林修の今知りたいでしょ 睡眠の新常識2023冬 10の疑問&悩みの答え一覧
23年12月21日「林修の今知りたいでしょ 2023最新 睡眠の新常識」で睡眠学の柳沢正史先生が紹介した睡眠テクニックや睡眠に関する10の疑問&悩みの答えを一覧でまとめ。
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冬は寒くて眠れない?
部屋が寒くてなかなか寝付けない、途中で起きてしまうという人は「暗くて」「静かで」「朝まで適温」を徹底する事が大事。
光そのものに覚醒作用があるので寝室はなるべく暗くするのが鉄則。
真っ暗が怖いという人は非常に弱い光を足元に置くフットライトなどがおすすめと柳沢先生。
ちなみに柳沢先生はアイマスク愛用者だそうで、特に夏場はかなり早い時間に外が明るくなって起きてしまうのでアイマスクをつけて寝ているとの事。
人の聴覚は眠っている間も働いていて、特に人の声に敏感に反応するので静かな寝室が基本ルール。
日本人は特に「エアコンやストーブの暖房を点けっぱなしで寝ると体に悪い」と信じ込んでいる節があって、これはほぼ都市伝説ときっぱり否定する柳沢先生。
夏場もしかりでとにかく住空間は一年中常に適温にしておくのが鉄則。
特に日本の住宅は伝統的に「夏を想定した作り」をしている事が多く、そうなると風通しが良くて夏涼しい反面、冬は極寒に。
冬の室温目安となる18度以上を達成できているのは北海道、新潟、千葉、神奈川などごく一部の地域のみ。
特に香川県は14度未満で暮らしているケース多くて「クソ寒いですよ。」と柳沢先生も強く警告。
電気代を追加したとしてもより良い睡眠のために必要な投資だと思うのが大事。
ちなみに柳沢先生のご自宅では寝室を21度ぐらいにキープしていて、湿度については30%ほどでかなり低いそう。
寝具は薄めのタオルケットと軽いモフモフの毛布2~3枚が柳沢先生のお気に入りとの事。
人によっては乾燥が気になるケースもあるので個人の好みに合わせて加湿器を追加したり、重い布団が好きな人はそれに合わせて睡眠環境を自分好みに合わせていくのが大事。
一つだけ重要なのは「手の平、足の裏」は覆わない方が良いというのが柳沢先生の見解。
人間の身体は眠っている間に無意識に手足を寝具から出して体温調整をしているので、寝ている間のその自動調整機能を阻害しないような寝具の工夫が必要。
年齢によって眠りを変える?
年齢によって睡眠パターンが異なるのは経験則的にみな知っているハズですが、実はなぜ年齢によって睡眠が変わるのか?その答えは「よく分かっていない」というのが実情。
神経科学的なメカニズムは未だ謎だそうですが、年齢別に推奨される睡眠法というものはあるそうで、
- 子供(0~10代) = 脳を育てる睡眠
- 働き世代(20~50代) = 病気に強い体を作る睡眠
- シニア世代(60代以降) = 不眠解消の睡眠
ノンレム睡眠の中でも一番深いノンレム睡眠(=深睡眠)中に成長ホルモンが分泌されて体の成長を促すとされていて、記憶を司る脳の器官である海馬は睡眠時間が少ない子ほどそのサイズが小さいという研究データも。
さらに子供時代に寝不足だと将来的に認知機能に悪い影響を与えるという研究結果も出ていたり。
理想的には小学生は10~10時間半、高校生で8時間半といった目安も。※個人差あり
特に学生時代は試験勉強で寝る時間を削って勉強に充てたりといった事をしがちですが、勉強時間が増えて睡眠時間が減れば減るほど成績は悪くなるという「断眠パラドックス」といった事も。
ちなみに日本トップの成績を誇るエリート高校では7時間以上寝ている学生がほとんどだったという柳沢先生のお話も。
スポンサーリンク成人に必要な睡眠は個人差がありつつも目安は7~8時間。
そして慢性的な睡眠不足の睡眠負債をいつも抱えているとうつ病、メタボ、認知症、がんのリスクが上がるので健康寿命を短くする大きな原因に。
ちなみに日本人の寝不足傾向の国民性は高度経済成長期に形成されたものだそうで、2020年の日本人の平日の睡眠時間が大体7時間12分だったのに対して、1960年のデータでは8時間13分と1時間も多く寝ていた過去の日本人。
この睡眠負債は「貯金(=寝だめ)が出来ない」のが特徴で睡眠時間を多めにとって将来に備えるというテクニックは通じず、常に貯金ゼロながら負債ゼロの状態をキープし続けるのが大事。
また、睡眠負債は過食を招いて高カロリーなものを欲する体になってしまうと柳沢先生の警告。
睡眠がしっかり足りていれば成人の場合だと8時間半以上は眠ろうと頑張っても眠れないのが普通。
ちなみに「目を閉じて横になっているだけでも体力を回復する」というのはウソときっぱり否定する柳沢先生。
60歳以上の日本人の半数以上が何らかの不眠症状を抱えているといわれていて、その原因に挙げられるのが「睡眠不安」。
高齢になればなるほど必要な睡眠時間はどんどん減っていくものの、それに反して寝床にいる時間は比較的長いというデータ。
寝る体勢になっているのになかなか寝付けずに悶々としながらゴロゴロするだけで寝られないという睡眠不安は大敵。
こうなるとベッド=眠れない場所、ストレスが溜まる場所になってしまい、頑固な不眠症を引き起こすので要注意。
防ぐためには眠れない時はベッドから一度出て薄暗い環境で何かリラックスできる事をして眠気が来た時点で寝るのがおすすめ。
ちなみに「こたつでうたた寝」は夜の本格的な睡眠が取れなくなるリスクがあるので長時間の昼寝などと合わせて避けた方が良いと柳沢先生。
シニア世代になると昔よりも眠れないのが普通、寝なくても大丈夫な歳になったと自覚するのが大事。
また睡眠誤認=実際にはしっかり眠れているのに「眠れなかった」と誤った自覚をしてしまうのももう一つの問題。
こうなると睡眠に問題がないので対処する方法がないのに、問題だと思い込んでいる状態なので厄介。
寝床にいる時間をもう少し短くしてみる事で自分の認識のズレを修正するのが一つの解決策で、自分の睡眠データを客観視する事で不眠症状が軽くなるといったケースもあると柳沢先生。
睡眠の病気
【睡眠時無呼吸症候群】
以下の3つの質問、
- 眠っても疲れが取れた気がしない
- 夜中に何度も起きてしまう
- 朝起きた時に口が乾いている
一つでも当てはまると1回10秒以上、1時間平均5回以上の頻度で呼吸が止まる病気である「睡眠時無呼吸症候群」の可能性。
潜在的に日本には2200万人の患者がいて、そのうち治療が必要な中等度以上の患者数は900万人と言われているのに対して、実際に治療をしているのは50万人程度というのが現状。
かなり重度の症状を持っていても本人的にはしっかり眠れていて自覚症状がないというケースが多く、一緒に寝ているパートナーに指摘されて初めて気づくというのも多々。
【レム睡眠行動障害】
睡眠中に見ている夢と同じ行動を体が無意識にとってしまう病気で、突然激しく体を動かしてしまったりという症状。
中高年以降に発症する事が多いそうで、大声での寝言や激しい動作で怪我を負ってしまう事も。
睡眠時は体が脱力して本来力が入らないようにする脳の機能に障害が起きているのが原因といわれていて、認知症の前兆症状である可能性も指摘されているとの事。
ちなみにウトウトとしていて寝入り際に体がビクッと動くジャーキングとは全く違うそう。
【ナルコレプシー】
自分では制御できない眠気などが繰り返し起こる病で、歩いていたり、人と会話していたりと日常の動きの最中に突然意識を失ってその場に倒れ込んだり、失神しているように見える症状。
睡眠を調整する脳の機能が上手く働かずに本人の自覚しない所で日中に強い眠気が出現するそうで、感情の高まりに釣られて脱力発作などが起こる不思議な病気。
ナルコレプシー患者では脳内の覚醒物質であるオレキシンが上手く生産できていない可能性があるので、オレキシンの代わりになるものを補うといったアプローチの新薬が今開発途中との事。
冬の朝起きられない
睡眠覚醒のリズムは脳にある体内時計が担っていますが、冬は朝が暗いので体内時計が遅れがちになる季節。
これが原因で冬にベッドからなかなか出られないという現象に繋がるそうで実は「寒いから起きられない」というのは可能性の一つとしてはあるものの、メインの原因は体内時計のズレと柳沢先生。
解決するには「朝食を摂る」のが最も効果的で、水だけ飲むのでは栄養素が無いので飲み物だとミルクコーヒーを飲んだりというおすすめとの事。
毎日同じような時間帯に起床から30分~1時間して朝食を食べるのが理想的。
また、日没後は「早めに部屋を薄暗くする」のも有効で、数メートル離れると人の表情が認識できないぐらいの暗さに1時間ほどいると眠る準備が出来て体内時計を修正するのに役立つとの事。
目に直接入る光も大敵なので夜は間接照明がおすすめ。蛍光灯よりも電球色、キャンドル光などの黄色い光がベスト。
細切れ睡眠
3時間寝て少し活動してまた3時間寝るといった細切れ睡眠は、記憶に役割を果たすレム睡眠が十分にとれない可能性。
ここ5年ぐらいの研究で夜の後半に増えて来る浅い眠りといわれるレム睡眠が非常に重要という事が判明しているので細切れ睡眠は要注意。
楽器演奏やスポーツなど体で覚える動作の記憶である手続き記憶などの記憶の整理のためにもレム睡眠を疎かにしてはいけないというのが新常識。
このレム睡眠は入眠から時間がたつほどにその割合が増して来るといわれているのでやはりある程度の時間寝るのが重要。
さらに高齢男性を対象にした研究ではレム睡眠が少ないと寿命が短くなるというデータが出ていたり、70代の高齢者の場合はレム睡眠が1%減るだけで認知症発症のリスクが9%上がるといったデータも。
スポンサーリンク睡眠に良い食べ物・飲み物
万人にとって共通する睡眠に良い食べ物・飲み物は今のところないというのが柳沢先生の答え。
実は「自分にとってこれが良いと感じる」のが非常に大事で、これは眠るまでのルーティン「入眠儀式」と深く関わっているトピック。
寝る前に毎晩必ず行うお決まりの習慣をずっと続ける事で儀式と寝つきを上手く紐づけ。
読書、軽いストレッチ、カフェインの入っていない飲み物を飲むといったリラックス習慣は毎日続けて自分にとって良い入眠儀式を見つけていくのが大切。
悪夢の意味
最新の心理学研究では悪夢は現実に起こるかもしれないストレスへの予行演習だと考えられるようになっていて、
夢をよく見る人の方が感情の起伏が穏やかでストレス耐性に強いという実験結果。
また、PTSDなどのトラウマを抱えている患者だと夢を見る人の方がトラウマからの回復が早いという研究データがあったり。
悪夢を見ても悪い方向へは考えず「これでストレスに強くなった。」とポジティブに捉えてOKと柳沢先生のアドバイス。
ただし悪夢に恐怖を覚えて日中の行動や睡眠が阻害される「悪夢障害」という病気もあるので心当たりがある人は病院の受診を。
以上、林修の今知りたいでしょの睡眠の新常識2023冬でした。