翌日などにお尻が痛くなるのはこのせい。
スポンサーリンクまた、富永先生によるとTRPV1は43℃以上の熱にも反応するという事が分かっていて、
高い温度に対して「痛い、熱い」を感じる仕組みについて研究した所、そのどちらも同じセンサーのTRPV1が反応しており、辛い物が苦手な人の約8割にあたる人は猫舌の傾向にあったという事も判明。
苦手克服法は?
という事は辛い物が苦手な人は食べるのを諦めるしかないのかというと、決してそんな事は無く、
苦手克服法はちゃんとあると富永先生。
というのも痛みの感覚センサーTRPV1は「使えば使うほど鈍くなる性質」があり、
辛さの弱い物から少量ずつ徐々に食べていく事を繰り返せばそのうち辛い物に慣れるようになるとの事。
スポンサーリンク辛い物と脳内物質
また、辛さに慣れた所でさらに食べ続けると美味しさを感じる以上の現象が起こって来るそうで、
畿央大学の山本隆歯学博士によると、辛い物を食べる事で脳が幸せになって辛さが和らぐという事が分かっているとか。
辛い物に反応して脳の中で鎮痛作用のあるβエンドルフィンが分泌され、これによって快感を感じられると。
さらに美味しい食べ物を食べるだけでもβエンドルフィンは分泌されるので「辛く美味しい」食べ物はダブルの効果でよりβエンドルフィンが強く作用して、いわゆるクセになる美味しさにレベルアップ。
結果「辛くて美味しい → 脳が幸せ → もっと食べたくなる → 辛くて美味しい → …」といった3つのサイクルが繰り返され、
どんどん辛い物にハマって辛味にどんどん強くなるのでより辛い物を求めて激辛料理がエスカレートしていくというわけですね。
というわけで以上「主治医が見つかる診療所」から辛い物好きと苦手な人の違いについてまとめでした。