関西人が「お」「さん」をつけるのはなぜ?チコちゃん
25年11月28日放送の「チコちゃんに叱られる」の問題『関西の人が「お」や「さん」をつけるのはなぜ?』の答えなどまとめてご紹介。関西でおいなりさん、お豆さん、お月さんと呼ぶ由来とは?
スポンサーリンクゲスト出演者
【ゲスト】大竹まこと、大友花恋
【VTRゲスト】なし
関西の人が「お」や「さん」をつけるのはなぜ?
3問目の出題は、
なんで関西の人は「お」や「さん」をつけるの?
チコちゃんの答えは、
女官が天皇に敬意を払ったから
解説は同志社女子大学の中井精一教授。
関西でよく言われる「お芋さん」「おあげさん」「お月さん」といった表現は御所に仕えていた女官たちの言葉=女房詞(にょうぼうことば)がその由来とされていて、天皇や貴族が住む屋敷である御所では位の高い人についてお世話をする女官たちが多く働いており、平安時代であれば天皇に仕えて秘書のような仕事を受け持つ内侍司(ないしのつかさ)や書籍などを扱う書司(ふみのつかさ)のように多くの役職が存在しており、平安時代を代表する歌人の紫式部や清少納言も天皇家に使える女官。
となると彼女たちが日常的に接する人たちというのは天皇や貴族たちとなるため、自然と上品な言葉遣いが求められるわけで、そこでいつの間にやら天皇の食事に関わる女官たちを中心に言葉の頭に「お」を付ける言葉遣いが誕生。
女房詞をまとめた文献には例えば、
- 握り飯 → おむすび
- 醤油 → おしたじ
といった言葉が掲載されており、これらは全て天皇が召し上がるものを呼び捨てにするのは失礼にあたるという考えが根底に。
こうして生まれた「お」を付ける女房詞ですが、御所には職人・僧侶・役人なども出入りする事があって、基本的に庶民には立ち入ることが出来ない場所で興味の対象であったはずの御所を知る手掛かりとして女官たちの言葉遣いから「高貴な人たちの言葉遣い」として真似をしたのをきっかけに江戸時代になると庶民の間にも大きく広まっていく事に。
スポンサーリンクその後、江戸時代後半になると「さん」を付ける言葉遣いも誕生していくわけですが、そもそも関西では古くからさん付けは丁寧な言葉遣いとして広まっており、例えば江戸時代の関西では天皇の事を「京都禁延(きんてい)さん」と呼んだりと敬意を払う対象には「さん」を付ける文化があり、庶民の間に女房詞が広まっていく中でより丁寧な言い方として「さん」を付けてより丁寧にバージョンアップ。
他にも関西では信仰の対象にも「お」「さん」を付ける文化があって「お宮さん」「お伊勢さん」「仏さん」「えべっ(恵比寿)さん」など。同じ言葉を東京では「様」を付けるのが一般的なのと比べると大きな違い。
これは関東が武家社会を基本としていて厳しい上下関係がそのベースにあるからで、目上の人に対しては「様」を付けるのが絶対ルールだったのに対して、関西は商人を中心とした町人文化がベースになっているので商売相手に対して「様」だといかにも他人行儀で堅苦しいために敬う相手に対しても「さん」付けで親しみを示すという両者の違いになっていると中井先生。
ちなみに「お○○さん」と呼ぶ対象は調理済みで食べられる状態になって初めて使われるという何となくのルールが存在しているようで、材料の状態だと大豆、豆と呼び、調理済みだと「お豆さん」に。
その他、かまどの事を「おくどさん」と呼ぶのも女房詞が由来になっていて、火を扱う場所に祀る神様を竈(くど)と呼び、そこから転じて「くど」自体で火を扱うかまどを指すようになり、それを神様への敬意を込めて丁寧な言い方にして「おくどさん」に。
という事で3問目は以上。
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