サイエンスZERO 腸内細菌と運動の関係 腸内細菌を増やすには?
12月4日NHK「サイエンスZERO」は腸内細菌特集という事で腸内細菌と運動能力(持久力)の関係性や、運動やトレーニングをする人が陥りがちな腸内環境の悪化について。
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腸内細菌と運動
番組では青山学院大学の長距離ランナーたちの腸内細菌の研究を7年前から行っている研究者を取材。
するとタイムが速い選手ほど”ある腸内細菌”を多く持つ傾向が分かって来たとか。
そこでこの細菌が持久力を向上させるのに役立っているのでは?と仮説を立て、
マウスを使って比較実験をした所、バクテロイデス・ユニフォルミスを投与したマウスは投与していないマウスに比べて2倍の持久力を発揮するという結果に。
なぜこんな事が起こるのか?一つの仮説としては、
バクテロイデス・ユニフォルミスが大腸の中で生み出す物質である酢酸とプロピオン酸が腸内で吸収される事で、
肝臓の働きを活性化させて糖の一種であるグルコースを産生。
走っている時に消費されていくグルコースが体内で増えるので持久力がアップするというメカニズム。
この仮説を支えるもう一つのデータとして、
グルコース産生に関わる遺伝子の発現量の違いを見てもバクテロイデス・ユニフォルミスの投与アリ、ナシで比べると有意な差という研究データも。
菌を投与した後で運動をするとグルコースを生み出しやすい体に変化するという一つの結果が得られているわけですね。
スポンサーリンク腸内細菌の増やし方
続いて摂南大学のラグビー部員の腸内細菌の解析データでは、
腸内細菌正常グループと悪化グループの2つに二分される事が判明。
グラフの青い部分が体に良い物質を代謝物質として出す腸内細菌で、赤い部分は炎症などを引き起こす大腸菌。
当然ラグビー部員ともなれば日々の激しいトレーニングによる肉体的ストレスや厳しいレギュラー争いによる精神的ストレスなどに見舞われているはずで、それらがこの腸内細菌の差に影響している可能性は否定できませんが、
研究者が注目したのが”日々の食生活”の違いについて。
ラグビーの競技に活かすためにたんぱく質や糖質の多い食事を心がけている一方で、
体を多くするのにはあまり役立たないとされる野菜類の摂取は少ないといった具合。
ところがたんぱく質や脂質は過剰に摂取すると炎症を引き起こすリスクを増やしてしまうといわれていて、
そこでカギになって来るのが食べ物に含まれる食物繊維。
食物繊維は野菜や豆類などに含まれますが、一部の部員ではその摂取量が極端に少ないという事実が明らかに。
この食物繊維の不足した食生活によって腸内環境が悪化したと考えられるわけですね。
さらにお腹の不調による軟便や下痢の増加もネガティブ要素。
実は軟便や下痢になると腸内に酸素が入り込んでしまう機会を多くしてしまうので、こうなると酸素を嫌う腸内細菌(ビフィズス菌など)にとっては大ダメージ。
一方で悪玉の大腸菌は酸素が入り込んでも平気なのでこうなると腸内環境はさらに悪い方向へ。
こういった研究結果を踏まえて摂南大学ラグビー部では基本的な食事の改善と豆由来の食物繊維が含まれるサプリメントの摂取などを行った結果、約2週間で徐々に改善傾向が見られたという事も。
以上、サイエンスZEROより腸内環境と運動についてでした。